第五十一話 真実は見てる人によって違いがあるのです(当社比)
ちがああああう(絶叫)
太鼓のリズムはこうなの!
いや 慣例とかいらんから やれ(無慈悲)
ちがああああう(二回目)
舞はこう こうなの ここでクイっと
お尻付きだすポーズが恥ずかしいとかいわない
やれ(無慈悲)
ちがあああああああう(三回目)
笛の旋律はコウ こうなの ちゃんとイメージ汁!
このらせんでこのりずむで こうなるの(令和脳)
やれやれやれ。
こんな大規模な舞台でコンサートの準備してるプロデューサーは誰だい?
そう、僕です。クウPって呼んでネ。
さあさあさあ、もりあがってくるぞおお。
本番まで、あと1日(修羅場)
太鼓ヨシッ。
舞妓さん ヨシッ。
笛隊 ヨシッ。
じゃあ始めようか。
俺の俺による俺の為の、俺の歌をきけえええええええ。
Yo… チェキラ
此処に宣り申す 天つ神 国つ神
八百万の御前にて 遍照金剛 空海 申し上げます
まずは今回の騒動
乱れ飛んだ地脈の件
深くお詫びと 対処の報告
ここに奏上いたします
封印の理由はただひとつ
未来と過去から逆流する
エネルギーの暴走現象
これを抑制するための制御
太平洋ルートを結界軸
香取・鹿島のツインゲート
熊野灘の海路を通し
熊野古道の結界で同期
四国魔法陣で位相を合わせ
全ルートを一本化して安定化
要石の生贄は不動明王像
Version 8.2 空海製
ここ成田の光渦の中心に
封じ固めて据え置き申す
封印制御が完了したことで
関東は本来あるべき姿へ還る
ゆえに“無敵の新皇フィールド”は
ここにて完全に破壊され申した
これより関東に静穏が戻り
民の暮らし 安らかならんことを
最後にひとつ 申し上げます
今後とも 関東ひいては日本の
安寧と平和 よろしくお願いいたします
以上
遍照金剛 空海より
封印制御レポート 以上ッ!
チェキラァァァ!!
どうよ このラップ すげえだろ?
ヒャッハーーーーーーーーーーーーーーー
――空海君の知らない世界★
あれは――
言葉では到底言い表せぬ光景であった。
成田の高台。
何もないはずのその地が、
突如として“世界の中心”へと変貌した。
空海殿が一歩、光の渦へ踏み込んだ瞬間、
空気が震えた。
いや、震えたのではない。
世界そのものが、彼の言葉に応じて動いたのだ。
光が立ち昇り、
風が巻き上がり、
地が唸り、
海が応えた。
空海殿は静かに息を吸い、
まるで天と地を繋ぐように、
言葉を紡ぎ始めた。
だがそれは“言葉”ではなかった。
節だった。
拍だった。
律動だった。
まるで天地の鼓動をそのまま声にしたような、
神々の言霊そのものだった。
「此処に宣り申す 天つ神 国つ神――」
その瞬間、
私の膝は勝手に地へ落ちた。
光が空海殿の背に集まり、
まるで八百万の神々が
その身に降り立ったかのようであった。
彼の声が響くたび、
光が脈動し、
風が応え、
地脈が唸りを上げた。
香取が震えた。
鹿島が光った。
熊野灘が吠えた。
四国の魔法陣が呼応した。
私は見た。
太平洋の全ての力が
一本の線となって
空海殿の言霊へと吸い込まれていくのを。
あれは――
人の身で扱える力ではない。
だが空海殿は
まるでそれが当然であるかのように
淡々と、しかし確かに
“世界の制御”を行っていた。
「封印制御完了――
無敵の新皇フィールド、破壊」
その言葉が響いた瞬間、
空が割れた。
いや、割れたように“見えた”。
光が奔り、
風が止まり、
世界が一瞬だけ静止した。
そして――
静穏が訪れた。
本当に、
本当に、
あの瞬間、
関東全土が“息を吹き返した”のだ。
私は震えていた。
涙が勝手に流れていた。
空海殿はただの人ではない。
ただの僧ではない。
あれは――
神々と共に歩む者。
世界の理を繋ぐ者。
遍照金剛そのもの。
私は確信した。
「この方こそ、我らを救う者だ」
空海殿が最後に
「よろしくお願いします」と言った時、
私は胸が張り裂けるほどの感動に包まれた。
あれは謙遜ではない。
あれは祈りだ。
あれは願いだ。
日本の未来を背負う者の言葉だ。
あの日、私は見た。
神々の舞台を。
奇跡の瞬間を。
伝説の始まりを。
そして私は誓った。
この方に、命を賭して仕えよう。
第五十一話
真実は見てる人によって違いがあるのです(当社比)
おわり
次回 第五十二話
少年よ神話になれ(おっさんです)




