34:謁見に向けてとエルフの隠れ里ですわ
「目覚めたばかりですし…理由を説明して日にちをズラしてもらう事も検討するべきでは?」
エルフの女王との謁見が行われる事になったのですが、2日ほど寝込んだ後だったのでアンジェリカに心配をされる事になりまして……。
「大丈夫ですわ、むしろ寝すぎているくらいですし…少しくらい動いた方が目が覚めて来るというものですわ」
急いで果物をお腹に入れたり身嗜みを整えたりする事になったのですが、本当に体調的には問題がありませんのよね。
(むしろ別の問題があるといいますか…ですわ)
媚毒の後遺症でクリ〇リス並みの感度になっている両乳首の方が大変な事になっているといいますか、前垂れに擦れるだけで身体が竦んで聖乳が溢れて来てしまいますし、ヌルヌルしてきたらしてきたで余計に気持ちよくなってしまうと言いますか……とにかくニヤケて来てしまうような恥ずかしさを押し込めながら気合を入れなおすのですが、妙なへっぴり腰になっているところや火照って汗ばんでしまっているところがアンジェリカに心配をかけさせてしまっている最大の原因なのかもしれません。
「まだ準備ができていないのか?まったく、セラフィーヌ様をお待たせするなんて…聞きしに勝る蛮族っぷりだな」
そうして私達の準備が遅い事に対して迎えに来ていた金髪のエルフさんが嫌みを言ってきたのですが、その口ぶりからはこちらを見下している事が丸わかりすぎまして……私の体調の事を慮っているアンジェリカや傲慢な態度が鼻についているレスリーナちゃんがムッとしていたのですが、こんなところで喧嘩をする訳にもいかないのでグッと我慢を……。
「あら、女性の身支度には時間がかかるというのが万国共通ではありませんか?なのに急かしてくるなんて…落ち着きが無さ過ぎるとエルフという種族の品位が下がりますわよ?」
しなければいけない事がわかりきっていましたし、彼らは彼らで忙しいといいますか、帝国軍との小競り合いが続いているので多少のピリつきは仕方がないというのもわかるのですが、我慢している2人の代わりに言い返すと鼻で笑われてしまいました。
「ふん、口だけは達者のようだな…まあいい、準備が終わったのならついて来い」
いつものように胸を張って啖呵を切ると色々な所が擦れて大変な事になってしまったのですが、ムズムズしている身体を抑え込みながら威丈高な金髪エルフの……そういえばお名前を聞きそびれたのですが、とにかく金髪エルフの案内でエルフの隠れ里を移動する事になったのですが、アンジェリカやレスリーナちゃんとも若干距離を離されたまま連行されていますし、おもいっきり警戒されておりますのよね。
なので周囲の景色を楽しむ事くらいしか出来なかったのですが、エルフの隠れ里は見上げるような大木に寄り添う形で木造やらレンガ造りの家が建ち並んでおりまして、見慣れない不思議な植物が生えていたり妖精さん達がワーキャーと騒ぎながら飛び交っていたりとファンタジーな光景が満載で……枝と枝を繋いだ場所にも家が建ち並んでいるという不思議な多重構造的な建築に目を輝かせる事になりました。
「あー蜜のお姉ちゃんだ~!」
「あら、たしか貴女は~って、ちょっとお待ちください、なんでいきなり、今そんな所を吸っては!?」
なんて辺りを見回しておりますと、その辺りを飛んでいた妖精達がワラワラと集まって来まして……ペロンと前垂れを捲って容赦なく聖乳を吸ったり舐めとったりされてしまうのですが、感度が上がり過ぎている糞ザコ乳首では耐える事ができませんわ!
「くっ、おい、貴様ら!なんという破廉恥な!ここが神聖なる女王陛下のおられる土地だというのを理解しているのか!」
「ち、違いますの、これは…あっ、この子達が!?駄目、です…わんっ!?」
いきなり訳の分からない辱めを受ける事になったのですが、先頭を歩いていた金髪のエルフさんが顔を真っ赤にしながら妖精達を散らしてくれまして……因みにエルフとドワーフの連合といっても生活習慣が違いすぎるので別々の場所に住んでいるようで、デヴァン大森林と呼ばれている森の中でそれぞれ好き勝手に暮らしている緩い集合体なのだそうです。
そしてこの辺りに住んでいるエルフの人達も大きく分けると普通の住人と戦士階級の人達がいるようで……普通の人達は麻っぽい生地のチェニックと蔦のサンダルという比較的ラフな格好をしているのですが、金髪エルフさんのような戦士階級の人は革の軽鎧に蔦のフード付き全身チェーンメイルのような物を着ていたりと一目で見分けがつくようになっていました。
(た、大変な目にあいましたわ)
とにかくそういうアクシデントがありながらも女王陛下の居る場所に向かっていたのですが、外部との交流が途絶えていた時代の名残で大森林の内部は「~の横」とかそういう感じの区分けがなされておりまして、女王陛下がいるのは「原初の木」とか「泉の麓」とか呼ばれている場所にいらっしゃるのだそうです。
「まあ…お前達に教えていても仕方がないが、つい先ほどのような破廉恥な行為をされたり…女王陛下の前で変な質問をされても困るからな」
なんて事を言う案内役の金髪エルフさんが顔を赤らめながら説明をしてくれたですが、この人は意外と教えたがりといいますか……虚勢を張るためにベラベラと喋りたいタイプの人なのかもしれません。
「別に、私も好きで吸われた訳では…っと、それで…あそこにフワフワと浮いている光の玉はなんですの?」
「なんだ、外の世界には簡単な魔力光すらないのか?あれは大気中のマナを集めて発光させているもので…」
むしろ自分達の偉大なる歴史というのに人一倍プライドを持っているからなのか、訊いてみると色々な事を教えてくれますし……護衛をしている人達もどことなく「相変わらずだな~」みたいな雰囲気を出しているので根っからの悪人という訳ではないのかもしれません。
「さあ、見えて来たぞ…あれがセラフィーヌ様がおわす“原初の木”だ、あれは我らの遠い先祖と友誼を結んだ植物の精霊が住むと言われている偉大なお方で…」
とにかくそういう風に色々と説明をしてくれる人だったのですが、彼が指し示す先にあるのは樹高数百メートルとかいう大木がゴロゴロとしている中でもひときわ異彩を放つ壁のような物で……なんでも地上から200メートルの場所に開いている巨大な洞には特別な空間魔法がかかっておりまして、拡張した空間の内部にエルフの王宮がすっぽりと収まっているのだそうです。
「あれが…というのは、あれ、ですの?物凄く大きな木…木、ですのよね?」
パッと見だと壁にしか見えないのですが、よくよく見てみると巨大すぎて壁にしか見えない最低樹齢が1万年以上の大木でして……一説によると樹の精霊そのものであるという人がいるくらいの由緒正しき聖木なのだそうです。
(凄いですわ、まるで生きているみたいで…)
原初の木の周辺はシャボン玉のような発光体が辺りを優しく照らしていますし、生み出された水気によって苔むした湖が広がり周囲の木々を育てていたりと幻想的な空間が広がっておりまして……ヘルムートさんが「フフン」と自慢気に笑っていたのですが、自慢したくなる気持ちがわかってしまうのが少しだけ悔しいですわ。
(ただ…どうやって上に登るのでしょう?)
一応原初の木には縄梯子とかロープ的な物が垂らされているのですが、まさかエルフの女王ともあろうお方がそのような物を使って昇り降りをしているようには思えなかったのですが……意外とスルスルと昇り降りできてしまうようなワイルドな方達なのでしょうか?
(そんな方達に野蛮人がどうのとかは言われたくないのですが…っと、魔法的な反応もありますし、テレポート装置かエレベーターみたいな物があるのかもしれませんね)
なんて事を考えながら原初の木に近づいて行きまして……目的地が大きすぎるせいでなかなか到着しなかったのですが、とにかく広がっている根っこを越えて近づいて行った先に石造りの魔方陣がありました。
「あの魔方陣の上に立てばアワに包まれ上まで運んでくれるようになっている…とはいえ始めて使う者の中には驚いて腰を抜かしてしまう者もいるが…よほどの事が無ければアワが壊れる事はないし、魔方陣には重力軽減がかかっているので落下したとしても問題はない…まあ我らの魔法技術があれば万が一にも割れるという心配は無いし、転がり落ちるようなどんくさい奴もそうそう居ないが」
なんてヘルムートさんが自慢していたのですが、私達が近づくと原初の木の根っこがズズズと伸びて来たかと思うと私の体をクルリと捕まえまして……こういう状況には少しばかり嫌な記憶があったのでゾワリとしてしまったのですが、捕まえ方がソフトで優し気だったので力を抜く事にしました。
「え、あの、少しばかり説明と違う事が起きているといいますか…アワで移動する…の、ですよね?これで良いのですか?これが正常な移動方法ですのよね?」
ただヘルムートさんから聞いていた移動方法とは違い過ぎたので驚いてしまいましたし、アンジェリカが無言でランプデトネイターを構えてレスリーナちゃんも飛びかかる直前のように腰を落としていたのですが、ヘルムートさん達が神聖視している原初の木を攻撃する訳にもいかないと思いとどまっているようでした。
「なっ、原初の木が…動いた、だと?貴様、何をした!?」
「それは…どういう事ですか?くっ…アリシア、大丈夫ですか!?」
ただ私達よりヘルムートさん達の方が驚いておりまして、その様子を見ていたアンジェリカが私の身体に絡まりついている根っこにしがみついて引き剥がそうとしていたのですが……。
「わ、わかりませんが…あっ!?」
「あ?あってなんですか?やはり魔物の一種か、このまま切断しますから、アリシアは動かないでください!」
「ち、違い…んっぅ、だ、大丈びゅぅ!?と、とにかくアンも落ち着いてください!」
モゾモゾと動く木の根っこが擦れて気持ち良かったなんて言うのが恥ずかしくて言葉を濁したら盛大な勘違いをさせてしまったのですが、とにかく原初の木さん?は客人である私と根っこを掴んでいるアンジェリカをヌィーンといった感じで上まで運んでくれまして、洞前の広場になっている場所で拘束を解いてくれました。
「驚い…た、原初の木がここまで歓迎の意を示すとは」
なんて急いで縄梯子を駆け上がって来たヘルムートさんに驚かれてしまったのですが、腰が抜ける勢いで驚いたのは私達の方でして……。
「あ、ありがとうございます…と、もうしておけば良いのかしら?」
これも聖勇者の特権?という奴なのかもしれませんが、昇り降りを手伝ってくれるのなら手伝ってくれるでもう少し説明を挟んでくれないと驚きすぎてついていけませんわ!
「本当に…アリシアと一緒に居ると驚く事ばかりですね」
「だな、我も驚いてばかりだ」
なんてアンジェリカと少し遅れて登って来たレスリーナちゃんにも苦笑いを浮かべられてしまったのですが、今回の件は私のせいではありませんし、2人を驚かせるような事もそうそうしていないと思いますわ。
「申し訳ありません、でも…私のせいではありませんのよ?」
どう考えても原初の木と呼ばれているこの木が悪いですし……なんていう感じで色々と驚く事があったのですが、とにかくセラフィーヌ様がいらっしゃるという王宮前にも到着しましたし、謁見に向けて気持ちを引き締め直す事にしましょう。




