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第五章 (1)

植物の侵入が進んでいます

 森の奥まで入った日から三日が過ぎた。植物の街への侵入は進んでいた。蔓や枝葉は北側の住宅街をほぼ飲み込み、街の中心部まで残り5km程のところまで迫っていた。飲み込まれた住宅に住んでいた人たちは、家を追い出され南部の学校などに設置された避難所に移って暮らしていた。警察や消防が押し寄せる蔓を切ったり、バリケードを作ったりして防ごうとしていたが、大量に押し寄せる植物の前では焼け石に水だった。家ごと焼き払うしか手がないのではないかという話も上がっていたが、家の持ち主の許可が必要なため実行するのは困難だった。

「私のマンションも飲み込まれちゃった。幸い私にはスナックの2階に部屋があるからそこで今暮らしているわよ」煮物をつつきながらユキエが嘆くと食器を並べていたマリアが口を開いた。

「私の家までも残り2kmくらいです」

「もし家を追い出されたらリョウヘイの会社に簡易宿泊所があるっていうからそこに避難したらいいんじゃない」

「リョウヘイさんにお世話になるのはちょっと気が引けるなあ。大丈夫ですよ、市の緊急避難所に行きますから」トウヤの提案にリョウヘイの下心を警戒してマリアは遠慮した。

 バタンと大きな音と共に入口の扉が開いてソフィアが飛び込んできた。その目はいつになく輝いていた。

「ついに突き止めたわよ。産業技術研究所が何を開発しているのかを!」ソフィアの後ろにはリョウヘイとフジナミの秘書ナカエが付いてきていた。3人がカウンターに腰を掛けるとソフィアはすぐに口を開いた。

「ナカエさんならなんか情報を持っていると思ってリョウヘイさんを頼ってコンタクトしていたの。最初はなかなか会ってくれなかったけど、昨日、会ってくれて遂に話をしてくれたわ」

「それで一体、何を造っているんです?」ショウタがいてもたっても居られず訊いた。

「それは本人から話してもらうわ」ソフィアがナカエに話を振った。ナカエは張り詰めたこわばった表情をしていた。お尻を持ち上げて姿勢を直してから口を開いた。

「宇宙船です。産業技術研究所は巨大な宇宙船を開発し、打ち上げようとしています」ナカエの言葉にモッキンの店内が一瞬静かになった。

「やっぱりそうだったか……」ケントが静寂を破るようにつぶやいた。

「え?ケントさん、分かっていたんですか?」ショウタは驚きの声を上げた。

「草木が外に行きたいと言っているときピンときたんだ。地球から出たいんじゃないかと」ケントがそう言うとユキエが高い声を上げた。

「私も行きたい!このまま地球に居るのは恐いもの」


宇宙船? ナカエが話す秘密とは?

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