紫竜4
食事中、ムラサキは一言も喋らなかった。
二人に頭の中で会話してるの?と聞かれるくらいだ。
部屋に帰ってからもそっと籠に戻してあげればそっと籠に入り、寝ようかと言うときまで何も無かった。
いざスウリが寝るとなった時、寝ている間のムラサキが気になるので、ベッドの頭のところへ籠を持ってくるとムラサキはスウリの布団に潜り込んできて、顔だけ少し出して目を閉じた。
スウリはそっとムラサキを撫でた。
そして、たまらなくなってきいてみた。
「籠だと寒かった」
“違う”
「親のチッタ達が恋しくなってきたの?」
“スウリと一緒にいたいだけ”
スウリは少し驚いた。ムラサキが自分の気持ちを言葉にして伝えてくれたからだ。
「私と一緒にいたいから、私のお家に来たの?」
“そう。”
「…」
“ヒサキも気になった”
次は何を聞こうか迷っていたときにヒサキの名前が出てきてびっくりした。
「ヒサキ?」
“ヒサキ”
「ヒサキがどうして気になったの?」
“ハルワがスウリの相手にってすすめてた。”
「それはもうハルワが勝手に言っていることだから気にしないで。」
“スウリは私の絆の相手でしょう?絆の相手とどっちが大事?”
「お父さんに私も聞いたことがあるよ。お母さんとチッタどっちが大事?って。お父さんは比べられないって言ってたわ。それに、私達はまだ正式な絆の相手ではないのよ。人間が竜の額に手を当てて、誓いをお互いにたてるの。
私達は言い伝えで絆の相手になるべきではないと思うの。ムラサキが、私の相手になりたいか決めたら良いのよ。私は私で決めたら良いの。」
“私が王竜ということはきまっている。絆の相手もそれと一緒”
そんな風にムラサキは感じていたのか。
“スウリは私が嫌い?”
「大好きよ。あなたの羽は黒く見えるのに光に当たるととても鮮やかな紫色だった。眩しかった。」
“羽が綺麗なだけ?”
「今はそれが一番。他はこれから。ムラサキ、私とあなたは初めてたくさん会話したでしょう?相手のことを知るには相手にたくさん関わってそれから知ってるって思うのが良いの。それでも、本人しか知らないこともたくさんあるんだけどね。ムラサキはまだ生まれて数日。まして、人間は私にしか会ったことがない。他の人と比べようもない。人同士を比べるのはあまり好ましくはないわ。でも、ムラサキ自身の大切なことを決めるこの件に関してはそれは必要だと思うわ。」
“…。私は人間はスウリと話すだけで良いと思う。”
「王竜の件は竜の根底で他の竜も感じるみたいだから私には何も言えないわ。決められてることで、ムラサキ自身の中で永遠に葛藤しなければいけないことかもしれない。でも、絆は、確かに私には竜の皆の声が言い伝え通り聞こえるけれど、決めるのは私達で良いと思う。しっかり一緒に考えていこう。」
スウリの話をどう聞いたのか、ムラサキは顔を伏せ、目を閉じていった。
スウリも、少しムラサキと話せて気持ちよく眠れそうだと幸せな気持ちになった。




