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第七章 (1)

市役所へ

 なんで役所の会議室はこんなに無味乾燥なんだろうとショウタは思った。机や椅子は安っぽい樹脂製で色は地味なグレー、薄汚れた壁にはショウタの嫌いな標語を書いたポスターがベタベタと貼られていた。そのポスターのデザインも微笑むタレントやかわいい漫画のキャラクターを配したつまらないものだった。まあ優秀なデザイナーを採用したり、装飾に凝ったら税金の無駄使いと言われるのかもしれないが、レベルの高いデザイナーに頼まなくても、色とか材質をしっかり選定をし、工夫をすればもっとセンスのいい部屋になるのにとショウタは思った。そんな市役所の会議室には市長だけでなく警察署長、消防署長、防災部部長など市の幹部が顔を揃えていた。今回ソフィアは、植物の話をするためにエミリーとケント、ショウタ、そしてトウヤにも同行してもらった。トウヤを呼んだのは研究所と取引をしていた大手商社の元役員という肩書で箔をつけるためだった。市長は30代半ばの男性だった。革新系のリベラルだが若手ながら説得力があり、保守系議員を含め市議会を上手くコントロールし、行政を推進するリーダーシップにもたけ、市民の市長に対する評価は上々だった。丸みのある穏やかな顔立ちだが眼光はテレビで感じるより鋭いなとショウタは感じた。

「『植物とコミュニケーショができる』確かに以前、聞いた記憶はあります。でもあのときは嘘だという話になっていましたよね」ソフィアとケントの一通りの説明を聞いた市長が発言した。

「騒いだマスコミはそう扱いました。しかし学界では論文は正しいものとして残っています。現在、産業技術研究所の幹部になっているリキヤ教授も騒ぎの後も引き続き研究をしていました」とケントが補足をした。

「植物とのコミュニケーションの真偽の程はともかく、彼らの言うように今日は植物の侵入の動きは止まっています。また市役所の北側に森の公園の木がバリケードを作ってくれ、鳥が群れをなして植物の侵入を防いだという報告は入っています。彼らの言っていることは嘘ではないです」消防署長が好意的な助言をしてくれた。

「宇宙船の開発も二人の証言、書類を見れば事実なのでしょう。それに街の中心を逸れて今、植物が研究所に向かっているのも事実」市長は冷静に考えている様子だった。

「コンフォス財団が宇宙船を開発すること自体は、違法ではないです。違法でない限り民営組織がやることに口は出せません」警察署長は慎重だった。

「しかし、もしそれが今の植物の侵入の原因であるのであれば交渉する必要はあるな。本当に植物が宇宙船に乗れれば侵攻は止まるのですね」

「はい。どのくらい乗るのか、いつ乗るのかなど細かいことは後でもいいのです。まずは会話を始められれば侵攻は止めてもらえると思います」市長の質問にエミリー自ら力強い口調で答えた。

「わかりました。もう一度、研究所長に会って話をしましょう」市長が決断した。



市長が動いてくれるようです

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