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第二十一幕

「なんでだよ!!父さん!!」


父さんは相変わらず笑みを浮かべたままだ。


「みのりを…返せ!」


「ほう、隼人は父を疑うのか?」


「うるせぇ!」


俺は腰に差していた刀を抜き父さんに飛び掛かる。


「やれやれ、困った子だ」


父さんは太刀をとりだす。


そして俺の刀を受け止める。


俺は激しく刀を振るい続ける。


「そんなに心が乱れていては避けるのも容易いぞ」


父さんは全て俺の攻撃を躱す。


俺は一旦距離をとり頭を冷やす。


(落ち着け!あれは敵だ)


俺は再び飛び出した。


そして悠々と構えていた父さんの背後にまわった。


「なに!?」


父さんは振り返ると俺に向かって太刀を振るう。

しかしその太刀は空を斬った。


俺は再び背後をとっていた。


(もらった)


俺は刀を振り抜く。


父さんは前に跳び辛うじて躱した。


「強くなったな…」


「ちっ!」


俺は追撃を試みたが刀を上に弾かれ隙が出来た腹部に蹴りを食らった。


「ぐっ!」


俺は後ろに吹き飛んだがなんとか体勢を立て直す。


だけど太刀は重くて俺の刀より遅い。


いつか捉えられる。


だから負けない。


俺は下手くそな火炎系魔術を放つ。


父さんは右に跳んで躱す。


そして俺は同時に右側に回り込もうとした。


その時渇いた音がしたかと思うと光る球体が俺に向かって飛んで来た。


「ぐぁぁぁぁぁぁ!」


俺は予想外の攻撃を避けきれず直撃してしまった。


その光弾はとてつもない威力だった。


俺はもう立ち上がれなかった。


「…くそっ!」


父さんが笑みを浮かべて近付いて来る。


「だからお前はダメなんだ。まだ視えてないのか」


そう言う父さんの瞳の色は蒼く中心に紫で解の字が刻まれていた。


「これをタダの太刀だと見たのか?これは銃剣ガンソードだ」


「ガン…ソードだと?」

ガンソードはオールレンジで戦える性能の高い武器だがその反面扱いづらく使い手の数は少ない。



「残念だ…隼人」


剣の先を向けられる。


そして眩い光と轟音とともに俺の意識は途絶えた。















目を覚ますと辺りは真っ暗だった。


「ここは…どこだ?」


やがて動けない事に気付いた。


体は何かで縛られており手は少し動く度に激痛が走る。


「起きたかね」


その時いっせいに明かりがつく。


最初は眩しくて目も開けられなかったがやがて目が慣れてくると俺の状況が少し分かった。


俺は十字架のようなものにはりつけられている。

体や足は鎖で巻かれて手には大きな杭が突き刺さっていた。


「やあ、おはよう。零番」


声のする左上を見るとガラスの向こうに父さんと白衣姿の男がいた。


「何をするつもりだ?」

男はニタァと笑った。


「実験だよ。最強の悪魔を復活させるためのね」

そして暗かった向かい側の部分にもライトがつく。


そしてそこにいたのは大きな大きな龍だった。


「今から悪魔龍デルトロの力を注入する。準備しろ」


すると研究員たちが出てきて俺にチューブを刺す。


「くそっ、やめろ!」


そのチューブは龍にも刺さっており俺と繋がっている状態だった。


「注入開始」




「あああああああああ!!!」


チューブを通して得体のしれない何かが俺の中に入ってくる。


「あああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

体中に激痛が走る。


体が熱い。


そして俺は気を失ってしまった。










目を覚ますと俺の体はとても熱く意識が朦朧としていた。


腕を見ると皮膚がはがれて感覚がなくなっていた。


「ゴホッ!」


大量の血が口から出てくる。


体が痙攣を起こす。


大体人間にデルトロの力を入れるなんて無理だろ。


「うーん…拒絶反応がすごいね…どうしようかな…そうだ!!」


ガラスの向こうにいる男が独り言を呟いている。

「炎磨殿アレをやっても構わないかな?」


今度は父さんに向けて話し始めた。


「…あぁ。…構わないぞ」


「よーし。始めるよ!」

すると俺の周りに結界が張られた。


そして目の前に魔方陣が現われた。


そして眩い光とともに人が現われた。


「嘘だろ…なんで母さんが…」


その人物は母さんだった。


「うおおおおお!!」


母さんのような何かが雄叫びをあげた。


「やっぱり失敗しちゃったね。じゃあ第二段階に入るよ」


そして今度は右側の扉が開き、みのりが現われた。


「兄様!兄様!」


みのりは俺を見つけるとすぐに駆け寄ってきた。

「くっこの結界が…待ってて兄様!今すぐに助けてあげるから」


「みのり後ろ!」


みのりが振り向くと母さんがみのりに襲いかかる。


「きゃあ!」


そしてみのりは避けて離れた。


「なんで…母様が?」


「みのり逃げろ!」


すると上から剣が降ってきた。


「その剣を貸してあげるよ」


その剣で母さんをみのりに殺させるつもりか。


俺はかつてない怒りを感じていた。


「無理だよ…母様を殺せない」


みのりは剣をとらずに母さんの攻撃を躱す。


「みのり!そいつは母さんじゃねぇ!!殺せ!」

しかしみのりは剣をとらない。


やがてみのりは壁に追い詰められた。


そして母さんがみのりの首を掴んだ。


メキメキという音が響く。


「やめろー!!」


俺の叫びもむなしく母さんはますます首をしめる手に力をいれる。


みのりの目は虚ろになっていき、口からは唾液がだらしなく流れる。


みのりも必死に母さんの手を掴み抵抗するが、母さんの力は強かった。


メキメキという音からバキバキという音に変わり今にもみのりのか細い首へし折れそうだった。


「助けて…兄様…」


「やめろ!やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ!」


ベキッという渇いた音が響く。


見るとみのりの手は力なくブランとぶら下がっていた。


「ああああああああああああああああああ!!」

俺は憎んだ。


あの男を。


そして父さんを。


その時俺の中に何かが芽生えた。


「はい、ご苦労様」


母さんがボンという音とともに爆発した。


「もう用済みだからね。始末しといたよ」



そして俺の周りの結界が消えて俺は別室に連れていかれた。















俺はその真っ暗な部屋の中で泣いていた。


そして憎んだ。


この研究所の奴等を。


俺の無力さを。


その時俺の心臓の鼓動が熱く高鳴った。


「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すコロスコロスコロスコロスコロス!!」


(そうだ。殺せ)


俺の中で誰かの声が聞こえた。












「ラウール様!」


手下の研究員がなにやら急いだ様子でやってきた。


「どうしたのかな?」


「はっ!零番が覚醒を始めて部屋から逃げだしました。」


「やっとかぁ…」


ラウールと呼ばれた研究者は笑った。












隼人がいた部屋の付近では戦いが起きていた。


「くそっ!化物め!」



爆煙の中から姿を現したのは龍と人が混ざりあったような姿をした隼人だった。



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