表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
22/52

第二十二幕

隼人の姿は異形と化していた。


髪は金色に染まり顔には龍の顔の骨のようなものがついておりその瞳は禍々しい紅だった。


背中には漆黒の翼が生えて腕は黒い鱗に覆われていた。


「ガアアアア!」


研究員たちは必死に隼人を止めようとしていた。



「止めろー!」


研究員が呪文を放つ。


その全てが隼人に当たるがそれをものともしていなかった。


「ガアアアア!」


隼人の口に魔力が集まる。


黒い一撃を放つ。


次の瞬間研究所の半分が消し飛んだ。


「いい感じですね」


ラウールは魔術でシールドを展開していた。


「しかしこのままでは逃がしてしまう。どうしようかな…私では勝てないし」


隼人はさっきみのりに与えられた剣をとった。


そして大きな翼で羽ばたき始めた。


「あぁ逃げちゃうね」


ラウールは緊張感がなく笑っていた。


その時閃光とともに隼人の片翼が斬られた。


「ウオオオオオオオ!」

その痛みで暴れ始める隼人。


その隼人の前には光に包まれた伽音が現われた。


「隼人は私が絶対に助ける」


伽音は走り出した。


そして刀を振るうと閃光の斬撃がもう一つの翼を斬り落とした。


隼人は叫びながら右手を巨大化させて襲いかかる。


それを伽音は高く躱して光の槍を無数に出現させる。


そしてそれを隼人に放ち串刺しにする。


「ウオオオオオオオ!!」


光の槍が刺さっている所からジュウウという音を出して黒い煙が出ている。


「これが観音寺の『光』かぁ。すごいけど浄化されると困るんだよ」


ラウールは複数の氷の魔術を空中にいる伽音に放つ。


(空中じゃ躱せない!)

しかし隼人の黒い手が伽音を守った。


「何!?」


「隼人!」


「ジャマヲスルナ」


そしてその手でラウールを潰す。


「ぎゃあああああ!やめろ!」


その叫びもむなしくグチャっという音を出して肉片に成り果てた。


「やっとワシがコントロール出来るようになってきたわ」


そして隼人の背中から四つの漆黒の翼が生えた。

「小娘、殺してやるぞ」

そいつがニヤァと笑った瞬間視界から姿を消した。


グサッという音ともに腹部に刀が突き刺さった。

大量の血が口から溢れ出す。


「あなたの…目的は…何?」


目の前にいる悪魔に問う。


「ワシか?そうじゃのう…人間界を支配するのも面倒だ。魔界に帰ろうか」


「じゃあ隼人の体を返して!!」


「嫌じゃ」


腹部に突き刺さっている刀を通じて邪気が体の中に入ってくる。


「じゃあ返してもらう」

伽音は悟っていた。


この傷では助からないだろう。


ならばこの命全てをかけて隼人を救う。


「はあああ!」


伽音の全身に光が纏う。

そして邪気を押し返して浄化していく。


「人間程度の矮小な力でワシに敵うと思うな!」

再び邪気が勢いを増して伽音の光を食らう。


(お願い!私はどうなってもいい。だけど隼人だけは!)


その時光がより一層輝いた。


辺りが光で包まれる。


「人間ごときが何故これほどの力を!?」


隼人の体が浄化されていく。


「私は隼人を救う。私の大切な人を守る!」


「貴様自分の命を削っているな!だがワシはこれで完全に滅する事は出来ぬぞ!うおおおおお!」

伽音の体から刀を引き抜き首を斬り落とそうとするが、


「体が動かない!?まさか無意識にこの男が小娘を守ろうとしているのか!?」


伽音が光の剣を形作る。

そして隼人の体に突き刺す。


「帰ってきて!隼人!」

光が隼人の体に集中する。


「………人間の力をナメ過ぎだったのう…」


そして強い光が辺りを包み込んだ。










「うっ!俺は…?」


俺が目を覚ますと目の前には伽音が倒れていた。


「伽音!!」


伽音に近寄ると腹部から大量の血が流れていた。

「伽音!伽音!!」


大声で伽音を呼ぶ。


「…隼人…」


伽音がうっすらと目を開ける。


「伽音!しっかりしろ!今病院に―」


その時伽音が手で制した。


その手はもう私は助からないという意味だった。

「…ふざけんなよ…また守れなかったのかよ…」

俺の目から涙が溢れる。


伽音はニッコリと笑って俺の涙を手で拭ってくれた。


「答え」


「え?」


「遅くなったけど答えを言わせてくれ」


その言葉を聞いた伽音はじっと俺の言葉に耳を傾けてくれる。


「俺も伽音の事が好きだ」


その言葉を聞いた瞬間伽音の目からも涙が溢れた。


「やっと答え聞けた…。遅いよもう…」


「ゴメン」


「…隼人が帰ってきたら渡そうと思ったんだ…」

伽音が渡してきたのは指輪のネックレスだった。

「御守りだよ」


それを受け取ると伽音は目をつぶった。


「ねぇ…キスして…」


俺はゆっくりと伽音の唇に重ねた。


「ん…ふ…はぁ…」


吐息が漏れる。


唇が離れる。


「もういいよ…いい冥土の土産が出来たよ」


「そんなこと…言うなよ…」


「最後に言わせて…生きて…私の分まで…そして今度こそ大切な人を守るの…バイバイ…私も隼人の事好きだったよ…」


伽音の体から力が失われる。


「おい…伽音…?」


しかしその問い掛けには答えなかった。


「おい…伽音…俺を置いていくなよ…母さんもみのりも死んだ…それに伽音までいなくなったら俺は何のために生きればいいんだよ!」


しかし伽音のからだはただ冷たくなるだけ。



「おい!零番が居たぞ!」


研究員たちが集まる。


「そうだ…あのクソ親父を殺そう…」


「おいおとなしく捕まれ!」


すると隼人のまわりに黒い魔力の球体が現われた。


「な、なんだ!?」


そして一瞬で第一研究所ごと消し飛ばした。







瓦礫の山の上を伽音を抱えながら歩く。


やがてカプセルのようなものに伽音を入れて穴を掘り軽く埋めておいた。


これで教団が見つけるだろう。


俺は歩き出した。


すると下に続く階段がある事に気付いた。


俺は下りていく。


とりあえずこの研究所にいる全ての関係者は皆殺しにしようと思ったからだ。


一段一段階段を下りていくと牢屋があった。


そしてその中には一人の少女がいた。


白い髪に禍々しい紫の目。


しかしその目には生気がまったくなかった。


何故だろう?


俺と似ていると思った。

「…誰?」


少女がこちらを見た。


俺は近付こうとしたが見えない壁に遮られた。


「無理…結界…ある」


「なぁ俺と一緒に来ないか?」


その言葉を聞いた少女は無表情なまま首を傾けると静かに頷いた。


俺は黒い魔力を纏うと無理矢理結界を壊した。


少女がヒョコッと出てくる。


そして俺の首に大きな黒い鎌を突き付ける。


「あなた…敵…?」


「俺は炎磨隼人。ここでは零番と呼ばれていた」

「あなたがNo.零か…」


相変わらず無表情だがさっき放たれていた殺気が消えた。


「お前名前は?」


「ない…」


「そっか…じゃあ刹那ってのはどうだ?」


適当に思いついた名前だが気にいってくれたのか刹那刹那と呟いていた。

「よし刹那行こうぜ」


「…ん」


そして二人は歩き出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ