一年生-2
私たちが木漏れ日寮の前に行くと、もう全員集合していた。やっぱりリュミヌーやクオーレたちはいなかった。
「みんなごめーん!!」
「あー! 遅ーい」
「もうほんっとにごめん! 居残りさせられててさ」
「初日から? えぐすぎでしょ」
みんなと軽口を叩きながら寮の探検の順番を決める。一階から順に攻めていくこととなった。
土型のトロイが地図を書く役割を担った。
一階から三階の各階には談話室、寮母さんがいる大食堂とは違うごちんまりとした食堂(寮母さんがみんなに揚げ物をくれた)。
あとはこれまた小規模な浴室など、日常的に使われるものがあった。窓からは木漏れ日が差し込む、まさしくこの寮にふさわしい空間だった。
「次は四階ね」
歩くたびギシギシと音が鳴る階段を上がっていく。
四階に足を踏み入れた瞬間、雰囲気が変わった。
擦り切れた魔導書や折れかけの杖、歴代の先輩たちが残した物が防壁のように積み上がっていた。
「うわぁ……リナ、これ全部魔導具? 宝の山じゃん」
トロイが目を輝かせる。貧乏性の私たちの脳みそは、これをゴミの山ではなく宝の山と認識したようだ。
確かに、修理したら使えそうな物や、拡大鏡を使えば読めそうな書物がたくさんだ。
は、いけないいけない。
「今日は寮の探検に来たんだから。宝探しはまた今度!」
そう言い聞かせ、五階へと向かう。トロイは地図に『四階ゴミ屋敷状態、通行注意』と書き込んでいた。
さらに階段を上り、最上階の五階へ。そこは四階の雑多な雰囲気とは一転して、静まり返っていた。まだ明るいのに薄暗く、左右に並ぶ木の扉はどれも固く閉ざされている。しかもところどころ黒く焦げている。
息を潜めながら、廊下の奥へと進んだ。そして、突き当たりに設置された『それ』を見つけて、足を止める。
「……何これ。他の部屋と全然違う」
リリーが声を潜めて呟いた。その扉だけは重厚な隔壁のような造りで、古びた魔法陣が怪しく残っている。
教科書に載っていた解錠の呪文を唱えてみる。
「境界を語る者よ、その手を離せ」
唱えたはいいものの、特に何も起こらない。
「開かない」
「一年生の僕達じゃ入れないのかもね」
トロイはの地図の五階の最奥に、一際大きな文字でこう書き込んだ。――『五階:開かずの間。詳細不明』。




