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第二十三幕

更新遅れてすいません。 これからは遅くなります

辺りが明るくなる。


術が解けて二度と見たくない夢から覚めてまわりの人の表情を見回すと皆俯いていた。


誰も言葉を発せなかった。


「言ったろ?後悔しねぇか?って」


すると氷華は顔を上げ


「違う!後悔はしてない!」


しかしまた俯く。


「背負うには重過ぎるってか?」


そしてまた長い沈黙が広がる。

誰一人顔を上げない。


「みんなもう暗くなるのはよそうよ」


正一は眼鏡をずり上げ顔を上げて年長者らしく振る舞い始めた。




「大事なのは同情ではなくてこれからの事だよね?」


「これからって…?」


そう言った花の目には涙が浮かんでいた。


「どうやってみのりちゃんを助けるかだよ」


「そうだ、リースどうしたらみのりちゃんは助けられるんだ?」


リースは相変わらず無表情のまま淡々と答え始めた。


「みのり様は洗脳されておりマス。それを解くにはあの男を倒さねばなりマセン」


「じゃあ俺やるわ」


「待て、一人では危険だ。私も戦う」


「そうだね、そしたら僕と花ちゃんと刹那ちゃんとでみのりちゃんを足止めしておけばいいしね!」


「それじゃ無理だ。みのりは俺よりも強かったんだぜ?それにアイツは俺だけで殺らせろ」


今度こそ護る。


俺自身の力で。


その決意が伝わったのか皆はしぶしぶ納得してくれた。


「それではアジトに乗り込むのは明日にしませんカ?」


「確かに今はキツいな…」


氷華はチラッと俺に巻かれた包帯を見て言った。

そして各々明日のための準備をすることにした。










「テメェ何が目的だ?」

俺は縁側にいたリースに尋ねていた。


「何が…とは?」


「テメェずいぶん俺達に協力的じゃねえか?」


リースは無表情のまま俯く。


そして意を決したように顔を上げた。


「私は元々人間で虚無に殺されて今の体になったんデス」


「な!?」


リースは続ける。


「私には感情がありマセンので憎しみはありマセンデシタ。しかしみのり様にお仕えするようになってこの方には幸せになってもらいたいと思うようになったんデス」




殺された側の味方をする気持ちなんて俺には分からなかった。


けれどもそれほど悔しい事はねぇと思った。


「私は…多分普通の女の子に戻りたいんデス」


無表情のまま見上げる。

ジメジメとした夏の空気を風が吹き飛ばし、風鈴の音が涼しさを感じさせた。


俺にはこの悲しいサイボーグの少女にかけられる言葉などなかった。


ただただ夏の夜は更けていった。










翌朝。


皆準備が整い玄関に集合する。


「一言だけいいか?」


皆は黙ったままだ。


俺はそれを了解の意と受け取り話始めた。


「これは俺の戦いだ。やめたいならやめても構わねぇ…」


「何を言っている」


氷華が優しい笑顔で俺に語りかける。


「私らは仲間だろ?助けるのは当たり前だ。お前はいつもみたいにしてればいいんだよ」


皆が頷く。


隼人の袖が誰かに引っ張られた。


「……私達…を…信用…しなさい…」


刹那は笑顔で言った。


笑顔といっても表情はあまり変わっておらず口元が微妙につり上がっている程度だけど長い日々をともにした隼人だからこそ分かった。


「…分かった。じゃあテメェら俺に利用されやがれ!」


それに合わせて一人オーと叫んだ正一だった。


「皆さん覚悟はいいデスカ?向かう場所は第三研究所デス」












俺らはリースの案内のもと第三研究所を目指して辿り着いたのはこないだの廃工場だった。



「ここデス」


「ここが研究所なのか?」


「正確には別デスけど」


リースはそう言うと壁に向かって走り出した。


そのまま思いっきり壁に激突すると思いきやそのまま壁をすり抜け入ってしまった。


それに続き皆も壁に飛び込む。


一人だけ違う壁に激突した刹那がいたが気にしない事にした。


そして壁の中に入ると見覚えのある風景が広がっていた。


「ここは…」


「そうデス。全ての研究所は研究者がどこの研究所でも変わらず研究出来るように同じ造りにしているのデス」


「ちっ嫌な制度だぜ」


俺のトラウマとも言える第一研究所と同じ造りに気分も滅入るが今はそんなことも言っていられなかった。


「おかしいデス…」


「ん?どうしたんだ」


何かに気付いたリースに氷華は警戒しながら尋ねる。


「人の気配がシマセン」

「確かに…」




俺たちは警戒しながらも長い廊下を突き進んだ。

そして広いエリアに出ると前方には男とみのりが立っていた。


「んだよ?テメェらしかいねぇのか?」


「研究員どもにはどいてもらったぜ。お前らなんか俺らだけで十分だ」


俺は男に向かって走り出した。


俺の前にみのりが立ちふさがる。


「行かせないよ」


みのりが刀を振るう。


しかしそれを氷華が受け止めた。


「私は隼人を通らせなければならないのでな」


俺は振り返らずただ男の元へと走る。


「ちっ使えねぇなー。いいぜ、来やがれよ化物!」


そして男は巨大な斧を取り出す。


「俺の名前はオーガ。よろしくっ!」


そしてお互いがぶつかりあった。










私は隼人をあの男と戦わせるためみのりの足止めを引き受けた。


だが、私の他に刹那、花、正一の三人がいる。


みのりには本気でやってもいいと隼人は言ってたけどここまで人数を揃える必要はないと思っていた。


「あなたのせいで兄様が行っちゃったじゃない」

「悪いがそれが役目なんでな」


「あなた一人でやる気?」


「そのつもりだが?」


みのりは鼻で笑うと刀を私に向けてきた。


「どうせなら全員でかかって来てよ。…咲きなさい『椿』」


すると刀が光る。


そして円形になりまるで花びらのような刀になった。


私は一気に懐に飛び込む。


そして刀を降り下ろす。

しかし刀の腹にみのりは手のひらで打ち込み軌道をずらしてみのりが剣を振るう。


辛うじて躱したが右頬を抉られた。


「この程度?」


「まだまだ」


みのりは刀を振り上げて氷の槍の雨を降らす。


「躱せないだろ?」


しかしみのりはまるで何もないように歩きながら躱す。


「な…に?」


気付くとみのりは氷華の背後にいた。


「さようなら」


しかし剣は氷華に届かずに光の盾に遮られる。


「氷華ちゃんみんなで戦おう!」


「…分かった」


次の瞬間みのりを刹那と花が挟み撃ちにして襲いかかる。


しかしそれを最小限の動きでみのりは躱した。


そして一瞬で二人を蹴り飛ばす。


「きゃああ!」


「……っ…」


みのりを光の箱が閉じ込める。


「このままおとなしくしてもらうよ」


「いたた、ナイス正一」

ゆっくり起き上がる花と刹那。


光の箱は五重になりさらに脱出を不可能にする。

「確かにこの箱を壊すのは一苦労ね。教えておいてあげるけど解の力は予測、解析、反応の三つに分かれているの。私の解の力は予測に特化されているのよ」


「だからどうしたんだい?」


その時正一の腹から剣の先が飛び出す。


「ゴホッ、なんで…?」

後ろには箱の中にいる筈のみのりがいた。


そして箱は音をたてて崩れていく。


箱の中のみのりは煙となって消えた。


「偽者…?」


「だから言ったでしょ?私の解の力は予測に特化されているって」


正一はそのまま地面に倒れた。

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