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二年生-1

時は過ぎ、私たちは二年生になった。

国という巨大な存在に目をつけられていると知ってから、私たちの放課後は一変した。

わざと問題行動を起こし、旧校舎の地下にある居残り部屋に放り込まれるようにした(ロウガルド先生は毎回頭を抱えていた)。

そこは薄暗く、煌びやかで華やかな世界を好む貴族たちは寄りつかない。特訓には最適の場所だった。

というかそもそも入学試験で点数が良かったのが奇跡なだけで、貴族のためにしているような授業にはついていけていなかった。



「ほらほらリナ、もっと集中! 風の弾丸が行くぜー!」


ゲイルが軽い掛け声と共に、指先から鋭い風の弾丸を放つ。一年前とは違い、手加減なしの速度だ。


「くっ……!」


必死に地面を蹴ってそれをかわす。

これまでは、魔法を発動するのに立ち止まって何秒も集中しなければならなかった。けれど、実践でロゼ様やガイル王子のような化け物たちと渡り合うには、動きながら魔法を練り上げる動的詠唱が絶対に必要だった。

寮の部屋も着実に解体を進めており、四階に積まれている魔導書を寮のみんなで回し読みしてそれで得た魔法を披露することが最近の流行となっている。


「リナ、次は私よ! 足元に気をつけて!」


リリーが度胸たっぷりの鋭い声をあげる。彼女が地面に手を突くと、リナの足元から頑丈な蔓草(つるくさ)が生き物のように伸びてきて、足首を絡めとろうとした。


「……そこっ!」


逃げるのをやめ、あえて蔓に向かって踏み込んだ。

頭の中で想像するのは、冷たく、すべてを停止させる清らかな世界。


パキパキパキィーーツ!!


私の足元から、扇状に真っ白な冷気が爆発的に広がった。

襲いかかろうとしていたリリーの蔓は、足元に触れた瞬間にカチコチに凍りつき、ガラスのように綺麗に砕け散った。それだけでなく、周囲の地面までが美しい氷の薄化粧を纏っている。


「うわあ……! 今の凄いわリナ!」


リリーが緑の瞳をキラキラ輝かせて駆け寄ってきた。


「やったなリナ!」


ゲイルも自分のことのように嬉しそうに笑う。


「二人が毎日、こうやって付き合ってくれたおかげだよ」


額の汗を拭いながら、自分の手のひらを見つめた。

まだ小さな一歩かもしれない。けれど、自分だけの氷型の魔法は、確実に強くなっている。


「よーし、じゃあ特訓の成果を祝して、今日も寮の食堂の特製ジャガイモパイを賭けて勝負だ!」

「ちょっとゲイル、あんたまた賭け事にして! 負けた方が明日の部屋掃除ね!」


夕暮れ時の旧校舎に、三人の賑やかな笑い声が響き渡った。

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