番外編 その⑦
番外編 その⑦
三筆とはいったい
外出すると囲炉裏の火の消し忘れが気になって気になって、
家に帰りたくなる空海です。空海です。空海です。
筆「お寺なので人多いので、あなた様だけの囲炉裏ではないですけどね」
つまり安心安全。じゃあ帰るか。
筆「さぼりたいだけですね。わかりますん」
筆ちゃん筆ちゃん、しってるぅ~?
筆「今日はどうしました?」
世の中にはね、三筆ってのがあるらしいよ?
筆「他人事??」
さすがに俺も知ってるって、三筆。
空海は高弟といわれる金剛峯寺の高僧3人を枕元に呼び寄せた。
実慧、真雅、恵運である。
空海「よいか。この先、この真言宗の教えを絶やしてはならぬ。
真言宗は外にも内にも問題を抱えておる。
これから三人が協力していかないと滅ぶぞ。
我の後は実慧にまかせる。二人はよく協力するように。
実慧よ、二人を頼りに、後はまかせるぞ。
ここで一つ、力を合わせる事の意味をおしえよう。
実慧よ、この大幣を折って見せよ」
実慧「無茶いわんでくださいよ。無理ですよ、固いですよ?」
空海「やれ。いいからやれ。体重かければいけるいける。
“無理”という言葉はね、嘘なんです」
実慧「ていうか怒られますよ。神具ですよ?」
空海「神道の祓具で密教の法具じゃないからセーフ。
だれも見てないからいけるって。
あきらめんなよ。なんであきらめんだよ。もっとあつくなれよ」
実慧「ああもう、しりませんからね」 ボキッ
空海「こう、祓具といえど折れるのじゃ」
空海「実慧、今度はそれを三本重ねて折って見せよ」
実慧「無理に決まってるでしょうが」
空海「諦めたらそこで試合終了ですよ?」
空海「な、折れないじゃろ。つまり一人では折れてしまっても、
三人で協力すれば折れないんじゃよ。
だから協力してやるんじゃぞ」
空海「真雅よ。弟のおまえに後を継がせてやれなくて済まぬ。
宗教とは血で継ぐものではない。
貴様がようやっとるのは知っておる。
貴様に後を任せるだけの能力が備わっておるのも知っておる。
だがな、ここで貴様に後を託すと、
“ああ、結局血で決まるのか”となってしまうのじゃ。
今後、この先、この真言宗がそうなるとどうなるのか、
貴様なら言わんでもわかるじゃろ。すまぬな」
というのがね、三筆なのよ。
筆「ちがいます」
この空海、違いの分かる空海。
そのうちCMのオファーもくるはずっ。
つまり真三筆がなんなのか、もちろん知っておるぞ。
筆「まるで先の三筆が真実であるかのように言わないっ」
まあ、じゃあちゃんとしようかの。
三筆とは、「AIとしての筆ちゃん」「筆としての筆ちゃん」「女としての筆ちゃん」。
この三つの筆ちゃんがそれぞれの思考で判断して、
人のジレンマをうまく制御に落とし込んだ画期的なシステムである。
空海「つまり、三筆システムは、筆ちゃんの三つの人格が──」
筆「人格ではありません。プロセスです」
空海「まぁまぁ、細かいことは気にしない」
筆「よくありません」
空海「つまり筆ちゃんすごいっ」
筆「ちがいます」
空海「んもぅ、わがままなんだからぁ」
まあ、そろそろ字数も稼いだし本題にいこうかね。
三筆とは──
教皇SAGA、
わしこと空海、
そして地味で目立たない橘さん、
この三人じゃな。
筆「その“目立たない”って表現いります?」
空海「だってあやつ、わしと遣唐使時代からつきあいあるのに、
本編に名前すらでとらんぞ?(メタ)」
筆「はい、そういうことは言わない」
空海「あやつとも長い付き合いなんじゃが、
あ奴の最後はちょっと可哀そうでなぁ。
その時の事、ちょっと語ろうかのぅ」
筆「そうですねぇ。悲劇とはなんなのか、考えさせられますよね」
次回 番外編その⑧ 三筆 その②
真実を見極めろ。頑張れ橘さん。
下の名前すらでてきてないぞ。




