01-22
エルミアは自分の攻撃が右肩に効果あった事を理解しているのか聞いた。
「シテルワヨ!デモネ、タカガ一発弾ガアタッタダケ。何モ怖クナイワ!」
男の笑い声が原っぱに広がった。
同時に、男を中心に禍々し瘴気が広がりだした。
とても重く冷たい……恐怖を感じさせる空気が辺りを包みこんだ。
『ひっ……』
「……瘴気も久しぶりだな。」
ラウルが小さく悲鳴をあげたが、エルミアは気にする様子は無かった。
漸くらしくなってきたと思うも、怖れる事は無く、ただ懐かしさを感じるだけだ。
それを感じながら、エルミアは銃を握る手に力を入れた。
何時もなら、もう少し情報を得ようとするエルミアだが、そろそろラウルが色々と限界だし、今の男の様子から何を聞いても無駄だろう。
瘴気が濃くなっていく。
男が上を向くと、目が狂気に染まってき、眼球が赤くなった。
口元からは大きく鋭い牙が生え、右腕は牙よりも大きな棘のような物が二の腕から手首辺りまで一直線になるように幾つも生えている。
体格も一回りほど大きくなり、足や左腕は筋肉が膨張し血管が見えていた。
男の変化で風が荒れ狂い、草木やエルミアの髪が荒々しくなびいている。
風が強すぎて、エルミアの腕が微かに揺れてしますも、銃口はしっかりと男に向いている。
「……アッ……アア……ヨコセ、ツヨイチカラ……………ツヨイマリョク、タベサセロ……」
男が改めてエルミア達を視界に捉えた。
もはや正気はなく、口からだらしなく涎が垂れている。
完全な片言になった言葉から、もはやオカマな自我も無いだろうと考えれる。
『やばい、やばい! 完全に化け物になった!』
「あー、うん……力を出したはいいけど、制御出来ないってやつか。」
男の変化に、ラウルがさらに慌てだした。
毛が逆立ち小刻みに震えていて、声なんか半泣き状態だ。
「やる事は変わらないから、落ち着けって…………しょせん、オカマの成り下がりだ。」
この状態になっても落ち着いた様子のエルミア。
男の状態を成り下がりと呼び、先ほどのオカマをやっていた時よりも下に見ている。
「制御出来ない力を使ってまで、ラウルを欲しがる理由が知りたい所だけど……面倒になる前に終わらせよう。」
知りたい情報が増えた。
だが、もうあの男から話を聞く事は無理だろう。
なら、力が完全に制御出来なくなる、暴走する前に終わらせた方が良い。
エルミアは一度軽く息を吐くと、足元に青く光る魔法陣を展開させた。




