第八章 (3)
ショウタ達は。。
窓のない白い壁で囲まれた部屋。50畳はあるほど広く、什器は真ん中に5脚のパイプ椅子が並べられているだけのガラーンと広い空間だった。殺風景な白い壁の一か所になぜか大きなモニターが掛けられていた。ショウタ達はこの部屋に連れてこられ椅子に座らされたままじっとしていた。捕まっちまったな、という無力感が広がりショウタは誰とも話す気にもなれなかった。しばらくするとドアが開いて4人の男が入ってきた。研究所長とリキヤが護衛のような男2人を後ろに従えていた。
「おやおや今日は男性ばかりですか? あの気の強い記者と女の子はご一緒ではないのですか?」研究所長の口ぶりは、ショウタが気に食わない嫌味な感じで溢れていた。
「やはり宇宙船を作っていたじゃないか。あなたは知らないと言っていたけど」ショウタが研究所長の問いを無視して嚙みついた。
「ああ、そうですか?ありましたか、宇宙船が。まああれもここの開発テーマの一部なので忘れていましたよ」
「嘘を言わないでください。あれがメインテーマですよね。逆にあれ以外の開発テーマはないじゃないですか」タケヒコが呆れたという口調で叫んだ。
「あれ?あなたはどなたでしたっけ?ああ開発部の方でしたか?社員がこの人たちと何をしているんですか?」研究所長がとぼけた口調で言った。
「白々しい。5日前に部長の開発方針は間違っているとお話したばかりですよね?」タケヒコも研究所長が嫌いなようだった。
「ああ、そうでしたっけ?私も分刻みでたくさんの人に会うので忘れていました。しかしどんな理由があるにせよ、外部の人を研究所の中に入れるのはいけませんよ」研究所長は変わらずとぼけていた。
「タケヒコ君、君がしていることは犯罪だよ。警察に引き渡すこともできる。しかし所長は警察沙汰にはしたくないとおっしゃっている」リキヤが口を挟んだ。
「警察に知られると宇宙船のことが公になるからですよね」タケヒコはリキヤも気に食わないという表情をしていた。
「あなた方は不法侵入、器物損壊の罪を犯しているんですよ」とリキヤは声を荒げた。
「それは分かっています。どうぞ警察に突き出してください」ケントの声は太く冷静だった。
「ケントさん、あなたにはお世話になった。だからひどいことはしたくない。それで私から研究所長に悪いようにはしないようお願いしたんだ」
「あなたにお世話になる義理はない」ケントがリキヤの言葉を切り捨てた。
「まあ、警察には話しませんよ。機材も壊されたようですが、私たちにとっては特に大した被害ではないので目をつむります」研究所長は余裕の表情でショウタ達を眺めていた。
「あれでもう薬剤は撒けなくなっただろう」とカズユキがオタクにしては強い口調で言った。
「何をおっしゃいます。あなた方に壊されたタンクは何個もあるタンクの一つです。他にも薬剤がたっぷりあります。あなた方の破壊は私たちにとって痛くも痒くもありませんよ」全然、動じていない研究所長の態度を見てショウタは悔しかった。
「外に出てまた悪さをされても困るのでここでしばらくお休みください。モニターも用意しました。それで私どもが植物や虫を退治するところを楽しんでご覧ください。では失礼します」そう言うと研究所長は他の3人を引き連れて部屋を出て行った。ドアに鍵がかけられると壁のモニターが突然点灯し、装甲車の並ぶ隊列が映し出された。それは屋外カメラから流された現在の映像のようだった。既に夜が明け、顔を出し始めた朝日が装甲車の背面を真っ赤に染めていた。
捕まったショウタ達が見るものは?




