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三年生-2

実習が始まるまで残り一ヶ月。

測らずも同じ班になってしまった私たちは、図書室で事前学習に励んでいた。

私たちから十席ほど離れた場所で二人は座っている。

 私たちはずっとこんな感じで、みんなで仲良く共同作業! というような雰囲気とはかけ離れた戦場のような空気感で放課後を過ごしていた。

 掲示板に班員が貼られた直後に先生に班を変えてくれと抗議をしたのだが、お前たちは実技試験でも対戦したし気が合うだろ。と謎の主張をされた。しかも偶然同時にリュミヌーたちも抗議をしに来て、ほらお前たち気が合う。と余計先生たちの意志を固める結果となってしまった。

 正直今でも変えてほしいところではあるが、毎日サボらず事前学習をしに来ている点に関しては評価せざるおえない。そこだけはある意味希望通りというか。

 シリウス鉱山について調べていると、そこはフランメの実家であるリュミヌー家が管理をしている場所だということがわかった。

なおさら嫌っている私たちと同じ班で最悪だろうな。


 シリウス鉱山は王都から遠く離れた場所にある。

そこから採れる美しい宝石たちは女神の涙と喩えられている。貴婦人に人気で、王都の女性向けの宝石店によく売れるらしい。

しかしそんな美しい宝石とは裏腹に、鉱山自体はススだらけで長期間そこで採掘をした鉱夫が肺を壊してしまうこともある。

そのため経済的な余裕はあるが身体的な余裕はない家庭が多いのだという。

これを読んだときは思わずリュミヌーを見てしまったが、何? と鋭い瞳で睨まれてそれで終わった。

 もしかしたら、彼女が私たちと同じ班になりたくなかったのは単純に私たちが気に食わないからというわけでも無いのかもしれない。

もっと他に、もっと彼女の割合を占める大きな理由があるのだろうか。



「で、それを私に聞いて何になるわけ?」

「お願いリリー! どうしても気になるの」

「んー……。やだ」

「なんでー!」


 寮の部屋でリリーにせがむが、相手にされなかった。

リリーは元々勘がいい。私とゲイルが彼女にイタズラをしようとして気付かれなかった試しがない。

花型を発現させて以降その勘の良さに磨きがかかり、大地の声がいろんなことを教えてくれるようになったのだという。

だからこそ今こうやってリュミヌーの気持ちを知りたくて聞いているわけだが。

リリーは少し考える素振りを見せてシッシッと手を振る。


「そんなに気になるなら本人に聞けばいいじゃない。同じ寮なんだから」

「無理だよー。どうせ舌打ちでもされて終わるって」

「そんなのやってみなきゃわからないでしょ」

「それはそうだけどさ」


 ベッドに横たわり天井を見上げる。リュミヌーたちは私たちより一つ上の階で暮らしている。

ロスカ魔法学校は就職率が良い。

貴族の卒業生が騎士やら王宮魔術師やら能力が高くないと行けないような場所で働いている。

そして平民の卒業生は冒険者や私の父のように地方の騎士団に配属されたり、母のように商人として個人事業をすることが多い。

四年生になったら本格的に卒業後の進路を考えなければならない。


「……リリーは将来なりたいものある?」

「何よ突然。そうね、私は薬屋を開くつもり」

「薬屋?」

「元々植物が好きだし、運良く花型だったしね」

「へぇー」


 だから薬学と植物学首席なのか。


「そういうリナはどうなの?」

「特にないで〜す」


 大きく伸びをして答えた。


「ゲイルはどうなのかしらね」

「聞いたことないね、そういえば」


 何だろうな。何も考えていないようで色々考えている人間だから、きっとちゃんとした職業を言いそうだ。


「リュミヌーたちは何なんだろうね」

「さぁ、鉱山を継ぐんじゃない?」


 リリーのことだから全部わかっていそうな気がする。

リュミヌーとクオーレとも、仲良くなれたら良いのにな。

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