仔竜13
朝市にはリヤカーを押して行った。
いつもそうだ。
いつもは父と母と3人で行き、買い物だけ手伝って(主にリヤカーの見張り番。顔馴染みばかりとはいえ、悪党のネコババが目を離した空きに無いわけではないので。)、両親で轢いて帰り、スウリは町に残り、遅れて学校に行く。
森の中での生活の為、2日に一度市が開かれていても、スウリは学校に行かなければいけないし、ウールは狩りや畑もある。そうそうは来れない。いや、ウールはあえて人付き合いを避けるため回数を減らしているのかもしれないが…3人の生活一週間分を見越して一度に大量購入するようにしているのだ。そして無くなる少し前に次買いに来るように。
道中、スウリはヒサキとの会話の中で、リヤカーで来てよかったと焦るのだ。
「朝から手伝わせてすまないな」
会話はヒサキから始めてくれた。聞きたいことがあったので、取っ掛かりができて初めはホッとした。
「いえ、あの、ヒサキ様、買うものの参考に、着くまでに竜騎士様について少しお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「あぁ。」
「竜騎士様はいつも野営のときはどのような食材を買われていますか?」
「女もいるが、大半は男所帯だ。おまけに、火をひとつしか作らないこともあるから鍋一つでできるカレーや何でも煮込み鍋、狩りをした焼き肉。大雑把な料理が多い。」
「そうですか。騎士団はいつ頃来られるでしょうか?父が今日着いているとして、竜なら数時間で来れるとのことなので、今日来られるでしょうか?準備にもう少し日にちがかかりますか?」
「私がここに居ることを知らないウールや王宮の者は、できるだけ早く、護りを増やしたいと思っているだろうから、通常急ぎの案件は会議と同時進行で準備される。だから会議がスムーズに行けば…もしかしたら今日かもしれないが…貴族というのは自分のペースを乱されるのを嫌う。夕方頃から会議はしないだろう。来るのは明日か明後日の可能性が高いと思う。それも多分今回は夜中だ。」
「夜中ですか?」
「あぁ、あの森の巣付近の広さや情報の機密性からいくと、竜騎士団員は3〜5人ほどの少人数だろう。しかし、竜も3~5体だ。地方の町近くに日中急に竜が5体も降りてくれば、普段竜のいない暮らしの町人はなんだと不安や不審がる。それを防ぐのに闇夜に紛れ込むのが一番なんだ。」
スウリは思考が停止した。
「あの、5人来る可能性もあるのですか!?」
「多ければ。必要なのは竜だけだから省くかもしれないが、普通、野営は戦場や国境が多い。だから交代で休息と任務につくんだ。」
5人分の食材!?肉は狩るにしても、普段の倍の量はいるのでは⁉
これは忙しくなる!
とスウリは市に着くまでに効率の算段をし始めた。




