炎水と猫話
その後メラアはキャッツに再び会っていた。キャッツの本拠地であり、キャッツの座る向かいの椅子に座っていた
「懲りずに何用か?」
「あなたアイレンズが邪魔なんでしょ?無差別に全てを殺す機械を作るあいつが。私と組んでアイレンズを倒さないかしら?」
キャッツは少し考えた
「サカツキは我とアイレンズに組まれたら流石に負ける……と思ってる。つまり片方を消しにくるはずと考え、愛知拠点のアイレンズの方が距離は近い為、先に潰す確率は高い。そうなると、我はサカツキとアイレンズに漁夫の利をすることで両者を消しつつ勝てる。ナイトメアが死んだタイミングだからこそ我らが焦って組み始めることを警戒するはず」
キャッツは一息つく
「この計画はメラア、君なしでも成立する。君ごときの戦力があろうと、結果は変わらない」
「いいえ、そうはならないわ!アイレンズを」
「それはサカツキが殺すはず」
メラアは少し考えた
「なら少し変えるわ。サカツキを倒す。そしてアイレンズから距離を離しつつ回復をし、アイレンズも倒す。私とあなたでね」
「勘違いしてる。我にとってアイレンズは敵じゃない。敵として見ているのはサカツキだけだ。サカツキを倒すのに手を貸すってなら分かるが、どうする?」
メラアは咄嗟に言う
「じゃあサカツキに変えるわ!」
『あの二人のどちらかが潰れれば私に勝ち目がある』
「残念。我はサカツキと争う理由が無い。サカツキも我の目的に手を出さないし、我も今のところは手を出さない」
「ちょ、あんた今私を……この外道が!!」
「そんな煩く吠えてると、何処かの可愛いワンちゃんと勘違いされるぞ?まあ我は猫だが」
メラアは水化し、外へ出ていく。メラアが扉を閉じると、キャッツは猫面を外した。赤目をした少女。そして同時刻、フリースは湯につかる。そう、こっそり少し飲んだりと気持ち悪い行動もしているが、高校生男子ならば逆に健全とも言える。別に普通の湯の味しかしないが、これは気持ちの問題だ。フリースが湯を上がる。そして寝巻きを着リビングへ向かうと、アメリとマナエッテは二人で何やらカルタをしていた。ヒカリノは寝転び読み上げている
「猫の家、沢山友達、喜びパーティー」
ドンッと二つ音がした。ヒカリノは音を聞き取り判断する
「今のはアメリ」
そして時は経ち全員布団へ入る。ヒカリノはソファーで寝ており、アメリ、マナエッテは同じ布団に、フリースは悲しく一人寝。布団が足りなかった結果だ
「ヒカリノさん、ほんとにソファーでソファーでいいんですか?」
「構うな。私はいつもここで寝てる」
本当のようで、布団はいずれも全く出されていない様子だった。奥に詰められていた
「なあマナ?」
アメリは聞く。しかし返事は無く、マナエッテは既に眠っていた。ヒカリノは電気を消した
「フリース、お前夜中に勝手に変なことするんじゃないぞ?ま、私は寝てるから知らんが」
「俺がするように見えたか?」
「男ならするだろ。知らんけど」
これは酷い偏見だった。そして晩が明けた。シーサイドは朝から警部として一つの会社の社長を問い詰めていた
「待て、話す!シュヅキに言われてやったんだ!娘を人質に取られたんだ。だから仕方なく会社全体でシュヅキに協力をした!」
『何?人質を取られてるのか。シュヅキ、全く厄介な相手だ。それにドロドロに見つかった男の死体。あれもサカツキの能力とやらによる物か?死体をあんな綺麗に溶かす方法なんて存在していないしな』
シーサイドは思いついた
「分かった。ならお前を使いシュヅキを騙す」
「待て!警察の言葉とは言え、娘の命が保証されないだろ!」
「それで言うなら会社が潰れた時点で切り捨てる。つまりお前の娘も必要なくなるってわけだ。ならこっちから手を打った方がいい」
「……分かった」
シーサイドはその社長に色々と会話の流れを説明した。そしてシュヅキ、言い換えサカツキと電話が繋がる
「どーしましたか?レツロン社長」
その声は加工の入った男の声だった
「ちゃんとやっている。いつ娘を返してくれるんだ?」
サカツキはしばらく考えた
「少なくとも、俺は少なくて二十年生きると思う。それまでだ」
「二十年後ってことか?」
「いいや、俺が死ぬまで」
「じゃあ我々はシュヅキ、あんたに手を貸せない!約束しろ、近いうちに返すことを」
サカツキは笑っていた
「バカか?手を貸さないなら死期が早まるだけ。可哀想にね、こんな子供なのに」
「分かった。引き続き手を貸す」
「それでいい」
「最後に声を聞かせてくれ!」
「構わない」
子供の声が聞こえ電話が切れた
「シーサイドさん、言われた通り」
「ああ、逆探知成功。今すぐ救い出してくる」
シーサイドは会社を出ると風の吹く道を歩いていた。サカツキの位置は判明した
『手を貸さないと言えば、娘を殺すと脅される。それは当然だ。あえてバカなふりをし、変に警戒をさせない。そして、あいつの娘はこのマンションか?部屋が分からんな』
シーサイドはスマホの地図を見ながら色々と考えていた
『いや、部屋を長期間借りてかつ、入れ物のような物を持たずに外へ出ていったやつがシュヅキだ。スーツケースとかならば人間の一人も入れれるだろう』
マンションに到着すると、警察権限を使いカメラを見せてもらう。誘拐された二ヶ月前から怪しい人物を徹底的に探す。カメラは全ての部屋前に仕掛けてある。まずはスーツケースを持つ人間を早送りで見ていく
『こいつは……普通に毎日帰ってきている。こいつは女だから違う……いいや、声加工ならば女という線も考えられる。一応……帰ってきている』
サカツキは何枚もの資料を見ていた
『完璧。今日本の大企業の四十社は私の物になった。これだけの財力があれば多くの会社から内にだけ部品や食品を仕入れるよう仕向けれる。となると全ての経済は私が操ったも同然!!勿論逆らった店から力で消していく。全ての市民が私の所でしか買えないようにし、それを高く売りつける。でもここで買うしかないもんなあ!!』
サカツキは不気味に笑みを浮かべる。ミューフは正座するサカツキの膝に頭を置き、何をしているのだろうと不思議に思うがミューフは難しそうな内容なので聞かないことにした
『さて、そうなると、キャッツが面倒。私のしてることをキャッツが見れば争いになる。ここで必要なのが、警察とアイレンズのヘイトをキャッツに向かせることだ。そして少し弱らせ確実に私が消す!!まずは宣伝をさせよう!アイレンズは難しいから放置。これで勝ったっと。怖いのは……キャッツが私を殺しにくるってことか。しかし問題は無い。キャッツは物凄く怒るだろうから、それで冷静さを欠けば私の勝利は確実!!』
サカツキはそのまま横になる。ここは和室であり、狭い一部屋。サカツキはその宣伝を始めた。その日、ニュースで生物凶暴化の犯人がキャッツだと明かされた。更に多くのサカツキが乗っ取った企業は、キャッツの悪い噂を広げるべく活動に励んだ。キャッツの悪名はすぐにでも広がった
「サカツキか!いいわけない。殺す」
キャッツは拠点の外へ出た。すると多くの警察に囲まれていた。キャッツが武器を所持しているという偽の目撃情報をサカツキが作っていた
「儂はトーストじゃ。一応この年で警部なんじゃがな」
老爺だ。キャッツは何百人もの白服を着た騎士を引き連れており、横には幹部と思われる二人
「今から我々はサカツキを殺す!!あのゴミを!!!やれ!」
騎士は一斉に警察へ剣を構え向かっていく
「迎撃しろ!!」
トーストがそう指示すると、キャッツ共を描こう数百の特殊部隊は銃を一斉に放った。白服の騎士『白き行進者』も警察へ向かっていき、まるで戦争状態。キャッツも銃を撃ち、盾を持つ警官を一人一人と殺していく
『警察が動いた理由は偽の証拠を大企業が広めたからだ。生物凶暴化事件の犯人が我なのは間違いないが、証拠は残していない。偽映像でも作れる技術者を脅したか?脅すだと?許せない!!』
キャッツは剣を振り始めた。すると次々と一振りする度に倒れていく。剣は当たっていないのに、剣の切り後だけが残る。それを見ているトーストは驚いていた
『あれがシーサイドのやつが言ってた能力とか言う。全く隙もない警官が次々とやられてく。盾を貫通してるかのように』
トーストは銃を抜き、目にも止まらぬ速さで撃った。キャッツの面に掠れた
「まず一発」
『爺さん!舐めてくれたな!!』
キャッツは怒りで焦っていた。そしてキャッツが空を撃つと、トーストの心臓に命中した
『っ……!?くそ能力者め!!』
トーストがその場に倒れると、周りの警官も動揺していた。そして白き行進者も死ぬ中、警官の方が明らかに死んでいる
「全員殺せ!我に逆らう愚か者を!!」
サカツキはその映像を入手していた。生で放送されるそのキャッツ共が警察を殺しまくる映像。サカツキはそれを大企業に拡散させた
『キャッツ、お前は日本を理解していない。警察ってのは殺しても応援が無限に湧いてくる。国民を守る為にな!!だーかーら、お前が私に到達する頃に、白き行進者は殆ど死んでるはずだ!!』
「全く、バカすぎて笑えるな!!」
「ですね!サカツキ様!」
ミューフはサカツキの意図を理解しておらず、人が沢山死ぬこの映像が面白いのかな?なんて思っていた。マナエッテ、アメリ、フリースは新幹線に乗り東京へ帰っていた。そしてシーサイドはカメラの映像から手がかりを探している
『こいつも帰ってきた。この桃髪の女は……こんな小さい鞄か。人間が入るわけない。そしてこいつは…………』
そしてしばらく、マナエッテ、アメリ、フリースは東京へ到着した。アメリは上に手を伸ばした
「あー、久しぶりの空気!!」
「東京か。サカツキにナイトメアのいる、まるで魔境だな」
「だな」
マナエッテは一人先走って行く
「ちょ、マナ!?」
「見て見て!!クレープ屋さん!!」
マナエッテは欲しそうに目を輝かす。アメリは溜息を吐く。その純粋な可愛らしい眼差しに負けた
「分かった。何味にするんだ?」
「チョコ!!」
「チョコ一つ」
「はい、マナちゃんチョコ一つね」
「え?」
アメリが店員の顔を見ると、同級生のレイアという女の子だった。黒髪に少し赤筋混じりの髪をしており、腰辺りまで伸ばしている。赤帯女と呼ぶ男子もいるが、レイアに怒られるのがオチだ。そのワンセットはレイアも楽しんでるように見えたりする
「レイア?!なんでクレープ屋を……」
「パパ熱出してさ、代わりに私がやってる。あ、技術面はそこまで懸念しないで!ちゃんの子供の頃から教わってるからさ」
「ありがと!お姉ちゃん!」
マナエッテは礼を言う。レイアはお姉ちゃんと呼ばれ、当然と違和感を覚える。それと同時に思った
「え、え、マナが私をお姉ちゃんって?何それ可愛い!罰ゲームかなんか?」
「いや……訳あって記憶が幼い頃まで戻ってな」
「え、まじ?それはなんかごめん。でも可愛いしさ」
「それは分かる」
フリースを蚊帳の外に盛り上がる三人。ようやくレイアが触れた
「あれ?後ろの男って彼氏?」
「いや、マナに片思いしてる変人」
「あ、そう。それよりチョコ味ね!おけ、任せて」
「なんか雑」
フリースはその扱いへの不満を呟く




