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51:呪いの首輪と爆弾の解除ですわ

「僕はアリシア達のような底抜けのお人よしっていう訳じゃあないんで、一応の保険みたいな感じなんっすけど…この首輪を身に着けてくれたら口先だけではないって事で信じてあげても良いっすよ?」

 ひょんな事からノアさんの魂が入っている人形を取り戻すお手伝いをする事になったのですが、他人を信頼するという事も信頼されるという事にも慣れていないノアさんが確実な保証が欲しいとモヤモヤとしている黒い首輪のような物を取り出しました。


「アリシア、わかっているとは思いますが…」


「ええ、奇妙な気配が漂っているので呪われたアイテムなのかもしれませんが…問題ありませんわ、こういう時の勘は外した事がありませんので」

 怪しすぎる首輪だったので断っても「仕方がないっすね」みたいに引いてくれると思うのですが、ノアさんの方から歩み寄りをみせてくれているので怖気づいている訳にはいきませんわ。


「って、本当にいいんっすか?用意した僕が言うのもなんなんっすけど、滅茶苦茶怪しい物ですし…アリシア達に絆されたから手心を加えようとかそういう物じゃあないんで…今回の件で帝国のやり方にほとほと嫌気がさしたと言いますか、色々と足搔こうと思った結果がコレと言いますか…とにかくそこんところを勘違いしないでくださいね?」

 なのでさっさと身に着けようと思ったら何故かノアさんの方が慌ててしまい……。


「わかっていますわ、これを身に付けたらノアさんが安心するというのならそれで十分ですわ」


「そう、っすけど…本当にいいんっすよね?これは意識の分散とか念のためのバックアップと言いますか、アリシアにも影響が出る物なんっすよ?」

 なんて渋られたのですが、どうやらこの首輪にはノアさんの意識の一部が封じ込まれている依り代的な物のようで……人形(本体)が消される前にバックアップを作る事ができないかと試行錯誤をした結果がこの首輪なのだそうです。


(そんな便利な物があるのならさっさと意識を移しておけば良いのに…とか思ってしまうのは私だけなのでしょうか?)

 わざわざこんなタイミングで出さなくてもと思ってしまったのですが、後々ノアさんに聞いてみたらある一定以上の聖氣を持っている人物が身に着けていないと効果がないようですし、依り代を増やしたら増やした分だけ意識の分散が起きるので色々と不都合な事が多かったといいますか、聖氣の供給源からの影響を受けてしまう可能性もありまして……いつ消されてもおかしくはないという状況に陥った事でようやく押し付ける踏ん切りがついたのだそうです。


(えっと、ここをこうして…っと、あら、サイズは自動で調整されますのね)

 言われるがままに身に着けると影のようなモヤモヤに変わったノアさんが首輪の中に吸い込まれていったかと思うとカチリと何かが嵌ったような感じがしまして……文字通り幽霊に憑りつかれてしまったというな感じなのですが、これで良かったのでしょうか?


『本当にノータイムで付けましたね、これが悪辣な罠か何かだったらどうするつもりだったんっすか?』

 するとノアさんの声が頭の中に響いて来たのですが、自分の中にもう1人の人格が存在しているような奇妙な感じがしますわ。


「どうするつもりの何も…ノアさんの事を信じておりますから」


『うっわ~真顔でそんな歯の浮くセリフを…しかも憑りついている状態だから本心だという事がわかって気持ち悪いんっすけど、でもそんな事でいいんっすか?憑りついている間は僕が体を動かしたり…って、なんっすか、この身体、あちこちムズムズして…え、母乳?』


(あの、いきなりそんな…所を、弄っては、駄目っ、ですわ)

 照れ隠しで股間や胸に手を伸ばしたノアさんが困惑しておりまして……肉体的な刺激とノアさんを通して感じてしまう不思議な感覚が同時に押し寄せて来たので戸惑ってしまったのですが、ドラゴンゾンビに弄られたままの乳首が聖衣の前垂れに擦れるだけで感じてしまう事に対してビックリしたような気配が伝わってきました。


『あっ、これ…は、まずいっす…ね、ちょっと待ってください…んっ、はっ』


(と、とにかく手を止めて…頭の中で喘がないでください、こっちまで変な感じになってきてしまいますわ!)


『喘いで…なんか、あ、待って、なん、で…この身体は感じやすすぎるんっすよ!』

 他人に操作されている自分の指でくにゅくにゅと弄ってしまうという奇妙な体験にのぼせ上ってしまったのですが、そんな様子を見ていたアンジェリカがオロオロとしておりまして……。


「大丈夫…ですか?アリシアの中にアイツの気配を感じますが…」


「申し…訳、ありません、私達だけで話が進んでいましたわ」

 ノアさんの声が聞こえていなかったアンジェリカにも憑りつかれている事や共生関係になってしまった事を伝えておいたのですが、「やっぱり面倒臭い事になりました」みたいな感じで天を仰がれてしまいました。


「その首輪ごと斬り刻んでおきますか?今なら滅する事ができるのかもしれませんし」


「ちょ、ちょっと、たんまっすよ、何で騎士っていうのは短絡的な人ばっかりなんっすか!?」

 なんて半分以上本気で武器を手にするアンジェリカなのですが、慌てたノアさんが首輪の中から飛び出してきまして……その姿が妙にチンチクリンになっているのはどういう事なのでしょう?


「ノアさん…ですよね?」


「そうっすよ?って、あー…やっぱり分けたぶんだけ小さくなるんっすね…まあ、依り代のデメリットって言いますか…って、なんっすかその目は?これでも大本(帝都にある人形)に封じ込められている分を回収したらボンキュッボンのナイスバディになるんっすよ?」

 みたいな冗談を言っているノアさんがポーズを取ってみせているのですが、やや小柄といった感じの身長から10歳(110センチ)くらいの幼女体型になっておりまして……これはこれで可愛らしくなってしまったのですが、そんな事を考えていたら裸黒マントの幼女ノアさんがジト目になってしまいました。


『離れているっていっても考えている事くらいはわかるんで…そこんところよろしくっす』


「りょ、了解ですわ」

 私が感じている事とか分離しているノアさんの感覚とかが入り混じって奇妙な感じなのですが、これも意識を分散させる事のデメリットという奴なのでしょうか?


(確かにこれは…バックアップを作り過ぎる訳にも気軽に使う訳にもいかないという感じですわ)

 依り代となる物を大量に作れば最強なのでは?とか考えてしまったのですが、増えすぎると意識の混濁が強くなりすぎて……本体ともいえる人形が安置されているというのも出来るだけ低刺激な状況に置いておく必要があるからなのかもしれません。


「そうっすね、でもまあ…これで人形が消されても何とか生き残る事が出来そうなのは感謝しています…って、何を言っているんでしょうね?アリシアと一緒に居たら僕までおかしくなってくるんで…さっさと人形を回収して欲しいんっすけど」


「それは…私も同意見なのですが、そう簡単にはいかないと思いますわ」

 リッテンベルン宰相の部屋に安置されているというノアさんの人形をなんとかしなければいけないのですが、今すぐどうにかなるような問題でもないような気がしてしまいますわ。


「コホン、お2人とも…申し訳ありませんがそういう話は後にしませんか?まずは目の前の問題を何とか致しませんと」

 なんて事を話し合っておりますと、ハブられ気味のアンジェリカが咳ばらいをしながら今にも爆発しそうな結晶の方に話を戻してくれました。


「そう、ですわね…ただ…どうしましょう?もういっその事、私のバリアで防げるかを試してみますか?」

 それくらいしか大爆発を防ぐ手立てが無いのですが、集まって来ているエネルギーを考えたら難しそうでして……とかいう感じでどうしたものかと考え込んでいたのですが、そんなタイミングでえっちらおっちらと巨大なリュックを背負ったルルさんが近づいて来ました。


「おーい、アリシア~さっきのって合図やんなー?何か大変な事になっているみたいやから助けに…って、なんじゃこりゃぁああ!?巨大な魔石とも違う…ルル結晶に近いけど、魔力を吸って…いるんか?」


「ああ、丁度良いところに…この結晶を何とかしなければいけないのですが、良いアイデアはありませんか?」

 奴隷のように扱われていた女性達を助け出し、後は脱出するだけというタイミングで抜け出して来たルルさんがお目目をキラキラとさせながら今にも爆発しそうな結晶に駆け寄っていくのですが、マッドサイエンティスト魂に火がついてしまったルルさんには私の声が聞こえていないようでして……。


「えーっとたしか、ドワーフグループの…お孫さんか何かだったっすよね?なんなんっすか…あの人?」


「あら、ルルさんの事を知っておりますの?」


「別に詳しく知っている訳じゃあないんっすけど、敵対組織の主要人物くらいは押さえておくもんっすよ?」

 諜報活動をしていたノアさんが呆れたように腰に手を当てていたのですが、里長(ドワーフのトップ)のお孫さんとなったら多少は知られた存在なのでしょうか?


「それはいいのですが…あのままにしておいてもいいのですか?」


「そう、ですわね…下手に触ってドカンといかれても困りますし」

 アンジェリカに指摘されて我に返るのですが、今は技術的な興味より爆発の阻止を優先しなければいけませんわ。


「ルルさん、大変申し訳ありませんが今は結晶の調査より停止させる方法を…このままだと大変な事になってしまうといいますか、とにかく何とかなりませんか?」

 こうなったらよくわからない双頭ディ〇ルを作ったルルさんの科学力に頼るしかないのですが、色々と調べまくった結果は芳しくないものでして……。


「ん~これを止める方法となると…難しいんちゃうかな?一か所に穴をあけてそこから徐々に抜いて行くにしても一気に噴き出して連鎖的な崩壊が始まると思うし、たぶんジオルグ山脈全域を吹き飛ばすのをこの街とその周辺を吹っ飛ばすくらいにするのが精一杯やで?」


「それだけ下がれば…という訳にもいきませんのよね」

 主要都市であるジオルドには人口が集中していますし、ドラゴンゾンビが暴れたせいで逃げ遅れた人(撃ち抜かれた人)が多数でして……なのでルルさんが調べてくれた結果は絶望的な内容だったのですが、地脈からエネルギーを吸い続けている結晶が今にも爆発しそうな輝きを放ち始めていました。

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