01-21
「しかし、意識しないと見分けつかないとか、私も鈍ったな。」
エルミアが再び銃口を男の右肩に向けた。
ポツリと呟いたその言葉は、ラウルにも聞こえてないだろう。
男は凍った腕を見ていて、まだ落ち着きが戻らないらしく、エルミアに攻撃を仕掛けようとはしない。
攻撃をしないのは、エルミアも同じで、エルミアの場合は何かを確認するかのように男を見ている。
「さてと……その右腕って、どうやって手に入れたんだ? 指を斬られた時の反応から、自分でくっつけた感じでもないよな?」
「何ヲ言ッテルノ……」
エルミアの言葉に、男の動揺が濃くなった。
右腕を気にしていたのに、目を見開きながらエルミアを見た。
その様子から、エルミアはここまでの流れから予想した事を、答え合わせをするように言い出した。
「最初に銃弾が通り抜けたのは、肉体が無い場所だったから。物理が効かないのは肉体を持たない種族の証明。」
撃ってみる?と、エルミアは試すように聞きながら首を傾げた。
だが、男は右肩の傷を押さえるだけで、何も反応しなかった。
「…………でも、その右腕は肉体がある。つまり、右腕の持ち主と融合したか、幽霊であるアンタに移植したか辺りだと思うんだよね。だから、物理攻撃ができた。」
男が右腕の持ち主を喰ったと言う可能性もあるが、ラウルが怖がりそうなため、エルミアは言わなかった。
現に狙われてる状態で、既に喰われているヤツがいるとは、知りたくはないだろう。
『なぁ、そいつ、ゆ、幽霊って言った?』
「言った言った。久しぶりに見たから、気付くのに遅れたけど、幽霊だよ。いや、悪霊寄りかな。」
『幽霊……おれ、こっちに来ても、狙われてるのか……』
エルミアの言葉に、ラウルの雰囲気が暗くなり、悲しげに小さく呟いた。
エルミアには聞こえたが、それは後だと、銃に魔力を込めだした。
「さて、答えてくれる?右腕をどうやって手に入れたかを……言わないなら、殺すよ? 除霊や浄霊じゃないからね。」
「貴女ガ言ウヨウニ、アタシハ幽霊ヨ? ドウヤッテ殺スト言ウノ? 貴女霊能者ジャナイデショ」
エルミアの言葉に、男は強気で返した。
右腕がダメでも、物理が効かない幽霊で、既に死んでいる自分を、どうやって殺すのかと、先ほどの動揺は無くなり笑っている。
だが、エルミアは平然と銃口を男の心臓へと向けた。
「私がさっき射ったのは、肉体がある右腕じゃなくて、霊体のままになっている右肩だぞ? 状況理解してるか?」




