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友人に絶交宣言をされたので、本来の自分が戻ってきました  作者: 葵
2年生

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お兄様の妹

「それにしても、学園に来るのも久しぶりだな」


 数日後、お兄様は学園へと足を運んでくださりました。

 門の方まで私がお出迎えに行ったのですが、騎士志望の男子生徒から羨望の眼差しを向けられ、質問に懇切丁寧に答えられる姿が見受けられ、その様子に多くの女生徒はうっとりとした表情で見つめられていました。

 お声がけするのが若干憚れるほどのものがあり、そのまま部室へと引き返したい衝動に駆られたのは秘密です。


「アレックス、出迎えに来てくれたのか」


 しかし、索敵能力が非常に高いお兄様はあの人混みの中からもしっかりと私を見つけました。小柄故に埋もれてしまっていたのですが、さすがです。


「お兄様、本日はお越しくださりありがとうございます」

「可愛い妹のためだ。当然であろう。すまない、これから妹と大切な用事があるんだ」


 そして、非常に爽やかな笑みを周囲に向け、私の手を取り後者の方へと歩き出しました。

 後ろから歓声が響いていていたたまれない気持ちです。わざわざ出迎えなんてせずに大人しく待っているか、グレイに行かせれば良かったのかもしれません。


「お兄様?どうかされましたか?」

「いや、こうしてお前と学園の中を歩けると思っていたなかったからな。私は随分前に卒業してしまったからな。去年は赤クラスの訓練で時折訪れてはいたが、その時にアレックスは体調を崩していただろう?」

「そうでしたね...。向かわれていたのも闘技場や運動場なのでしょう?」

「ああ。だからこうやって校舎の廊下を歩けるのが嬉しくてな」


 お兄様の声色と表情に偽りはありませんでした。

 それなのに、グレイに出迎えを押し付けようと一瞬でも考えた自分が非常に情けないです。


「それに、我が妹はこの世界のどのような令嬢よりも愛らしいと自慢できるからな。非常にいい気分だ」

「お兄様、私の感動を返してくださいませ」


 私達の会話がすれ違う生徒たちには聞こえづらいとはいえ恥ずかしいです。部室まで近道をしようかしら。



「ほ、本当に来てくれるとは思わなかった...。デリック、本日は感謝する」

「いえ、可愛い妹の頼みなので、これくらいは構いません。それにしても、アレックス」

「お兄様、どうかされましたか?」

「貴重な素材があるなら見せてくれといつも言っているだろう?いつの間に入手したんだ?」

「いつの間に、と言われましても...この間採集に行った時ですわ。それに、お兄様遠征続きであまり屋敷にはいらっしゃりませんでしたし...」

「それは、そうだが...。まあ、採集にグレイがいたのであればさほど危険はないか。ほどほどにするのだぞ」


 その言い方だと私が単独で向かう場合は危険ばかりと言っているようにも聞こえるのですが。


「お兄様は私を子ども扱いしすぎですわ。もう立派なレディですのよ」

「立派なレディはそもそも危険な素材収集には行かねーよ」

「グレイは静かにしてください」

「アレックス。誰もお前を弱いだなんて微塵も思っていないよ。ただな、心配なんだ。昔、危険の少ない植物の採集に向かった時だって、お前は骨折してドラゴンの魔石を持って帰って来ただろう?本当に肝が冷えたよ」

「あれはさすがに私も驚きましたわ。だって、生息地が違ったのですもの」

「命を落とすことはそうそうないとは思うが、お前は大切な可愛い妹なんだ。だから、兄として心配させて、兄として甘やかさせてくれないか?」

「お兄様がそう仰るならば仕方ありませんわ。もう少しだけ子どもでいてあげることに致します」

「アレックスは優しいな。そんなアレックスにお土産を渡そう」


 お兄様は袋の中からいくつかの石と種を取り出しました。


「今回の遠征での土産だ。こんなもので良かったのか?」

「もちろんです。お兄様、ありがとうございます」


 グレイやノア様も関心があるのか石や種をまじまじと見ています。


「ジャクソン殿下、いかがなさいましたか?」

「いや、其方らの会話を聞いて少し頭痛がしてな...。ほのぼのと話す内容ではなかろう」

「いやはや、アレックスは昔から少しお転婆な所がありまして...そういう所も愛らしい子供ではあったのですが」

「...ドラゴンを討伐したのか...?」

「後ほどその場所を確認しましたが、きちんと仕留めていて誇らしい限りです。高揚感のあまり、骨が折れていたことに気づていないようでしたが、喜んでいる様子も非常に愛らしくて、」

「アレックス様は活発な方だったのですね」

「アウロラ嬢もアレックスと仲良くしてくれて感謝いたします。いつも楽しそうにクラスの仲間や部活での出来事を話してくれるようになったのですよ」

「いえ、私は何も...。ただ、アレックス様は私の憧れの人でもありましたからこうしてお友達になれて嬉しく思いますわ」

「もう少し早く、仲良くなれていたら良かったのですがね...。」

「デリック様...」


 お兄様は少しだけ寂しい表情をされました。


「お兄様、グレイとの手合わせの前にお茶をご用意いたしますわ。ノア様やマシュー様もお兄様にお聞きしたいことがたくさんあると仰っていましたの」

「なるほど...それで今日は先に部室に招待されたのか」


 お兄様は合点がいったとばかりに頷いています。

 そして、私の頭を軽く撫でてから談笑の輪に加わりました。

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