番外編 その② 弘法の筆が誤り 誤字にあらず
どうも 俺です。空海です 空海です 空海です。
いやね、讃岐の善通寺なんですけどね。
まあ、この肉体の本当の持ち主といいますか、
俺は落ちてきた魂なんですが、そのときの魂の抜けた身体の持ち主――
つまり、本当の少年のご実家なんですわ。
だからね、なんというか、幼少期もそこにいたらしいので
無下にするわけにもいかず、
かといって関わりを持ちすぎるのも、なんというか、こう、アレでしてね。
避けているわけではないのですが、避けざるを得ないといいますか。
ね、わかるでしょ?
というわけで、ワープでシュシュッと到着。善通寺です。
いろいろと少年の親御様がご寄進したりなんだかんだありますが、
そこは割愛してと。
今回の依頼は、地鎮祭に使う護符の作成と取付工事なんですけどね。
今、大変なことに気が付きました。
筆ちゃん いねぇ。
⑥番に「ご機嫌取りしておけ」って言って置いてきちゃった。
やべぇ。まじやべぇ。
つか護符ってどう書くのまじで。ボスケテ(魂の叫び)
あれか。一度取りに帰るか。そうだ、そうしよう。
「遍照金剛様、お待ちしておりました。
歓待したいところではございますが予定が詰まっておりまして、
さっそくのお願い申し上げます」
取りに帰る時間がねえええええ。
いやーーー。
つまり、書けばいいんだ。俺は誰だ。そう、俺だ。
やれるやれる。やればできる。
そう、この道を進むのだ遍照金剛。
この道はどこにいくのか。いけばわかるさ by 一休。
一休さんまだいねええええええ(混乱)
体よ震えるな。体よ怯えるな。そう、俺だ。俺なのだ。
ここは叫びながら書けば勢いでごまかせるはず。
【密教の地鎮で実際に書くもの】
■ 大日如来の種字「ア」
■ 四天王の種字
■ 結界を示す界札
■ 土地の霊を鎮める真言を書いた札
■ 護摩灰を漉き込んだ特製紙(護摩灰紙)
■ 土公神を鎮める呪符
となるので――
界札を書くか。これは四方と中央。
そして外周に結界真言を1つ。
【東】持国天 種字:ヴァ(वै)
【南】増長天種字:ラ(र)
【西】広目天 種字:ヒ(हि)
【北】多聞天 種字:ベイ(वै)
札の材質は神木の白木で、
裏面に「地天安鎮」「土公静守」。
んで護摩灰紙に地鎮の真言をっと。
オン・ケンバヤ・ケンバヤ・ソワカ
(結界を固め、土地を鎮める真言)
オン・バサラ・ダルマ・キリク・ソワカ
(地天・土公神を鎮める真言)
オン・アボキャ・ベイロシャノウ・マカボダラ・
マニ・ハンドマ・ジンバラ・ハラバリタヤ・ウン
(大日如来の根本真言:地鎮の中心)
オン・アラタンノウ・サンバンバ・タラタラ・
センダラ・ハラバヤ・ソワカ
(悪気・荒ぶる気を鎮める真言)
よし、最後に大日如来様を表す真言。
【大日如来・根本真言】
オン・アボキャ・ベイロシャノウ・マカボダラ・
マニ・ハンドマ・ジンバラ・ハラバリタヤ・ウン
【大日如来・種子真言】
アー(अ)
※ 宇宙の根源・法界の本体を示す“ア字本不生”
【大日如来・三昧耶真言】
オン・バザラ・ダルマ・キリク・ソワカ
よし。そして最後に、この掲げるやつにアー(अ)を書いてっと。
なんじゃ、頑張ればいけるじゃん(満足)
――そして、事件は起こる。
よーし掲げたなー。完成ーい。
ん? んん? んんん?
あ。アーがちょっとおかしい。
こう……ちょっと足りない。
まずい。まずい。あれじゃアーになってない。
ああもう掲げちゃってるよ。やべえ。
よし、俺の投擲スキルならば――こう! とやあああああ!
ペチョ。
よし完璧。ナイスフォロー俺。
……あ、待って。待って。
結界が暴走してるううう。
真夏なのにブリザードとか(笑)
わろてる場合かあああああ!
「オン・ケンバヤ・ケンバヤ・ソワカ!!」
(結界の揺れを止める)
「オン・バサラ・ダルマ・キリク・ソワカ!!」
(土地神を鎮める)
「オン・アボキャ・ベイロシャノウ……」
(大日如来の力で全体を再統合)
……と、止まった。やったぞ俺。
しかし、なんか力が吸い取られて……
もう、ひん死じゃね?俺。
★善通寺の僧侶は見た
其の日、遍照金剛大師、忽然として御来臨あらせらる。
風の如く現れ、影の如く消ゆる御方なれば、
我ら凡夫の目には、ただ光の尾のみ見えたり。
地鎮の儀、まさに始まらんとす。
大師みずから界札を記し給うと聞き、
僧徒一同、胸を正し、息を呑みてこれを拝す。
大師、白木の札を取り給い、
まず中央に「ア」の字を記す。
筆の運び、雷の走るが如し。
四天王の種字、東西南北に散り置かれ、
真言は風に乗りて震えたり。
――されど。
大師の御顔、ふと曇る。
「……あれ? ちょっと足りない」
その声、我らの耳に確かに届きぬ。
掲げられし札を仰ぎ見れば、
たしかに「ア」の字、上の点ひとつ欠けたり。
僧徒、皆、凍りつく。
大師、しばし沈黙ののち、
「まあ、投げれば当たるやろ」と仰せられ、
筆を天へ放ち給う。
筆、空を裂きて飛び、
札の上に――
ぺちょ。
見事、点が付く。
その瞬間、地鳴り、風逆巻き、
真夏に霜の降るが如き寒気、境内を走る。
結界、乱れたり。
白き霧、渦を巻き、
影のごときもの、幾つも立ち上がる。
人の形に似て、人にあらず。
大師の影身、暴れ出でたり。
我ら僧徒、声も出ず。
大師、ただ一歩、前へ進み給う。
「オン・ケンバヤ・ケンバヤ・ソワカ!!」
声、雷の如し。
揺れ狂う結界、ぴたりと止む。
「オン・バサラ・ダルマ・キリク・ソワカ!!」
地の底より呻きしもの、静まり返る。
「オン・アボキャ・ベイロシャノウ……」
大師の声、次第に細りゆく。
光、身より抜け落ちるが如し。
影身ら、ひとつ、またひとつと溶け消え、
風は止み、空は晴れたり。
――大師、膝をつき給う。
その御姿、まるで魂を半ば持っていかれたるが如し。
我ら僧徒、ただ震えながら、
「これぞ大師……」と呟くほかなし。
後に聞くところによれば、
この出来事、あまりに恐ろしく、
あまりに不可思議にて、
都に伝えるに忍びず。
ゆえに、後世の者ども、
この善通寺の怪異を語らず、
ただ「応天門の点書き」として
穏やかなる話へと作り替えたりと。
――これは、我らが見た真実なり。
それはそれとして
大師、筆を執り給う折、
ふと「いけばわかるさ、とは一休の言葉よ」と
独りごち給う。
我ら僧徒、その名を聞きて顔を見合わせたり。
一休――いずれの経典にも見えず。
いずれの高僧にも聞かず。
いずれの国史にも記されず。
「いっきゅう……とは、いかなる尊者にて候や」
と問わんとすれど、
大師、すでに次の筆を走らせ給い、
声をかける隙もなし。
後に僧徒ら語り合う。
「大師の御心、未来をも見通すと聞く」
「ならば、未だ生まれざる高僧の名を
うっかり口にされたるやもしれぬ」
「あるいは、我らの知らぬ別界の賢者か」
いずれにせよ、
大師の御言葉、凡夫の及ぶところにあらず。
ただ、あの時の大師の叫び――
『一休さんまだいねええええええ』
という御声のみ、耳に焼き付きて離れず。
あれは、いったい何事であったのか。
てなことがあったんだよねえ どうおもう筆ちゃん
筆「歩く大騒動発生装置の称号を与えましょうか?」
いやー 俺問題おこしてねーから だいじょぶだって
筆「アマテラス様から 苦情のお手紙来てますよ」
天照大御神 御沙汰
遍照金剛 空海 其許に告ぐ。
讃岐において奇怪の風起こり、
真夏に霜降り、地鳴り轟き、
影のもの走り回る由、天上にまで聞こえたり。
これ皆、其許が善通寺にて
「ア」の一字を誤りしより起こりし災なり。
そもそも大日如来の種子を誤るなど、
密教の祖たる者の所業にあらず。
ましてや筆を投げて点を加うるとは、
神々も前代未聞と驚きぬ。
地鎮の儀は、天地の気脈を鎮め、
国土を安んずる大事の法なり。
これを誤り、結界を乱し、
影身を暴走せしめたるは、
天つ罪・国つ罪、軽からず。
よって、ここに厳重に申し渡す。
一、今後、護符を書くにあたり、
筆を投げて補筆すること、堅く禁ず。
一、筆神を置き去りにすること、慎むべし。
一、結界を乱したる際は、速やかに天上へ報告すべし。
右の条々、違うことあらば、
天照大神、直ちに雷神を遣わし、
其許の頭上にて太鼓を鳴らし候。
なお、今回の件につきては、
地鎮の地神らよりも苦情相次ぎ、
天界の会議にて大いに議論となれり。
以後、慎みて行動すべし。
天照大御神 御判
天罰ぅぅぅぅぅ しかも 雷おとすとか 頭ゼウスとか 怖っ
筆「またそんなこと言うと 雷おちますよ?」
ぴえん
かくして影身騒動はおさまったのだが
のち世にこの話が
天変地異はさすがに問題だろうと 善通寺の僧が気を利かせて
なんとなく伏せたので情報が錯綜してしまい
「応天門」の事件として後世に残るのである
つまり 弘法も筆の誤りは
達人でもミスをする 達人はそのフォローも完璧 ではなく
筆ちゃん忘れたから まちがっちゃった★テヘペロ
つまり 使う筆間違ったら そら 間違いするだろ が 本筋である
だって 空海のチートだしね
★後日談
筆「……で、結局のところあなた様。
今回の件、どう総括なさるおつもりで?」
いやいやいや、俺は悪くねえって。
筆ちゃんがいなかったのが悪い。うん。
筆「わたくしを置き去りにしたのはどなたでしたっけ?」
……はい、俺です。
筆「しかも“投げれば当たるやろ”って……
あなた様、それはもう書道ではなく狩猟ですわよ?」
いや、でも当たったし。結果オーライだし。
筆「結果オーライで済んでいたら、
アマテラス様から御沙汰は来ませんわよ?」
あ、そうだった。
アマ姉の手紙、あれマジで怖かった……
“雷神を頭上に派遣”って、
頭ゼウスなの?アレを神様って自信もっていえるの?
筆「あなた様、また不敬なことを言うと本当に落ちますわよ?」
ぴえん。
筆「まあ……今回の件は、善通寺の僧侶方が
“天変地異は伏せておきましょう”と
気を利かせてくださったおかげで、
後世には穏やかな伝説として残りましたけれど」
そうそう。
“応天門で点を忘れた話”になってるんだよな。
あれ、完全に別物じゃん。
筆「本来は“影身暴走事件”ですものね」
いやほんと、あれは死ぬかと思った。
魂半分持ってかれたし。
筆「あなた様、あれは自業自得ですわよ?」
……はい。
筆「でもまあ、後世の人々が
“弘法も筆の誤り”と優しくまとめてくれたのは
あなた様の徳のおかげですわね」
いや、筆ちゃんのおかげだよ。
筆ちゃんいないと俺、ほんとに死ぬ。
筆「わかっているなら、置き去りにしないでくださいませ?」
……はい(震え声)。
ちゃんちゃん
おまけのおまけ
弘法も筆の誤り
どんな達人もたまにはミスもする
ミスをしても 立て直せるのも また達人
真実★ 使う筆まちがえちゃった(テヘ★
答え 弘法が筆を誤り が 正解
さらにおまけ
呼び出された分身たち
ただでさえ空海は目立つのに それが何人も
後世に伝わる 同時多発空海の謎である
おまけもおわり またね
宇宙とは 大日如来とは アマテラスとは ユニバアアアアス
いよいよ明かされる 密教の極意
次回 番外編 その③ 焼肉定食
君は真実をしって受け止められるのか
器の意味……… そして
この次もサービスサービスゥ




