01-24
男が消えた事により、辺りは暗さが戻り静かな夜にと変わった。
瘴気も無くなったため、エルミアは魔力を抑えながら、ラウルの元に歩いて行った。
「ラウル、終わったよ。」
『終わったって、最後砕いただけだよな? あれで大丈夫なのか?』
「全く問題ないよ、完全勝利。さて、毛玉はお家に帰りましょう。町はどっち?」
『…………あっち。』
不安気に見上げてくるラウルに、エルミアは小さく笑いながら抱き上げた。
毛玉と言ったのに、否定してこないため、よほど怖かったのだろうと考える。
エルミアは、ラウルを頭の上に置かず、優しく抱っこしながら改めて町の方向を聞いた。
短い前足を伸ばして、向かっていく方をラウルは指した。
指された方に歩き出したエルミアは、片手でラウルを抱き直し、反対の手でラウルの頭のから背中の辺りを優しくなぜた。
最初に持った時にもエルミアは思ったが、ラウルの毛並みは柔らかくて触り心地が良い。
人格を抜けば本当に何かのマスコットキャラだ。
「耳があったら白いポメラニアンだね、尻尾違うけど。」
『それ、俺の事?』
「犬耳カチューシャ売ってないかな、犬又って感じになるかも……でも、尻尾は狐っぽいんだよね冬毛の、狐の耳のカチューシャは作るしかないかな。」
『着けないからな!?』
ラウルを見ていて何かを着けてみたくなったエルミアは、とりあえず見た目と毛並みからケモ耳をと考えた。
即ラウルに却下されてしまったが、飼い主がペットに何かを着せたくなるのはこんな感じなのかと、小さく笑った。
「萌えポイント増えるよ?」
『いやいや、増えなくて良いし!』
「狐又ってレアで面白い。」
『せめて妖狐にして!』
「そんな毛玉フォルムで、格好いい姿してるとでも?」
『だよな! ちくしょう!』
どこか漫才みたいな会話だが、残っていた変な空気が無くなったため、エルミアは少し安心した。
耳を着けたいのが半分本気な事は、まだ言わないが。
エルミアが歩きながら木々の間から空を見上げれば、見慣れた暗い空になっていた。
雲がないため、月や星がはっきりと見える。
電気が発展した日本ではわからない夜の明るさに、懐かしいとエルミアは目を細めた。
平成に転生してからは見えなくなった夜空。
たまに夜の山に行くものの、エルミアが知る星空は明るくて見えなくなった。
綺麗だなと、改めて思えた。




