17:ポーション作りとヴォッサム将軍ですわ
「本当に…こんな機械を使って絞り出しますの?」
上半身裸で椅子に座っている私はヴァーナルの人達を救う為にポーションを作る事になったのですが、品質の高い物を作る為に聖乳を搾る事となりまして……そのために用意されたのが乳牛用の簡易搾乳機でした。
「申し訳ありません、ここには水に溶かした聖氣を精製する設備がなくて…飲み物に使う物なので衛生的な問題もクリアしておりますので、その辺りはご安心ください」
「ご安心ください…って今更衛生面の心配は…ひゃん!?冷っ!?って、スースーしますわ!?ま、待ってください、何を塗っておりますの!?」
因みになぜ搾乳機がこんな場所にあるのかというと、前線メンバーを増やすために生活面での機械化を進めていた結果でして……ヴァーナルメンバーの中にはザインブルグ帝国に所属していた科学者もおりますし、そういう人達が中心となって魔道具作りの研究や開発を行っているのだそうです。
とかいう事情は一旦横に置いておくとして、前搾り前の消毒液を塗りたくられただけで恥ずかしいくらいに乳首が固くなってしまいますし、塗り残しがあってはならないという感じでくにゅくにゅとされてしまうと神躯のせいで敏感になり過ぎている乳首が大変な事になってしまいました。
「その、あまり変な声を出しては」
私が悶えていると無心で搾乳作業を進めてくれているアンジェリカがモジモジと赤くなりながら視線を逸らしましたし、周囲に居る人達からも「おおぉ」みたいな溜め息とも興奮ともつかない声が漏れていまして……これはこれで滅茶苦茶恥ずかしいですわ!
(専用の天幕を用意してくれたのはありがたいのですが、人が、人に…見られていますわ!?)
薬師の人達が薬草を磨り潰していたり搾乳機を操る人がいたりと色々な人が居ますし、こちらの世界では裸に対する忌避感が薄いので当たり前のように男の人もチラホラといるのが気になってしまいます。
(うっ、く…見られるのは1万歩譲って良いとして…流石にこの状態で搾られるのは恥ずかしすぎますわ!)
生理的な現象なのでしょう、中には股間を膨らませている人やモジモジと落ち着きのない人達がいまして……「ここまで立派な胸を見たのは初めてです」とか「神々しい」とか「ありがたやありがたや」なんて崇め奉られている人達の舐るような視線とよくわからない感情が身を焦がしてのぼせあがってしまいそうでした。
(くぅぅうう…うっかり了承してしまった自分自身を恨みますわ!)
今更皆の為になるのならと引き受けてしまった事を後悔する事になったのですが、同じく被害者になる筈だったアンジェリカは水魔法で精製水を作る必要があったので搾り取られる作業が免除される事になりまして……というのもフレイスト死火山では井戸水が貴重ですし、出て来る温泉水がどのような効果を及ぼすのかがわからなかったので水魔法で作り出す事になったからです。
必然的に魔力を温存しないといけないアンジェリカは聖氣絞りを逃れる事になりまして……いえまあ今更ウジウジしていても始まりませんし、ここは平常心の見せ所だと思って頑張る事にしますわ!
「アリシア…」
「ひゃぃ!?」
だというのに、窘めるように囁くアンジェリカの言葉に子宮が疼いてしまい……アンジェリカはアンジェリカで我慢しているのか前垂れが持ち上がるレベルで股間のドラゴンち〇ぽがそそり立っていますし……って、こんな時に何を考えておりますの!?
(私も…考えないようにしておりますのに!!)
そそり立つ立派な物に対して周囲の女性陣が「まあ」みたいな感嘆の溜め息をついていましたし、凛々しすぎるモノを見た男性陣が自分のモノと見比べ落ち込んでいたのですが、そんな凶器を見せびらかされながらの搾乳なので挿入されていない事への不満とか物足りなさにモジモジとしてしまい……そんな事を考えている事が恥ずかしすぎて顔から火が出そうな勢いで熱くなってしまいます。
「出ません、ね」
「んくっ…っと、そんな事を、言われましても…こんな状態で出せと言われましても」
奇妙すぎる状況や人前で聖乳を噴き出さなければいけない事への羞恥心とか色々なものが邪魔をしているのか張った聖乳がタラタラと漏れて来るだけで……よくわからない感覚にモニャモニャとした言い訳をしてしまったのですが、張りつめていく圧迫感とアンジェリカの指先のせいで恥ずかしい染みが広がってしまい落ち着きませんわ!
「仕方がありません、時間もありませんし…このまま付けてみますね」
そして何かもう色々なものがいっぱいいっぱいなのですが、程々のところで前搾りを終えて搾乳カップを両乳首に付けられてしまい……。
「ふぅああ゙!?待って…待ってください、思ったより吸引力が!?」
機械的に搾られ押し潰される感覚と無慈悲に吸い出される搾乳機の働きによって溜まっていた聖乳が勢いよく吸い出されていくのですが、魔道具の力強い搾乳感に頭の中が真っ白になりかけてしまい……我慢しようにも無理やり吸いだされ続けるような射乳絶頂に恥や外聞がバチバチと弾け飛んでしまうのですが、機械的に吸い出されているので永遠に射精の快感が続いているような状態で終わりがありませんでした。
「はひっ、はっ、んぅうう…んぉおおおおっ!?ほお゙、お゙ぉお゙お゙お゙お゙っ!!?」
神躯の代償が重いという事は覚悟をしていましたが、聖乳を搾り取られるだけで奇妙な叫び声をあげながら潮を噴いて仰け反り痙攣をしたまま気絶してしまい……そんなあられもない姿を見られるという辱めを受ける事になったのですが、いくら人助けの為といっても過酷すぎますわ!
(本当に、酷い目にあいました…もうあの人達とは顔を合わせられませんわ!)
とにかく一通りの辱めを受けた後、人払いをした別の天幕に運ばれ落ち込んでいますと、様子を見に来たヴォッサム将軍がやって来まして……どうやら私が気絶している間に作られたポーションのおかげで多くの人が助かり戦線復帰できた事を伝えに来たのだそうです。
「大変だったようだな…だがそのおかげで十分な量のポーションを作る事が出来た、復帰できた奴らを代表して聖勇者殿に感謝を伝えたい…と、いうのもあるのだが…聞いた話では聖乳という物はよほど素晴らしい物のようだな、ウチの連中も驚いていたぞ…まったく、そんな凄い物なら一度くらい飲んでみたいものだが」
相変わらず感謝しているのか馬鹿にしているのかがわからない事を言っているヴォッサム将軍なのですが、私の看病をしてくれていたアンジェリカが物凄い顔をしながら睨みつけておりまして……。
「将軍、今はそのような冗談を言っている場合ではありません…それより、供もつけずにわざわざ1人でやって来た理由をお聞きしても?」
「竜滅の騎士殿は何でもお見通しのようだな…そうだな、まどろっこしい話は抜きにしておこう」
アンジェリカの指摘に対して「バレたか」みたいな笑みを浮かべるヴォッサム将軍なのですが……相変わらず凄みのある笑みを浮かべているので迫力がありますわ。
「お前達はノルニスが暴れた原因を探ろうとしている…の、だったな…その、暴れ出す対象というのは魔物だけなのか?もしかして…狂暴化は人間にも影響を及ぼすのではないのか?」
なんていうかなり込み入った事を聞いて来たのですが、軽く息を止めたアンジェリカが考えるようなそぶりをみせまして……。
「それは…わかりませんが、可能性はあると思います」
「そうか、やはり…」
たぶん2人が考えてる“狂暴化した人間”というのは帝国のトップに立っている女性の事を指しているのだと思いますが、そのまま難しい顔をしたまま黙り込んでしまい……女帝が狂っているのだとしたらベルザを攻略した後にザインブルグ帝国との全面対決が待っていますし、帝国軍と戦うのと女帝と戦うのでは意味合いが変わってきてしまい……中には皇室に弓を引く事は出来ないとヴァーナルから離れていってしまう人達が出て来るのかもしれません。
「その…将軍は何か心当たりがありますの?」
なので供を連れずにやって来たのだと思いますし、何かしらの思い当たる節があるから聞きに来たのではないかと思って訊いてみると、ヴォッサム将軍は難しい顔をしながら腕を組んでしまいました。
「わからん…が、ミレーヌは…陛下はあのような方では無かった」
将軍が言うには子供の頃は活発で正義感に溢れた人物だったようで、狂い始めた帝国を立て直すのだと意気込み魔物を使う事にも批判的で……というのも魔物達は勝手に村や町を襲うので増えたら増えたらで駆除をしないといけない厄介な存在なのだそうです。
なので女帝はそのようなモノに頼らず己を鍛えあげれば良いという考えの人で……因みに魔物を操る魔法に関しては先帝がいきなり見つけて来た不可思議な術が関係してきているようで、出自が不明過ぎるのもヴォッサム将軍が胡散臭いと感じてしまう理由なのだそうです。
とにかく常々何とかしなければいけないと思っていたヴォッサム将軍は女帝の考えに同調する形で先帝の弑逆にも加担し、即位後も北方辺境領の安定のために戦い続けていたのですが……急に魔物の拡充を始めた事やドゥークーなどの訳の分からない人事を始めた事を問い質そうと帝都に引き返すと、職務不履行の罪で処刑される寸前まで追い詰められる事になりました。
「あの時の陛下は尋常な様子では無かった…何か大変な事が起きているような気がするのだが、俺にはどうする事も出来なかった」
投獄されてしまったヴォッサム将軍は心ある部下達の協力で何とか脱出する事が出来たのですが、軍に戻る訳にもいかないと野に下り……そうして日に日に悪化していく帝国と女帝を止める為にヴァーナルを結成したのだそうです。
「今更だと笑うのかもしれないが、俺には加担してしまった責任があるからな…何としてでもミレーヌを止める…いや、止めなければいけない!」
そんなヴォッサム将軍の言葉は深い後悔と同じくらいの愛情を感じるものだったのですが……。
「もしかして将軍は…陛下を愛しておりますの?」
行き過ぎた忠誠心なのかこれ以上の悪行を重ねて欲しくないという願いなのかもしれませんが、ヴォッサム将軍の想いを聞いた私はなんとなく思った事を口にしてしまい……将軍はキョトンとした顔をした後に笑い出してしまいました。
「それは、いや…そうか、そう見えるのか…くくっ…いや、いっそ光栄というべきか?何を勘違いしているのかはわからんが、ミレーヌには大昔に剣の修行をつけてやった事があるだけだ…そうだな、俺とミレーヌの関係を一言で言い表すと慕ってくれていた親戚の子供のようなもので…感覚的には手のかかる娘のような存在だな」
なんて私の盛大な勘違いで恥ずかしい思いをしてしまったのですが、笑いすぎて涙が出て来たヴォッサム将軍は意味ありげな視線をアンジェリカに向けておりまして……。
「むしろ俺なんかより宰相の方が…いや、他人の事をどうのこうのと言うのはよしておこう」
そんな事を言いながら会話を打ち切るのですが、とにかく様子が可笑しくなってしまった女帝の事も調べなくてはいけなくなったようで……ヴォッサム将軍が言うにはウィズベリア・リッテンベルンというリッテンベルン侯爵家の若き宰相なら詳しい事情を知っているのかもしれないという事でした。
「あいつの方が陰日向にと陛下をお支えしているからな、帝都を離れていた俺より色々な事情に詳しいのだろう…っと、これ以上俺の口から話すと私情を挟んでしまいそうだからな、後は自分達で調べてくれ」
との事で、ヴォッサム将軍からしたら恐怖の代名詞ともいえるミレーヌ女帝やその補佐役で冷酷冷淡なウィズベリア宰相ですら愛すべき可愛らしい子供達と呼べる存在なのだそうです。
「ありがとうございます、一通り調べ終わった後に当たってみますわ…ただ、その前に…ベルザの解放を成し遂げませんと」
「ああ、そうだな…多くの人の為に、負けられんな」
色々と恥ずかしい目にあってしまったのですが、こうしてヴォッサム将軍の想いを聞く事ができましたし……ヴァーナルの人達との関係がより強固になった気がいたしますわ。




