第30話 助けた少女
女の子を連れ出そうとしていたヤツを殺し、その後に続いていた奴らをボコボコにしたら、最初に殺ったヤツがボスだった。仕方ないのでそいつらに「逃げたら殺す」とだけ告げて、ボスの首を落として、手に持ち馬車の屋根に登る。
「おい!お前らのボスは倒した!全員降伏しろ!応じないヤツや、逃げるヤツには、そのフェンリルをけしかける!おとなしく武器を捨て投降するように!!」
そういうと、この場にいた全員――――騎士も盗賊も関係なく武器を放り出して投降した。
「……いやいやいやいや、この馬車の護衛の方まで投降しなくていいですよ?ただの通りすがりの冒険者ですから。むしろ、その盗賊たちを捕縛してください。」
そういうと、騎士たちは慌てて立ち上がり、賊たちを捕縛していった。
「助けていただきありがとうございます。」
足元の馬車から、少女が出てきてお礼を言った。
「いえ、たまたま通りがかっただけですよ。」
屋根から降り、そう答える。
「でも、貴方が通り掛からなければ、私はどうなっていたかわかりません。お礼をさせてください。」
「いえ、実は王都に用事があり向かっている途中なのですよ。ですので、お礼は後程――――。」
「まあ、奇遇ですわ。私たちも王都に向かっているところなのです。ぜひご一緒させてください!」
少女は俺の手を握った。うわぁグイグイ来る娘だなぁ。
「連れがいますので――――。」
「ではその方も一緒で構いませんわ。」
「いえ、一人じゃなく――――。」
「何人でも問題ありませんわ。」
どこまでグイグイ来るんだこの娘。どうしよう。
「……こちらのパーティと相談してからということでどうでしょう?」
「……そうですわね。仕方ありませんわ。」
とりあえず、護衛にルナを置いて一旦みんなのところに帰る。
「……という訳なんですけど、どうしましょう。」
「うん、こちらも犯罪者を連れているからな、難しいところだな。」
「ところで、その襲われたお嬢さんはどこの家の方でしょう?もし領主と敵対している家の方なら、見方になってくれるかもしれませんし。」
「じゃあ、オルガさんだけ連れて顔合わせしましょうか?」
「いや、ここはボクが行こう。一応銀級冒険者だからある程度貴族の顔がわかるし。」
「じゃあお願いします。」
ウリアさんが手を挙げてくれたので、一緒に行ってもらう。
駆け足で5分――――10秒で行けるフェンリルはやっぱ速いな――――襲撃現場に戻ってくる。
現場ではすでに賊は捕縛されており、ルナは――――女の子に撫でられていた。俺が助けた相手だからか無下にもできず、困った顔をしている。イヌ科の動物の困り顔って新鮮だな。
「こちらのパーティのリーダーを連れてきました。」
「おお、そうですか。お嬢様、こられましたよ。」
執事らしき人が答える。
「あ、先程はありがとうございました――――。あれ、ウリアさん?」
「え、ウリアさん、知り合いですか?」
ウリアさんの方を見る。
「え、まぁ、あー、昔お世話になった方だ。ひ――メフェリア様のご実家なら、例の件を伝えても問題ないよ。」
「そうなんですか?」
「ああ――――、彼女の実家はあの領主より何倍も偉いからね。」
「この国の重鎮でしょうか?」
「ああ、この国を動かしている方だ。適切に処理してくれるだろう。」
「そうですか。だったら一緒に行く方がいいですかね?誘われたんですけど……。」
「えっ、ひ――メフェリア様にですか?」
「ええ、私がお誘いいたしました。助けてくれたお礼もいたしたいですし。」
「そうでしたか。」
そう言うと、ウリアさんは小声で。
「受けた方がいい。」
「そうですか?」
「ああ、後ろ楯には申し分ない。むしろ大きすぎるくらいだ。」
「そんなにですか?」
「ああ。」
うーん、冒険者としての後ろ楯で大きすぎるくらいなら、鉄道を引くための後ろ楯としては申し分ないかもしれないな。
「そうですね、わかりました。お誘いを受けます。その前にこちらの事情を説明します。ウリアさんは他のみんなに事情を伝えてください。」
「あ、ああ。任せてくれ。ではひ――メフェリア様、一旦失礼します。」
ウリアさんは、頭を下げて仲間たちのところに行く。




