紫竜5
翌日、朝食の席にも“行く”と付いてきたムラサキはまた黙々と食べ、ハルワが巣に行くタイミングで一緒に戻る約束だったので、外に連れて行き、ハルワに籠だと運びやすいかと思って引き渡そうとすると、
“昨日言ってた朝市を見てみたい”
とまた難題を言い出した。
“チッタに今日連れて帰ると約束した”
ハルワは流石に自分もついていけないため、反対した。
“王竜としてこの国を見ておくべきだと思う”
「王竜として一度約束したことを守ることはブレない為に大切なことよ。」
“ブレる?”
「トップが優柔不断だと下は何度も変更が出て困るわ。わがままや横暴とも取られるから王のイメージとしても良くない。一度チッタとミツハリに会いに行き、再度許可をもらってくるのが筋だわ。」
“わかった”
「約束するときも自分が絶対守れる約束をするようにしたり、安易に約束しないように気をつけたりしたほうが良いわ。」
“気をつける”
“さっ、そうと決まれば行きましょう。”
“スウリ、また来る”
「ムラサキとたくさん話せて嬉しかったわ。チッタが良いって言ったらね。」
今度はムラサキは黙って籠に入り、それを確認したハルワは前脚で取っ手を握って飛び立っていった。




