仔竜16
「ありがとう。仔竜たちに会えるのはもうないかもと思っていたから嬉しいわ。」
“そうだろうな。まぁ仔竜たちもうるさくてかなわんかったからな。私とミツハリの子とは思えんくらい特に黄色と薄黄色はずっと喋っておる。”
「まだまだ子どもだもの。元気で何よりだわ。」
“そんなもんか”
巣に向かいながらチッタと会話が出来るのは、嬉しい。ヒサキが家にいるので、母に素の自分で話せていない自覚があるから、たった一日のことだが息抜きをしている気分になる。
「…ねぇ、ヒサキの前で話したのはなぜ?」
チッタはウールと考え方も似ている。慎重派なチッタが確認もせずヒサキの前で自分に話しかけたことが、スウリにはモヤモヤしていた。
“ハルワからどのくらいヒサキが覚えていて、どんな風に考えているか聴いたからな。”
「どんな風に考えているの?」
“自分で聞け”
「ケチ」
“久しぶりのヒサキはどうだ?あえて嬉しいか?”
「わからない。髭のせいかしら?知らないおじさん…見た目は良いからおじ様かしら?に見えるのよ。
まぁ、さっきのでかなりラフに話せそうなのはわかったけれど…」
“さっきの?”
「あなた達と話せるって秘密のことよ。後、名前呼び捨てでもいいこととか。」
“あぁ。”
「話せる秘密がなくなったのはホッとしたわ。知り合いに秘密をもつのはしんどいのよ。」
“なかなかによそよそしいな”
「でしょう。自分で自覚してるわ。あー父さん早く帰ってきて〜」
“帰って来たら見知らぬ竜と竜騎士が増えるな”
「そうか〜。うーめんどくさ〜い。」
“すまんな”
「何言ってるの!喜ばしいことのついででしょう!謝らないの!一番は嬉しいと思ってるのでいっぱいなんだから。めんどくさいのはそれに比べたら豆粒ほどよ。」
“そうか。”
「そうよ。」
“巣に降りるぞ”
「あれ?こんなところだった?夕方来るのとじゃイメージが違う。それに間近になっても開けてるように見えない。ほんと良いところに巣を作ったわね。」
“そうだな”




