第四十幕
その頃キングと睨み合う隼人。
「どうした?お前の力はその程度か?」
「うるせぇ!」
隼人はキングに向かって走り出す。
そして染め写しの能力で刀を伸ばす。
伸びた刀がキングを襲うがそれを難なく躱す。
それを見た隼人は刀を今度は大剣に変え上から体重を乗せた重い一撃を繰り出す。
しかし、それも躱され大剣は地面を斬り、地面がめくりかえる。
その隙にキングが剣の先端で隼人の体を突き刺そうとしてきた。
隼人はそれを大剣で防ぐ。
だが、そのまま光弾を放たれ衝撃で隼人の体が吹っ飛んだ。
吹き飛んでいる隼人は大剣を地面に突き刺して勢いを殺し停止する。
隼人は大剣からいつもの刀の形に戻した。
(奴を斬るにはあいつの眼の予測速度と体の反応速度を上回るスピードで攻撃しなきゃいけねぇのか…めんどくせぇ)
隼人は全力で魔力で体を強化した。
それでは足りないと感じた隼人は闇を己の体に取り込み力を増大させた。
そして突き刺した刀の先から地面が黒く染まっていく。
それを見たキングは上に跳んだ。
隼人はそれを予測していたようにキングを空中で待ち構えていた。
「空中なら躱せねぇだろ?」
隼人は上から刀を振り下ろした。
キングは剣で防ぐも地面に向かって急降下していく。
このまま落ちればキングは俺の闇に取り込まれる筈だった。
しかし、キングは地面に向かって光弾を放つと闇は消えてしまった。
「は?」
何故?そう問う前にその質問にキングが答えた。
「お前の闇は魔力を吸うのだろ?なら逆に言うと魔力を取り込み飽和状態になれば闇は消えるという事だ」
キングは銃を構えた。
「残念だ。お前は確かに強くなったが、ここまでのようだな」
「何いってやがる?戦いはまだ終わっちゃねぇだろ!」
その時いくつかの光の球が俺を囲んだ。
「なっ!?」
そしてそれらが全て爆発した。
隼人は煙の中から飛び出す。
そのダメージは決して軽いものではなかった。
「ゴホッ。ちくしょう!」
隼人がキングを睨み付けた時再び光の球が隼人を囲んだ。
「くそっ!」
ドーン!という爆発音とともに大きな衝撃波が生まれ隼人は遠く離れたビルの中まで吹っ飛ばされた。
隼人はムクリと起き上がるとしばらく考え始めた。
(このままキングの前に出てもまたあの光の球の餌食だ。考えろ。何かいい方法はないか)
その時おびただしい数の光の球が隼人を囲む。
「あの野郎!ビルごと――!?」
バーン!!という音ともにビルが崩れ去った。
一方その頃正一たちは一つの場所に集まっていた。
しかし膨大な数の魔獣たちが正一たちを囲んでいた。
「はぁ、はぁ、ちょっとキツくない?」
「……はぁ、……はぁ、…」
「頑張るんだ!もうすぐ応援が来るはずだ!」
その時巨大な赦童たちの口のあたりに魔力が集まる。
「「「やばい!」」」
牙砲が放たれると思った次の瞬間赦童たちは赤い炎に包まれ灰となった。
「わりー。遅くなったわ」
「刃君!来てくれたんだね!」
「……一人だけ…?…」
「いやベルセルクだけでも三人は来てるぜぇ」
話し込んでいる俺たちに魔獣たちが襲いかかる。
が、どこからか放たれた光線が魔獣を蹴散らし、まわりにはいくつかの人形たちが正一たちを囲んでいた。
「今のは?」
「あぁ光線のほうが巳吉啓太で人形のほうがシモン=シープ=エスモー。まぁこの二人ははるか彼方から攻撃してるから会う事はねぇだろーな。まぁ俺らだけじゃねぇからな来てるのは」
その時ワアアァという大きな声とともにすごい数の騎士の格好をした人たちが現われた。
「騎士団や教団の人間も勢揃い。まさに全面戦争だなー」
「呑気な事言ってる場合?早く美子ちゃんのところに行かなきゃ」
「わぁーってるよ。お前らここは任せたぞ」
「はい!!」
騎士団のメンバーの一人が返事をした。
「よっしゃあー行くか!」
「どこへ行くんだ?」
「「!!」」
正一たちの目の前に立ちはだかったのは一人の少年だった。
燃え上がるような赤い髪に青と紫の目。
そしてこの膨大な魔力はまわりにいる魔獣など問題にならないほどだった。
「君は誰なんだい?」
「俺の名はエースだ。お前らを神童の元には行かせない」
「上等じゃねーか。力ずくで通ってやるよ!」
刃が剣から炎を放つ。
エースはそれを躱し正一たちに向かって走ってきた。
正一はエースのまわりを囲もうとするが、スピードが速過ぎて照準があわない。
刃と花と刹那はエースを迎え撃つ。
そしてエースは刃の目の前に来た。
エースのまわりには無数のナイフが浮いていた。
エースはそのナイフを取ると刃に襲いかかる。
刃はそれを躱すと両手の剣で斬りかかる。
しかしそれは浮いているナイフで防がれてしまう。
エースは無防備になった腹にナイフを突き刺すが、その前に刹那の襲撃を受けて刃から離れる。
すると花が背後から槍でエースの腹を突き刺そうとした。
しかしそれを躱されエースのナイフが逆に花に襲いかかる。
花は高速移動魔術を発動して躱しながら反撃に移ろうとしたが、そのスピードにエースは追いついている。
「なんでついてこれるの!?」
「お前が遅いから」
花は顔面に右の裏拳を食らい吹っ飛ぶ。
「きゃああああ!」
それを正一は盾で衝撃を吸収した。
今度は刹那と刃が同時にエースに攻撃を仕掛けるが、エースはそれをものともしてなかった。
「ちょっと強過ぎるんじゃねーの?」
「当たり前だ。俺とジョーカーは戦うためにつくられた」
「改造人間って事かい?」
「いや違う。俺らはゼロから創られたんだ」
「……?…」
「俺らは試験官の中で生まれた。そして様々な薬物や実験を繰り返し完成したのが俺らだった」
エースが空に手をかざすと数えきれないほどのナイフが現われた。
「だからお前らごときでは勝てない」
「関係ない。あなたが人間でないのなら化物同士仲良くしよ?」
刹那は死霊を体に取り込んでいた。
「面白い」
「あなたたちは隼人の所へ」
「わかった!」
正一たちが隼人の所へ向かおうとするのをエースが邪魔しようとするが、刹那がそれを防ぐ。
「くっ!邪魔だ」
「正一たちは通させてもらうよ」
「ありがとう刹那ちゃん!」
正一たちが前を向いた瞬間正一の体から赤い液体が飛び散るとそのまま正一は地面に倒れた。
「「正一!!」」
「おい、エース」
エースはその声にビクッと体をびくつかせる。
「な…なんだ…ジョーカー…?」
「何こんな雑魚どもにてこずってんだよ。ちっ!」
「す…すまない。…遊び過ぎた」
「いいか?お前を殺さないのは利用価値があるからだ。それ以上でもそれ以下でもねぇ」
「…あぁ…」
「んじゃ、そいつはまかせたぜ。俺はこいつらを片付けて零番の所に行くから」
「…わかった…」
「あっあと俺とお前一緒にすんじゃねえよ。俺とお前じゃ別格だ」
「…わかった…」
エースの先ほどまでの勢いはなく今は怯えきっていた。
それほどジョーカーの力が恐ろしいという事だ。
「誰が雑魚だって?」
「テメーが片付けられやがれ!」
花と刃はジョーカーに同時に襲いかかる。
しかし二人の目の前には赤い血が飛び交っていた。
見るとジョーカーの手には骨のような斬馬刀が握られていた。
そして二人は血を流しながら倒れた。
「刃!花!」
刹那が二人に駆け寄ろうとするのをエースが前に立ちはだがり邪魔をする。
「悪いけど君を行かしたら俺が殺されちゃう」
「んじゃ行ってくるわ」
ジョーカーの姿が消える。
最凶最悪の人物が隼人の所へ向かい戦いはさらに激しさを増す。




