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第五幕

リビングに戻ると何も知らずに爆睡をしている刹那がいた。


刹那を空き部屋にひいた布団に運びリビングに戻ると父様はお茶を飲んでいた。


「父様どういう事ですか?」


意を決して問いかける。

「何がだ?」


とぼけたふりをしているが多分聞きたい事が分かっている筈だ。


「僕も聞きたいです」


「私も」


正一たちも会話に交ざってきた。


「なんで炎磨と知り合い何ですか?」


「そりゃあ炎磨家とは親しかったからな。お前も会った事ある筈なんだがなぁ」


ポリポリと頬をかきながら答える。


「じゃあ炎磨が闇に堕ちたのは父様のせいでもあるってどういう事ですか?」


その質問をすると、玄三は俯いた。


「………それは本人から聞け」


そう言うと立ち上がり


「じゃあ俺もう行くわ」

「え!?もう行くんですか?」


「あぁ。仕事もあるしな」

さらば、と行って父様は消えてしまった。


「じゃあ私も」


「僕も」


正一たちも立ち上がり帰り始めた。


「いいかい?くれぐれも気をつけるんだよ」


最後にその言葉を残して帰っていった。


「私も寝るか…」


そのまま夜は更けていった。







「ここが例のものがある場所か?」


「はい」


「え〜つまんなそー」


夜、街の空にいくつかの影が浮いていた。


「行くぞ、我らの願いがかなう日も近い」


そう言うと影は闇へと消えていった。







次の日の朝。


「貴様らはどこに住む気なんだ?」


朝飯もガッツリ食べている二人に問いかけていた。

「これから考えっけど?」

「ならここに住まないか?」


目の届かない所で何されるかわかんない状態よりは一緒にいた方がいいと判断したからだ。「いやだ」


即答で断られると若干傷付く。


「刹那は…ここが…いい」

そこに救いの手を差し延べたのは身長百三十センチしかない死神だった。

「なっ!刹那!」


思わぬ反抗に戸惑っているようだ。


「あんなボロボロの…家に…住むの…や…」


「………ちっ、しょうがねーな」


この少年は刹那には弱いらしい。


承諾を得たと思った瞬間電話がなった。


ちっ、と心の中で舌打ちをして電話に出る。


「はい、下村ですが」


「教団です」


教団からの電話?


任務か?


「先程そちらに送った応援部隊との連絡が途絶えました。ですので調査をお願いします」


応援部隊との連絡が途絶えた?


嫌な予感がする。


宿泊地の場所を聞き、すぐに支度をする。


「いってら〜」


隼人と刹那は手を振って見送る。


「貴様らも来るんだよ!」


二人を引っ張りながら目的地へと向かった。







「ここか」


そこは普通のホテルであり、そのホテル全てを貸し切っているそうだ。


中に入ろうとすると結界が張られていることに気付いた。


「どうするか…花の到着を待つか?」


「お前が何とかすればいいじゃん」


「私はこういうのは苦手だ」


「はぁー、仕方ねぇな。早く終わらせて帰りたいしな。刹那」


「あいあいさ…」


奇妙な返事をした刹那は巨大な鎌を取り出す。


「てい…」


鎌を振り下ろすと結界が破壊される。


「結界って斬れるのか?」


「普通無理だ。こいつだからだよ」


そう言うと中に入り始める。


私も続いて入った。

中に入るとここだけ異世界ではないかと誤解するくらい静かだった。

人の気配などまったくしなかった。


「そういえばなんで刹那は結界を斬れたんだ?」

うやむやにされて聞けなかった事だった。


「こいつは弱所というか生命線が見えるらしい。だから一撃で殺せる。それが魔獣だろうが魔術だろうがな。」


そんな能力があれば最強ではないか。


反則に近い。


まぁそれ相応の対価があるんだけどな、と付け足した。


「三人で別れて探そうぜ」


対価とは何だと聞こうとしたのが分かったのか、話をはぐらかされてしまった。


「そうだな。三手に別れよう」


そう言うと皆別れて捜索し始めた。







「ちっ、めんどくせぇ」

隼人は上の階を探していた。


第一見つけたとしても俺は敵だ。


普通攻撃してくるんじゃねぇか?と当たり前の疑問も浮かぶ。


その時部屋でガタンと音がする。


刀を取り出して構える。

扉を開けると、そこには応援部隊の人らしき人が居た。


刀をしまうと


「俺は味方だ。他の奴等はどうした?」


だが応答がない。


近付いてみようとした時上から殺気を感じた。


慌てて上を見るとそこには人の形をした『ナニカ』がいた。


「キャシャァァァ」


意味不明な言葉を発しながら飛び掛かり鋭い爪を隼人に振るった。




その頃、下の階では氷華が正体不明の敵と戦っていた。


「こいつらは応援部隊の人の筈。私は味方だ!」

だが何にも反応せず攻撃を繰り返す。

鋭く尖った爪を振るわれる。


その手をパシッと掴むと異変に気付く。


「冷たい…?」


掴んだ右手は死人のように冷たかったのだ。


「こいつらはまさか…アンデット!?」


アンデット。


死者を強制的に動かす禁術によって生み出された屍。


アンデットを殺すには術を解除するか、術者を殺すかのどちらかしかなかった。


「くそっ、斬っても死なない。」


いくら斬ってもアンデットは傷が再生して立ちふさがる。


「なら、これでどうだ!」

アンデット達を氷が襲う。


瞬く間に全て凍り付いてしまった。



だが氷の中でまた動こうとしている。


「皆と合流しよう。ここは危険だ」


氷華は急いで上の階を上っていった。







刹那は広いホールへと向かっていた。


途中アンデットが群がるが刹那の能力のまえでは不死の術など意味をなさない。


「…えい…」


アンデットをどんどん斬り捨てて行く。


だが、力が強ければ対価も大きくなる。


対価の一つは魔力を大きく消費する事だが、問題はもう一つの問題だった。


「君にはこの術は無意味なようだね」


何処からか声が聞こえた。


するとアンデット達は動かなくなった。


「さぁ、僕の所に直接来てください」


ホールの扉が開く。


刹那はなんのためらいもせずにホールの中に入っていった。









「あっぶねぇ!」


アンデットの奇襲を辛うじて躱し、すぐに刀で斬りつける。


だがアンデットは再生する。


「ちっ、こいつら!」


勝ち目がないと判断して、すぐに部屋から飛び出す。


「刹那がいればこんな奴等…いや数が多いから無理か」


その時ホールの方で大きな魔力を感じた。


「刹那が当たりかぁ!」

急いでホールへと向かう。

しかし、階段へと続く曲がり角で何かとぶつかる。


アンデットか?と思い、刀を構える。


しかし、そこにいたのは尻餅をついた氷華だった。


「なーにやってんだお前?」


「うるさい!お前がぶつかってきたんだろ!」


「まぁいい。それよりも…」


「あぁ。急ぐぞ」









刹那がホールに入るとそこにはスーツを着た青年が居た。


「ようこそ。死神族の少女様」


その言葉を聞いた刹那は目を見開く。


「…なんでその事を…」


「いやタダの勘ですよ。私の死者傀儡の術は魔術で解除するか、私を殺さなければ解除できませんから。あとは何でも死にいたらしめる死神族だけかと」


「…そう…」


大鎌を構える。


「いえ、私は戦闘が苦手でね。魔術も死者傀儡の術しか出来ないし。私は召喚師なので。」


突如ホールの床に紋章が浮かび上がる。


「我の血肉を糧とし降臨せよ」


すると紋章の中心から何か出て来る。


出て来たのは魔獣ミノタウルスだった。

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