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二年生-5

学年の終わりが近づいた、ある日の合同実技演習。

その日は、教室の枠を超えて自由に手合わせを行う、一年間の総仕上げの授業だった。

競技場の中央、大勢の生徒が見守る中で、私たち三人の前に立ちはだかったのは、二年初めにも対決したリュミヌーとクオーレたちだった。


「やっとこの日が来たわ。今度こそあんたたちを負かしてやる!」

「それ大体負ける側が言う台詞じゃん」


 リュミヌーが激しい火の魔力を両手に滾らせて私を睨みつける。クオーレも水の魔法陣を展開し、勝ち誇ったような笑みを浮かべていた。

彼女たちは貴族たちから冷遇され続けた歪んだ自尊心を、私たちを叩き潰すことで払拭しようとしていたのだ。

ロゼ様からたしなめられたその日からよく一緒にいた下級貴族の生徒にも冷たくあたられているようだった。


「私たちに勝ったからって調子に乗るのもここまでよ!」

「焼き尽くせ! 紅蓮の矢(アナーヴォ)!」


 別に調子には乗ってないけど。

凄まじい熱量を持った炎の矢が、何十本も私たちへと降り注ぐ。


「ハッ、相変わらず派手なだけだな!」


 ゲイルが前に出ると、服の袖を靡かせ風の障壁を作り出した。ゲイルの風は、リュミヌーの激しい炎の軌道を上方へと受け流していく。


「なっ、風で私の火を……!?」

「よそ見してんじゃないわよ!」


 リリーが声を響かせ、地面を強く踏みつける。

その瞬間、クオーレとリュミヌーの足元から、頑丈なイバラの蔓が爆発的な速さで伸び上がった。


「きゃあああっ!? なにこれ、動けない!」


 クオーレが悲鳴をあげる。リリーの蔓はこの二年で大人の腕ほどもある太さと鋼のような硬さを手に入れていた。


 一年生の頃気味が悪いと言われた私の氷。その力を見せてやろうと私の今出せる全ての魔力を込める。栗色の髪が冷気で白く染まっていく。

地を這う美しい氷の結晶が、津波のように押し寄せた。

リュミヌーの燃え盛る炎は一瞬で凍りつき、クオーレの水流も美しい氷像へと姿を変える。

バチバチと音を立てて凍りつく世界の中心で、リュミヌーとクオーレは完全に腰を抜かし、ガタガタと震えながら私を見上げていた。

筆記試験は彼女たちの方が断然点数がいいが実技では私たちの方が上手のようだ。


「勝負あり! 勝者、セレネーレ、ラズベリー、ルッサーレ!」


 教官の言葉が響き渡る。


訓練場の片隅ではロゼ様が退屈そうに手に顎を乗せている。ガイル王子はこの勝負を見届け、静かに席を立った。


「っしゃ! これでついに俺のモテ期が一ー」

「アンタいっつもそれ言ってるわよね」


 変わらないいつもの日常だった。

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