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第五十二幕

みのりは眼を開いた。


ジョーカーと視線が交差する。


次の瞬間、ジョーカーはみのりの眼前に迫っていた。


ジョーカーが刀を振り下ろす。

みのりはそれを躱し、刀を突き出した。


ジョーカーは体を右に傾けて回避するが、待構えるはみのりの膝蹴り。


「っ!」


少し後ろに吹き飛んだジョーカーに体制を立て直す前に攻め込むみのり。

休む暇なく攻めるみのりの刀を皮一枚で躱し続けるジョーカー。




先ほどとはうってかわってみのりの優勢。


みのりは刀を突き出し突進する。

肉を裂くような音が響く。


ジョーカーの右手を貫通していたが、


「……!」


みのりが刀を引き抜こうとするが、ジョーカーは刀を掴み引き抜く事が出来ない。


「あっ!……はっ……」

みのりの口から血が流れる。

ジョーカーの刀がみのりの腹を貫通していた。


みのりは眼前のジョーカーを睨み付ける。

対するジョーカーはニヤニヤと笑っている。


「つっ……!」


ジョーカーは一度刀を引き抜き、みのりの首目掛けて刀が迫る。


ズシャ!


肉を裂く音が廊下に響く。


「なっ……?」


驚嘆の声を洩らしたのはジョーカーのほうだった。


「なんでだよ……?」


ジョーカーの刀は己の首を貫いていた。


「がはっ!」


無理矢理ジョーカーは刀を引き抜く。

すると血が滝のように溢れだす。


「解の力は予測、解析、反応の三つ。だけどもう一つ裏の力があります。それは『支配』」


「あぁ!?じゃあ俺はお前に操られてたって言うのかよ!」


激昂するジョーカー。


「私と目があった人は脳信号を私が操作出来る。目が合えば合うほど」


「はっ!道理で気遣わないわけだ」


「そうね」


「はっ……戦いの中で死ねるのならまぁいいか……」

そしてそのまま目を閉じた。



みのりは廊下を歩きだした。


(早く追いつかないと……兄様)


腹部の出血を治癒魔法で止める。

痛みはあるがまだ戦える。


早く合流しないと。


ザクッ!


「え?」


みのりの胸には刀が突き刺さっていた。


「誰が自分だけで死ぬって言ったよ?テメェも道連れだ。ヒャハハハ!」

その刀はジョーカーの投げたものだった。


「水よ!」


「ハッ…………」


みのりの放った水の刃でジョーカーの首が吹き飛んだ。


「はぁ……はぁ……」


みのりはそのまま倒れる。


(ごめんなさい……兄様)










「みのり?」




「どうした?」


「いや……なんでもねぇ」


何か嫌な予感が。

いや今は振り向くな。

ただ進め。

先に進ませてくれたやつらの心配は後だ。


「見ろ!扉だ!」


俺達は扉を吹き飛ばす。

「なんじゃい?やっと誰か来たと思ったら小僧と小娘か」


巨大な体をした男が座っていた。

手にはそれに見合う槍を持っていた。


「テメェは?」


「虚無最高幹部の一人。『火竜』ランパード」


途端に殺気が俺達を襲う。

痛い。

チリチリするような鋭い殺気。


頬を冷や汗が伝う。


「私が足止めをする」


「いやお前じゃ無理だ。俺がやる」


「ずいぶんとワシを目の前に余裕じゃな?」


「「!?」」


とっさに俺と氷華は飛び退く。


さっきまで俺達がいたところに巨大な槍が突き刺さっていた。


「どうせ逃がす気はないわい。まとめて来い」


「ちっ!やるっきゃねぇのか!」


「いやここは俺に任せろ」


「父様!?」


その時現われたのは玄三だった。


「ほう……『斬撃使い』か……」


「お前らさっさと行け」

「あぁ」


「父様………気をつけて」




玄三を二人を見送った。

「見逃すとは思わなかったぜ」


「ふん、まぁアヤツらは吸血鬼に任すわい」


「アイツが……いるのか?」


「そうか、貴様の息子は吸血鬼に殺られたんだったな」


「黙れ」


玄三は鉄板のような大剣をランパード目掛けて振り下ろした。


「お主もまだまだ青いな。この程度で怒りを露にするとは」


「黙れって言ってやがる」


そのまま零距離で斬撃を放つ。


「ぬう!」


「さっさと消してやる。かかってこい」


「小僧が!」


二人の火蓋が切って落とされた。

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