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友人に絶交宣言をされたので、本来の自分が戻ってきました  作者: 葵
2年生

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騎士のお兄様

 闘技場で準備運動をしたのち、お兄様とグレイは早速手合わせを始めてしまいました。


「これが、デリックの実力か...。騎士団でもかなりの強さだとは聞いていたが」

「ジャクソン様はお兄様の剣術をご覧になるのが初めてなのですか?」


 騎士団での公開訓練で王族が見学するのは当然のことであると聞き及んでおりました。他にも一般の方でも当日に券を入手できれば観覧可能ですし、子どもに至っては訓練後に会話することも可能なのだそうです。

 知名度と人気の向上を図り、ついでに将来的に騎士になりたいと願う子どもを増やそうという企みですね。実際は適性試験などで落とされることの方が多いですが、何にせよ、希望者は大いに越したことがないというわけです。


「デリックの部隊は基本的に公開訓練には参加せぬのだ。精鋭故に機密の作戦や遠征が多いからな。何より」

「何より?」

「強すぎるから普通の部隊では歯が立たぬらしい。それで、現役騎士たちの心を折ってしまってはな...」

「か、かなり配慮されているのですね...」


 ジャクソン様の言葉にアウロラ様が若干戸惑っております。

 自分より格上の方と手合わせができるなんて普通は喜ばしいものではないのでしょうか?グレイは嬉しそうですし、赤のクラスの学生も嬉々として挑みそうな気がします。


「アレクサンドラ嬢、騎士たちは厳しい訓練や任務を乗り越え、誇りと強さに自信を持っているんだ。その自信をへし折る可能性があるんだ...。私も色々と折られかけてはいるからな...」


 ジャクソン様が肩を落としておられています。

 王族であるならばそのような自信のない姿を晒すのはあまりよろしくなのですが。


「それにしても、王族でさえそのような気持ちにさせるなんてすごい方もいらっしゃるのですね」

「...君がそれを言うか...?だが、ジャクソン殿の言い分もわかる。どの国でも公開訓練に参加しているのは新人とその指導係が多いからな。中堅やベテランレベルになると自信が削がれることは少ないだろうが、新人は違う、迷いやすい時期でもあるからな」

「なるほど...。理解いたしましたわ」


 そう考えますと、お兄様に果敢に挑めるグレイはやはりすごいのかもしれませんわ。

 グレイだけでなく、アウロラ様やマシュー様も。苦手で初めて触れる分野に対して物おじせずに挑まれますし。

 特に、ノア様やオリヴィア先生の高度な実験や解説にもついて行こうと日頃から努力されております。私はそのサポートしかできていないように思えますが。


「そろそろ休憩に入られるようだね。グレイ、お疲れ様」

「マシュー、ありがとうな...。くっそ、良い線までいったと思ってたのに」

「はは、かなり成長はしているがまだまだだな。奇襲を狙い過ぎているんだ、グレイは」


 タオルはマシュー様がお渡ししているので私は体力回復薬を用意しました。


「お兄様、グレイ、こちらをどうぞ」

「これは、新しい回復薬か?見たことのない色だ」

「最近調合したものですわ。匂いに癖がありましたのでマシュー様考案のハーブブレンドを配合して匂いを抑えていますの。お兄様、私の弟子はすごいのですよ!」

「アレックスが弟子を取ったのか?それは喜ばしいな」

「師匠の背中に追いつけるように精進していきます。ところで、その、先ほどは聞けなかった遠征でのことについてお聞きしても良いですか?」


 マシュー様のお家では現在、汗の匂いを抑えることのできる製品について議論をしているそうです。運動量が少ない場所では気になりませんが、汗ばむときにその匂いが気になることはあります。

 香水も汗と交わった時に良い匂いと思えない場合もあるのでその果然案を模索している最中なのだそうです。

 外で活動する機会が多い騎士にぜひ話を聞きたいと機会を伺っていたとのこと。お兄様も快くお話をすることを了承されました。


「おい、アレックス、本当にこれは飲んでも平気なやつか?」

「当然ですわ!疲労を堪りにくくしつつ、体力を回復することのできる画期的なものですの」

「...副作用は?」

「今のところ確認されていませんわ。まあ、寝る前に飲むのはやめた方が良いくらいでしょうか」

「...色が、良くないように見えるのは?」

「素材の関係ですわね。今後改善する予定ですの。さあ、一思いにお飲みになってくださいな」


 お兄様はすんなりと飲んでくださったのにグレイはかなり躊躇われています。

 その様子をジャクソン様は同情的に眺めておられます。ノア様やアウロラ様にお飲みいただいても問題なかったというのに、何を躊躇われているのでしょう?


「味は?」

「特に問題ありませんわ...調合にはカミラも手伝いを申し出てくださりましたのに...飲んでくださらないなてカミラに申し訳ありませんわ」

「なに?それを先に言え」


 グレイは勢いよく液体を飲み干しました。最初からそうしていれば良いもの...。


「...味は意外と普通、というか、薬の味はあまりしないのだな」

「魔力を回復するためのものではありませんからね...そのせいかもしれませんわ」

「なるほど...?それにしても、今回反省すべき点はどうだった?」

「そうですね...奇襲をする際に動きが不自然でしたので改善する必要がありますわ。目線のブレや、力の入れ方など、何か仕掛けるのが分かりやすかったように思えます」

「...難しいな...。だが、奇を衒わないとリックには通用しないし、かといって基礎をおろそかにすると余計に勝てなくなる...」


 グレイは頭を悩ませてしまいました。

 次は魔術込みでの手合わせを行う予定なのですが、大丈夫でしょうか?私は次の魔力回復薬を準備しなければなりませんわね。

 グレイはもう少し休憩が必要そうですし、お兄様とマシュー様の会話に混ざることに致しましょう。

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