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第三十三幕

「ぐうっ!」


見えないレーザーを勘で躱すがそんな簡単に避けられるわけがなく体をあちこち抉られた。

ジュウウという音が傷口から出ている。




ナナは体のあちこちからミサイルや銃弾を放つ。

氷華は氷の盾を張るが腹部に激痛が走る。


(またあのレーザーか!)


遠距離戦だと分が悪いと判断した氷華は氷の盾を前に張りながら走り出した。


「無駄」


空中に浮いている物体からレーザーの集中放火を浴びる。


しかし氷華の姿は盾の後ろにはなく、ナナの右の死角に居た。


「はぁぁぁ!」


氷華の刀はナナの首を捉えた。

普通なら首を斬り落とされる筈だが、ナナは無傷だった。


「私の勝率百パーセント」


右肘から風が吹き出てそのまま加速した拳が氷華のみぞおちに入った。


「ぐはっ!」

血が口から溢れ出す。

メリメリと骨が軋む音が響く。

そのままナナは右足で回し蹴りを食らわせた。


「ぐあぁぁぁぁぁ!」


そのまますごい勢いで吹き飛ばされコロッセオの壁にぶつかった。


「はぁ、はぁ」


頭からもおびただしい量の血が流れ出す。


アバラも何本かイカれてしまった。


ヨロヨロと立ち上がるが意識が朦朧としてフラフラしている。


(遠距離戦だと分が悪い?近距離でもまるで歯がたたないじゃないか!)

その時ナナが目の前に迫っていた。


「しまっ―!」


左側に強い衝撃を受けて再び吹き飛ばされる。


そしてその氷華の後をいくつものミサイルが追っていき直撃する。


ドドドドドと爆発音が鳴り響き爆風でコロッセオが揺れる。


煙が晴れると氷華は仰向けに倒れていた。


空を見上げる氷華。


空は薄暗い雲で覆われていて一筋の光もなかった。


(待て!今日は晴れてなかったか?)


その雲はスコットによる上級魔法による水分の蒸発に真の霧により空気中に水分が増えたために出来たものだった。


「勝機はまだあるかもしれない」




ボロボロになりながらも立ち上がる氷華。


もう体中の骨も軋み少し動くだけで激痛が走る。

刀の先をナナに向ける。

「錬獄氷牢」


すると立方体の氷が現れ中にナナを閉じ込めた。

そして今度は刀を天に掲げた。


「氷雨」


刀の先から水柱が雲に向かっていく。


氷華は氷を身に纏った。

みるみる雲が成長していく。

ガシャンと音がなりナナが氷から出てきた。

それと同時にアジアのスコール並の強い雨が降り出した。


「危険反応確認。敵を殲滅します」


ナナは氷華の元に走り出そうとしたが、足が動かなかった。


下を見ると足が凍り付き地面とくっついていた。足だけでなく他の場所も凍り付き始めた。


どうやら雨に触れたところから凍り付くみたいだ。


辺り一面がみるみる凍り付いていく。


やがて雨が止む。


舞台の上はいくつもの氷山ができて氷の世界が広がっていた。


「零の境地」


体に纏っていた氷が崩れていく。


「これで…私の勝ち…だろう?」


ものすごい魔力を消費したので息があがる。


「まだ分からないですよ」


「何?」


その時右足に激痛が走り血が溢れ出す。


「くっ!」


思わず膝をついた氷華は攻撃された方を見ると氷山には小さな穴があいていた。


そしてその氷山が崩れ去った。


「いい攻撃でしたが私のコアまでは届きません」

氷華の体が宙に浮く。


いつの間にか蹴り上げられていたのだ。


ナナが上から回転しながら落ちて来る。


その勢いを利用して繰り出された蹴りを刀で防ぐが、そのまま氷山に叩き付けられ中までめり込んだ。


そしてナナのまわりを浮遊している正方形の物体がドーナツ状に集まりその中心に膨大な魔力が集まる。


(高電圧粒子砲!?)


そして放たれた光の光線はドゴーン!という音を出しながら辺り一帯を光に包みながら吹き飛ばす。


ナナが地上に着地する。

氷山は跡形もなく吹き飛んだが舞台の地面には傷一つなかった。


「特注の床石ですか…」

ガラッと音がした。


見ると氷華が立っていた。


「あの氷山を利用して盾を作りましたか。ですがそんなおもちゃでどうする気ですか?」


氷華の右手に握られていた刀は柄の部分しかなく刀身は粉々に砕けていた。


(勝てない……な…)


そのままうつぶせに床に倒れる。


(もう私頑張ったよ…)

まだです。


(え?)


心の中に直接声が響いているようだった。


あなたは勝つのでしょ?

(もう無理だ。体はボロボロだし魔力や刀すら残っていない)


体が傷だらけならば私が一時忘れさせましょう。


魔力が残っていないなら私が貸しましょう。



刀がないなら私を使いなさい。


(あなたは……)


私の名は――――





氷華が立ち上がる。


「もうあなたに勝機はありません。降参してください」


空間に穴があきその中から刀を取り出す。


鞘も柄も美しい蒼の刀を手に持ち鞘から刀を抜く。


その刀身も鮮やかな蒼だった。


「霜七草」


氷華の姿が消え、背後に現われる。



氷華が振るった刀を左手で防ごうとするがそのまま肩ごと斬り落とされてしまった。


「左腕損傷。一旦距離をとります」


ナナはバックステップして距離をとろうとするが、体が凍り付き始める。

「機体氷結。理解不能」

「氷結柱」


大きな氷の柱がナナを凍り付かせた。


「第三試合勝者下村氷華」


その声を聞くと氷華の体から血が溢れだしそのまま倒れた。


俺は氷華の元に行き、抱えて正一の元へ連れていく。


「治療出来るか?」


「もちろん」


みのりはもう完治しており氷華の治療の手伝いをしていた。


「じゃ……行って…くる」


「気をつけろよ」


「ん……」


刹那は短い返事をして舞台に向かう。


そこにいた人物は黒コートを着ておらず青い長髪に青い瞳の少女だった。

「久しぶりね。アシュリー・アルカード」


「…だ…れ…?」


「あなた私を忘れたの?まぁ仕方ないか…あんな事になったら。私の名前はセリア・フィレーヌ」

「それでは第四試合開始」


刹那は大鎌を取り出したがセリアはまったく動こうとしなかった。


「…しに…たいの…?」

「アシュリーあなた記憶を無くしているの?」


「違う…私…は…刹那…」


「そうやっぱり記憶を無くしているのね」


するとセリアは両手に小さな鎌を持っていた。


「私も死神族よ。そしてあなたの親友でもあるの」


「う……そ…だ…」


刹那はセリアに大鎌を振るった。


それをセリアは躱しさらに話を続ける。


「あなたの過去知りたくないの?知りたいから来たんでしょ?」


悪魔のような笑みを浮かべたセリア。


「いいわよ。教えてあげる。あなたの過去を。どうしてあなたがその神器『デスイーター』を手に入れたか。どうしてあなたの体が成長しないか。そして何故私があなたを殺したいほど憎んでるかをね!!」











―刹那八歳―


その時から少女の運命は狂っていく。

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