仔竜15
「すまないな、全て買わせて。次は自分たちで来るように言うよ。」
「あの、そのことなんですが、これからも我が家が買い物に行くほうが良いかと…この町では知らない顔は目立つみたいです…ヒサキ様のことをたくさん聞かれました。
紫竜の件は今はまだ公にすべきでは…無いのですよね?」
「そうか。近い町から調達するのが早いが、竜騎士たちは遠征で慣れている。対策を考えるよう騎士が来たら話してみる。」
「お願いします。」
「あの、前で引くの、重いですよね。代わります?少し休憩しませんか?」
私達は、リヤカーを引きながら話していた。
「いや構わない。だが…スウリは市を駆け回ってくれていたから疲れているだろう。もうすこしだが、確かにこのあたりで休憩しよう。」
「いえ、私は…大丈夫なので、では先に進みましょう。」
「そうか」
確かにいつもよりは少し疲れてるけど、私には通学のいつもの道のりだし、休憩したらその間の会話がもたないもの…
家につくと後は母に任せた。
チッタが家の前にいた。
“子等がスウリに会いたがっている。明日には人が増えるかもしれないだろう。今から来ぬか?”
「何か問題が起こったのか?」
「…」
スウリは返事に困っていた。
「私は覚えてるさ。スウリがどの竜とも仲良しだったことも、竜と会話ができると言っていたことも…」
「ヒサキ…」
「やっと昔の呼び方だ。それで良い。様なんかスウリにつけて呼ばれたらどう返事したらよいか困る。で、チッタはなんだって?」
私が様を無意識だけどとったことで、ヒサキが急にくだけた物言いに変わった気がする。
「あ…仔竜達が私に会いたがってるって…明日には人が増えるかもしれないから、今から会いに行かないかって…」
「お前は?行きたくないのか?」
「行きたい!」
「なら行ってこい。」
ポンポンっとヒサキは頭を優しく撫でてくれた。子どもの頃もよくそうしてくれてた気がする。
「ありがとう。」
チッタにさっと跨り、巣へと向かった。




