仔竜14
着くと、それはもう手当たり次第に、でも、普段の町の人の買う量に影響を与えすぎないように、頭を使いながら必死で買いこんだ。
本当は二人で手分けしたいが、どこに何があるか教えている間に買える。おまけにリヤカーの見張り番も居なくなるのは困る。
使わなければ自分の家で使えば良い。そう諦めて、買ってきたものを見て、更に欲しいもの、足りないものをヒサキに聞くようにした。
しかし、今日は想定外の厄介事が一つあった。
ヒサキを連れて歩いているわけではない。市の入口の邪魔にならないところにリヤカーとともにいるのだ。
なのに、
「スウリ、素敵な男と来てるんだって?彼氏かい?どこの人だい?」
「父さんの昔の知り合いよ。」
「そうなのかい?」
「そうよ!」
ここまでを、何人と同じやり取りしてきただろう…
買い物も終盤の店で、袋詰めしてもらってる間に、
「もう、あっちこっちで言われるわ。年齢もかなり離れてるのにどうしてそんな噂が来てすぐ広まるのよ。」
とその店のおばさんと会話を続けた。
「私ゃ男を見てないけど、そんなに年上なのかい?
そりゃスウリ、あんたが照れて応えるからだろよ。」
「照れっ⁉照れてなんか…」
「話上手なあんたなら、なんとも思ってないなら、笑ってさらっと終わらしてるところを、反論するからムキになってるように見えるのさ。買ったらそそくさと会話切り上げてすぐに帰ってるみたいだし。」
「!!⁉皆にはそんなふうに見えてるの⁉急ぎの買い物だからすぐ帰ってるよ。」
「まぁ余所者が来るのが珍しい田舎町だからね。皆話題に飢えてるのさ。大目に見ておやり。」
「そういうもの?」
「ウールもあんたをかなり大切にしてたからね。そんなあんたが男と二人で家から来るなんて何か気になるじゃないか」
「父さんは入れ違いで今出かけてるのよ。だから待ってもらってるの。」
「そう言っとくよ」
「あ、いいわ、話を広げると、また話題になるだけな気がする。」
「そうかい。ハイ入ったよ。思いから気をつけてね。」
「ありがとう。」
さぁこれだけあれば、とりあえず、なんとかしてくれるだろう。
普段の2倍物を買い、3倍時間がかかった朝市をやっと抜け出すことができそうだ。




