悪夢と酒月
白いカーテン越しに影のみ見える人間。髪の長い人間が風呂に入りシャワーを浴びている。体のシルエットからしても女だろう。女はシャワーを止めた
「こんにちは!!ようこそ私のラボへ!!!フリースくん、アメリちゃん、そしてナイトメアによって記憶の消されたマナエッテ……いやいや、マナちゃんって呼んでいいかな??」
「いいよ!」
マナエッテは明らかに様子のおかしい強い口調の女にそう優しく返した
「うーん、それは苦しい……慈悲!!あはは、いいよ。そう、招待してね、うん!!頂いて!!」
下に穴が空き、そこから机が現れた。机上には焼かれた薄い肉が置いてあり、既にタレもつけてあり何の肉か判別もできない
「食事でもしながらお話しよ!!そう、お話!!あはは!!私は私はとても消したいやつがいてね!!サカツキという女なの!!!」
「なぜサカツキを消したい?」
フリースは椅子へ座り、肉を食べた
「おい、毒とか警戒しないのか!?」
「しない。アメリ、お前も食べるといい。殺す気なら新幹線で既に殺してるはずだ」
「その肉ね、新鮮な女の肉!!つまり人肉だけど、体に害は無いよう調理してある!!!ほーら、いいね!!」
フリースは手を進める。流石にアメリはドン引いた
「お前、それ人肉って」
「気にするな。食っても死なないのは本当だ」
「いや、そういう問題じゃ……」
アイレンズは話を続ける
「サカツキを消したい!!なぜなら怖い!!早く潰さないと知らぬ間にこっちが負けてそう!!あいつは何よりも危険な存在だからさ!!!ナイトメアも丁度消しに行ってるし、私も便乗する。その波にメラアも乗らないかって招待したんだけど、いないんだ。ま、メラアに伝えといてよ!!!」
「お前らもメラアからしたら敵だ。サカツキを潰してもお前らに負けるんなら意味がない。これは対等に見えて対等でない同盟だ」
アイレンズは頷いた
「頭切れるな!!!じゃ、いい。私からしてサカツキさえ消えれば怖い相手はいないから!!!同時に君たちが一番恐れるのもサカツキ!!キャッツ?あいつは公平に囚われたアホ。ナイトメア?あいつは金が欲しいだけのアホ。サカツキ!!あいつが怖すぎる!!!メラアも分かってくれるかも?」
「なぜ恐れる?」
「あいつは規模が違う。しようとしてることの」
三人は普通に返された。何もされず。そしてラボは地へと沈んでいく。まるで跡形も残さないと言わんばかりに
「どうする……?」
アメリは聞いた
「メラアには伝える。あいつらを全く知らない俺らに何が正しいのか判断はできない。ただし、一旦姉貴の家に向かうぞ」
「了解」
「お兄ちゃんの姉貴?姉貴姉貴!!」
マナエッテは謎にはしゃぐ。そしてナイトメアはサカツキの位置へ到着していた。金髪の鍛えてある体をした男がナイトメアだ。暗い倉庫でサカツキと向かいになる。ナイトメアにもメラア同様にサカツキの気配が分るのだろう
「このゴミが、よく俺に喧嘩を売れたな!」
『怒りっぽいナイトメアだ。こうなることは分かってた』
サカツキの横にはミューフがいた
「喧嘩で済むかは置いといて、お前は私の敵にすらなれない。キャッツとは上手くやれば敵対はしないし、アイレンズは所詮機械しか作れない奴だ。それにお前の能力は寝ている時にのみ有効なんだろ?試合にすらならない」
「ナイトメア事件。俺が何万人に悪夢を見せ、恐怖による記憶喪失や自殺を招いた。それに比べお前は誰一人と殺さず、影で何をやってるんだ?バカが」
サカツキは息をゆっくり吐く
「悪いな、お前と同じ空間にいると空気が不味い。ねえ、ナイトメアくんどーすんの?私を殺してみるか?」
ナイトメアは剣を構えた。鋭く刃の細い剣だ
「サカツキ、これは先に触れたほうが勝つ試合だ。俺が先に触れれば全力の悪夢でお前を再起不能にする。逆に俺が触れられれば再構築され終わる。分かってるだろ?」
「当り前だ」
空気がシンとした。ミューフはその空気に唾を飲む
「死ね!!」
ナイトメアが大きく踏み込むと、瞬間移動でもしたのではないかという速さでサカツキの目の前へ到達する。ナイトメアがサカツキの膝に触れようとすると、サカツキが膝に手のひらを上に手を置いた
『なるほど。それなら最悪でも相打ちに持っていける。触れれない』
ナイトメアは後ろへ飛び跳ね、剣を投げた。サカツキは顔に向かう切先を避け、持ち手を掴む
「もらい。そんで、早く全力の悪夢をくれよ!」
「言われなくとも!」
ナイトメアはサカツキに思い切り殴りかかる。サカツキは剣を地に刺し、それを片手で受け止めた
「アホが!!」
ナイトメアは全力の悪夢を注ぎ込むと同時に、スライムのように溶かされ死した。サカツキはその場を後にしようとすると、ミューフは聞いた
「サカツキ様?ナイトメアの能力食らっちゃって良かったんですか?確かにナイトメアは確実に死にますが、サカツキ様がナイトメアの悪夢を耐えれるとは……べ、別にサカツキ様の精神の強さを疑ってるとか」
「見てろ」
サカツキは自分に手を置いた。そして何も起こらなかった。サカツキは再び歩き出す
「ああ、なるほど!自分を再構築したんですね!その際に不要な悪夢という要素を除いたと!」
「正解」




