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第二十四幕

激しい金属音が鳴り続ける。


お互いの武器がぶつかりあう度にものすごい衝撃が起きる。


「へぇ、少しはやるじゃねえか」


「うっせぇよ、さっさと死にやがれ!」


隼人は魔力の光弾を放つ。


それを上に跳んで躱したオーガに追撃をする。


しかし巨大な斧に防がれる。


「あぶねぇな」


「ちっ」


隼人は既に全力だ。


魔業も使っているし解の力も使っている。


それでも捉えきれない。

むしろ奴には余裕すら感じさせる。


「じゃあそろそろ本気でいきますか」


俺は身構える。


「お前特質能力者って知ってっか?」




「知らねぇ」


そうかとオーガは呟き勝手に話し始めた。


「特質能力者ってのは名門十二家のような能力を持っている奴等の事だ」

「へー」


「研究所での実験は魔業の他にもう一つ特質能力者を造る事だ」


そう言うとオーガの体が変化し始める。


ベキベキと言う音をたてて形状が変わっていく。

そして変化が終わった後の姿はまるで、


「鬼…?」


「そのとおり俺の能力は魔業に似ている。『鬼』の力」


オーガがすごいスピードで走ってくる。


だが視える。


斧が降り下ろされるがなんとか防げる。


しかし俺が視た答は躱すだった。


俺は刀で防ぐがビリヤードの玉のように吹き飛ばされる。


壁に激突するが壁が頑丈なのか壁は無傷でそのせいで衝撃が全て俺に来てしまった。


「どうした?たいそうな目を持っていても体がついていかないか?宝の持ち腐れだな」


「うっせぇよ!」


隼人は勢いよく飛び出して斬りかかる。


オーガは下から斧を片手で振り上げた。


俺の刀は天高く吹き飛んでいった。


そして無防備になった俺の体に斧が振り落とされた。










「正一!」


私達三人は一気に飛び掛かった。


花はスピードで翻弄し私が氷で追撃、隙が出来たところに刹那のパワーを叩き込む。


しかしそのコンビネーション攻撃もまったく当たらなかった。


「想像以上だ…」


「こんなの…ありえない」


「………」


三人とも絶望感で満たされていた。


「あら?もうおしまい?」


余裕ぶるその姿は女王のようだった。


「あら、あっちも終わったようね」



三人とも隼人たちが戦っていた方を向くとそこには隼人を引きずっているあの男がいた。


「早くお前もそいつら始末しろよ」


そう言って隼人を私達に投げる。


私は落下点に回り込み隼人をしっかり受け止める。


「――!!」


私は隼人の姿を見て絶句した。


隼人は左の肩から斜めに右腹部まで切り裂かれていた。


あと少しで体は真っ二つになるところだ。


隼人の目には光がなく、心臓も停止していた。


「おい!隼人!嘘だろ!?お前まだ妹助けてないだろう!」


しかしその言葉に答は返ってこない。


ただ冷たくなっていく隼人の体を泣きながら抱き締める事しか出来なかった。





「そんな…正一と隼人までやられちゃうなんて…」


「………うわぁぁぁぁぁぁ」


いきなり刹那が叫びだしあたりの空気が重くなる。


「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す」

無機質に繰り返されるその言葉はまるで呪いだった。


「降臨せよ」


刹那がそう呟くと地面から何かが出て来る。


骨となった腕や頭がでてくる。


「やばいぞ、みのり!」

「はい」


その瞬間に刹那は斬り伏せられてしまった。


「………」


最後に隼人の方を向いて倒れていく。


「みんな、みんなやられていく…」


花はもう発狂状態に陥りそうだった。


「もう終わりだな」


男が近付いて来る。


私は目をつぶり心の中で助けてと呟いた。


そして巨大な斧は振り落とされた。







声が聞こえた。


誰だよ俺を呼ぶのは。


「おい起きんか!」


「ぐおっ!」


頭に激痛が走る。


殴られたようだ。


まわりを見ると真っ暗だった。


目の前には俺がいた。


「は?俺?」


「まったくやっと起きたか」


もう一人の俺からは威厳のようなものが感じられて一言一言が重かった。

「テメェ誰だ?」


「ワシか?ワシはデルトロじゃ」


「デルトロ…って…」


「そうじゃ!貴様の中にいる悪魔龍デルトロじゃ」


「なんで俺の前に現われた?」


冷静に言ったが内心は怒りで沸騰寸前だった。


こいつは伽音を殺した。

許せるわけがない。


「貴様死んだぞ」


「…やっぱりな」


「助けてやろうか?」


「必要ねぇよ。また暴れるつもりなんだろ?」


そう簡単にこいつの言う事は聞いてはいけないと自分に言い聞かせていた。


「はぁ、仕方ないのう。ほら出てこんか」


そう言うと光の人影が現われた。


その姿は忘れもしない伽音の姿だった。


「なんで…?」


「私の力が隼人の中に残ったみたい」


「こんな強い光が近くにあったら邪気も浄化されてしまうのう」


「隼人大丈夫だよ」


「どれワシが見本を見せてやるぞ」


そう言うとデルトロの姿が消えた。


「見てなよ。デルトロは大分変わったよ」


「伽音…」
















「あ?」


「表の世界は久しぶりじゃのう」


巨大な斧は目覚める筈がない隼人の刀によって防がれていた。


「お前…なんで?」


傷がジュウウという音をたてて塞がっていく。


「さて、ちゃっちゃっと終わらせるかのう」




隼人の背中から四つの漆黒の翼が生える。


オーガは鬼人化すると一旦距離をとるために後ろに跳ぶ。


しかしその後ろには既に隼人がいた。


隼人の攻撃をなんとか斧で防ぐが吹き飛ばされる。


オーガの体がフワリと上に飛ぶ。


いつの間にか隼人が下にいて蹴りあげていた。


「ちっ!」


「若僧どうしたこんなものか?」


刀をオーガに向けると刀身が急に伸びオーガの腹部を貫いた。


「がっ!…ありかよ…」

「この刀の名は『染め写し』文字通り心に描いているものを写す鏡のようなものじゃ」


そう言う隼人の手には背丈の三倍はある大剣を持っていた。


「つまり好きな形状に変えられると言う事なんだのう」


そしてそのまま空中にいるオーガを叩き潰す。


すごい勢いで叩き付けられて地面もヘコんだが斧で直撃は避けていた。


そしてオーガが飛び出す。


「この野郎!!」


激しい金属音がこだまする。


オーガは自分が斬られるのも構わずに突っ込んで来る。


オーガは血で真っ赤になり本当に赤鬼のようだった。


「その気迫に敬意を評して最強の一撃で終わらせてやるぞ」



刀身に黒い魔力が集中して刀が漆黒となる。


「ハッそんなもんあたんねぇよ」


隼人はそれを撃たずにオーガの懐に潜り込み刀を振るう。


それを斧で防ぐがそのまま零距離で黒龍が放たれた。



そしてあれだけ頑丈だった研究所が消し飛び異空間が崩れ始める。


そこにはオーガの姿は無く完全に消滅していた。

「さて、また眠るかのう」


隼人はそのまま地面に倒れた。



「ね?言った通りでしょ?」


「あぁ…」


「じゃあお別れだね」


その時ずっと隠し続けていた想いが爆発する。


「いやだ!お前といる!」


「ダメだよ…私はもう死んでいるんだから…」


「じゃあ俺も死ぬ!」


一度爆発するともう止まらなかった。


その時伽音が思い切り俺の頬を叩いた。


「いい加減にしなさい!あなたは生きるの!守るものはあっちにあるでしょ!?」


伽音は俺の事を突き飛ばした。


「私の事は思い出にして…幸せになってね」


そして強い光であたりは包まれた。

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