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悪人と善人

マナエッテはクレープを受け取り、口元を汚しながら食べ進める。それをアメリがハンカチで拭いている


「しかしマナが記憶無くしたって、ほんと何があったの?車に轢かれたとか?死体見ちゃってショックでなったとか?」

「いや、ナイトメア事件の被害者ってとこかな?」

「なるほどね……。ナイトメア事件、今日はまだ起こってないらしいよ?」

「まじ?」

「まじ」


フリースは一人スマホを見ていた。すると一つの記事を目にした


「アメリ、読み上げる」

「ああ」

「キャッツ氏が生物凶暴化事件の犯人確定、現在警察が逮捕に掛かるも全滅。他県と協力し全勢力で射殺に掛かる」


アメリは少し明るめな顔をした


「それってつまり、キャッツが死んでくれるのか?かなり好都合だ。これで半分も消えたことになる!」

「いや、警察が負ける可能性もある」


レイアは話す


「それ朝のニュースでやってた!まじ怖いよね。キャッツとかいう人。ここまで警察を追い込むとかありえないし、ほんとやばいよこいつ」

「そ、そうだな」


しばらく静かな空間が続く


「ごちそうさま!!」


マナエッテは食べ終えていた。レイアは笑って 


「また作ってやる。お前らには別に金も取らんし、また手ぶらで来いよ!」

「おい、ほんとに払わなくていいのか?」

「いいからいいから!」


シーサイドは全てを見終えた。しかし人の入りそうな荷物を持った者は誰もが帰ってきていた


『こうなると怪しいのは、帰ってきてない連中全員だ。能力者と考えるのなら、何かしらの方法で上手く運んだ可能性もある』


シーサイドは許可を貰い部屋に入れることになった。そして最初は桃髪の女の部屋。仮にサカツキがいるのなら、近くに人質がいる可能性も高いとシーサイドは警戒しつつ扉を開けた


『映像からするに今は留守。というか殆ど留守にしてるが、人質への飯、そして生死を確認させる時はここに来るんだろう。となると電話の時は偶然にいたのか……丁度昼頃だったしな。女の出入り頻度からして、飯は三日に一回』


シーサイドが進むと、誰もいない。奥の部屋から物音がした。シーサイドはその扉を開けると、部屋の奥には目隠しと拘束された子供が数十人と詰められていた


「さて、見つけたぞ。シュヅキ!」


サカツキの姿は無かった。子供は全員裸にされており、うつ伏せにぎっしり詰められていた。寝返りもできない。そして背中には一から四十の番号が焼き付けられていた。子供たちからは空腹からか既に疲れ切ったのか、バタリとしていた


「これは酷いことになってるな」


シーサイドは一人の男の子の拘束を解いた


「おい、大丈夫か?」

「っ……おじさん……その服、警察の人?」

「ああ」

「やった!助かった!やっと帰れる!!」

「とりあえず聞かせてくれ、何があったか」


男の子は語った


「ある日の帰り道、急に記憶が飛んだような感じがして、気がついたらこうなってたんだ。三日に一回、何か口に入れてもらえたけど、とても不味い料理だった。あと、そのご飯の日は毎日注射を刺された」

「そうか、教えてくれてありがとう」

『シュヅキは何を考えてる?注射は何の為?』


そして警察の応援も来て、全員無事家に返された。それから数時間、サカツキに一通の電話が掛かった


「シュヅキ、お前の指示には従わない!!もう娘は戻っているんだ!お前は刑務所で罪を償え!!後、娘の背中の数字は一生物だ!慰謝料を請求」

「静かにしろ。いいこと教えるからさ」


加工の入った男の声で返した


「大切な娘さんには消化の悪い料理を食べさせました。更にずっと横にさせてたから、消化速度はとても遅いです。今も体に残ってます。さて問題、私は何を食べさせたでしょうか?」

「おい、待て、何を?!」


その瞬間、娘が爆発し、その社長諸共部屋ごと吹き飛んだ。そして他の子供も全員同時に爆発した


「サカツキ様、何食べさせたんですか?」


ミューフは聞いた


「遠隔爆弾を小さく再構築……つまり巨大な火薬を小さく圧縮させ、食べさせた。勿論威力は変わらないし、今頃は子供どころか周りも巻き込んで爆発だ!!残念だ」

「それは面白いですね!」

「いいや、私の計画は一からやり直し。ちょっと最悪とも言えるが、キャッツと警察をぶつけさえすれば勝ちは貰ったと言っても過言じゃない。今から大阪に向かいキャッツを始末するぞ。今が狙い目」

「はい!」


二人は大阪へと向かう。新幹線へ乗ろうとすると、少し離れた距離、後ろから拳銃を向けられた。サカツキは気配に気がつき立ち止まる。そして銃声と共にサカツキの頭が撃ち抜かれた。瞬間、サカツキが自分の頭に触れると一瞬で傷が治る


「どうやら今の主は化け物みたいだな。ミューフ」


ミューフが振り向くと、シーサイドが立っていた


「シーサイド……さん」

「なぜ生きてるか知らんが、能力というやつか?」

「正解!私の能力は死んでも保険がある」

「保険か」

「そ、復活位置を設定してから死んだら、その設定した位置に生き返る。だからあの時自分を銃で撃ち、わざと死んだってこと!」


シーサイドは息衝く


「シュヅキとの旅は楽しいか?」

「楽しい……よ」

「そうか。だが追い詰めたぞ」


サカツキは振り向く


「優秀な警察がいたものだな……ってそうか、ミューフの元先輩のか」

「そう言うお前は俺より前から上司やってんだろ?」

「正解だ」


レイアは近くでクレープ屋をしていた。もう三人も帰った後であり、銃を向けるシーサイドが目に入る


『ちょ、何あれ?警察が犯人と戦ってるってこと?めっちゃ珍しい現場やん。見てみよ』


レイアは店からその様子を見ている


「ミューフ、最後に聞くが、もう戻る気はないんだな?こっち側に」


サカツキは近くのベンチへ座り、言った


「ミューフとは力や人質で支配してる縁じゃない。私は何も口を出さないから好きにするといい」

『ミューフは優秀。スパイとして最も適した能力であり、本当だったら警視にでもなって裏から警察を操ってほしかった物だ。ミューフは私を選ぶ。育ての親も一緒にいた期間も、全て私が勝っているからな』


ミューフは答えた


「ごめんなさい」


そう言い続けた


「シーサイドさんを選びます」

「っ……」


サカツキは唖然とした。サカツキは笑いながらベンチで横になる


『流石に仲間のフリしてシーサイドを殺すとか考えてないよな。私が殺そうと思えば正面からでも可能だし、それをする理由が無い。再び警察に潜るにしても、私が戦力の無い今の警察を必要としてないことは話したし、ありえない』


サカツキはその青い空を見上げ溜息を吐く。シーサイドは言う


「ミューフ、お前の選択は間違ってない」


シーサイドはサカツキへ銃を放とうとした


「待って!」


ミューフがそれを止める


「サカツキ様もこっちに来て下さい!私と一緒にやり直……せると思います」


サカツキは考えもしず断るつもりだった。頭に流れたのは古い前の世界の記憶だ。生まれた頃から親はおらず、九歳のこの頃、小さな学校に通っていた。サカツキは日々ニュースを見ていた


『この世界は善人と呼ばれる人が損をし、悪人と呼ばれる人が得をしやすい。いつも怒鳴り散らかし周りに迷惑を掛けているやつはストレスも少なく、それに合わせている周りのやつはストレスが溜まっていく』

「暗い顔して何考えてんの?サカツキ?」


抹茶色の長い髪をした明るそうな少女だ。サカツキの友達であるショコラという名


「世界って上手く作られてないか?」

「へ?」

「例えば人の金を盗むと捕まる。ほぼ確実に」

「うん」

「人の小物を盗むと捕まる。大体は」

「うん」

「人のお菓子一つ盗んだくらいなら見つからない場合が多い」

「うん」

「つまり、リターンの大きいことをすればリスクも大きくなり、リターンが小さければリスクも小さい。他に当てはめても同じことが言える」

「なるほど……?」


サカツキは自信げに言う


「善人と呼ばれる人間はリスクを犯さない。しかしリターンは無い。って考えたけど、もし人の金を盗んでも絶対に捕まらないのなら、ノーリクスハイリターンになる」

「そ、そうだね」

「善人が損する世界で悪人として生きる。そしてノーリクスハイリターンが可能なら、それは完璧な神と呼べるんじゃないかと思ってな!」

「ダメだよ!そんなこと」


ショコラは強く返した


「それって、サカツキちゃんは得するけど、損する人も出てくるってことじゃん!そんなのおかしい!」

「なら悪人が得する今の世界をどーにか変えるんだな。人と金の二つが存在している限り、どこに行っても同じだと思うが」


その日の帰路、サカツキがトイレから帰るとショコラの姿が見当たらなかった


「ショコラ?」


近くに怪しい車があり、二人の男がショコラを無理矢理車に押し込んでいた。ショコラは抵抗虚しく入れられる寸前に一言


「逃げて!」


サカツキに言った言葉だ。ショコラの声を聞くのはこれが最後になった。車が発進し、サカツキは地面から壁を生やし車は壁にぶつかり動かなくなる。男たちは焦っていた


「どうする?このガキに顔は見られてるぞ」

「徒歩で連れては逃げれんだろ。殺すぞ」

「了解」


サカツキが急いで近づき車の扉を開く寸前、銃声が響いた。車内ではショコラの頭が撃たれていた


『ショコラは所謂善人だった。殺された理由は所謂悪人によるもの。この悪人を殺せば私が悪人になる。だが放っておいたら警察に連れられ、いつか出てくる。こいつらは誘拐殺人を犯しておきながら、リスクがこれでは少なすぎる。しかしこいつらは私の言った通りになった』

「私というハイリスクを怒らせた」


サカツキは車ごと男たちをぐちゃぐちゃに丸めた。その日からサカツキは世界を乗っ取る方法を考えた


『一人の力には限界がある。まず大企業を乗っ取り、小中企業にはそこ以外に部品や食品を売らないようにさせる。それにより内でしか買えないようにし、多額の金で商品を販売。最強の戦力を誇る騎士団は真っ先に乗っ取るべきだな。そこに力で押されては勝てない。私の能力があれば人間を小さく圧縮し、後に元の大きさで再構築することが可能』


サカツキはその計画を始めた


「ショコラ、私は証明したい!悪が得する世界ということを!!そして私が全てを乗っ取り世界征服を果たす!!」


その様子をミューフはサカツキより一つ年上だが、サカツキを姉のように慕っていた。受け手のいないミューフを引き取ったのが八歳の頃のサカツキだった。サカツキはその後計画を進めたが、危険すぎる為に世界から別の世界へ追放された。他三人の危険人物、その部下と一緒に

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