01-20
『えっ……』
「ナッ、何ヨコレ……」
その銃声音は、ラウルと男の耳にはっきりと聞こえた。
そんな中で一番驚いてるのは、その銃弾が男の右肩に当たり、傷口から右腕全体を一瞬で凍らせたのだ。
傷口からの出血が見えず、血すら凍っているのか、理解出来ずにいる。
「何デ、何デヨ! アタシニ銃ハ効カナイハズ!」
男が動揺を隠せないでいた。
体を使って右腕を振り回しているが、右肩から下が指すらも、ピクリとも動かせないでいる。
驚いているのはラウルも同じで、最初にエルミアが放った銃は全てすり抜けたのに、この一撃はしっかりと当たっている。
オマケに凍りついている。
どう見ても普通ではない。
『何でアイツの腕……』
「魔銃って言ってね、普通の銃とは違って属性攻撃用の銃なんだよ。まぁ、無属性でも撃てるけど。構造はー、専門家じゃないから聞くな」
1つの説明がラウルの後ろから聞こえた。
こんな不思議な攻撃を後方からしてくるのは一人しかおらず、ラウルは思いきって後ろを振り向いた。
あー詠唱に苦労したと、エルミアが砂ぼこりの中に銃を構えて立っていた。
若干砂で汚れてはいるが、何処かマイペースで余裕な笑みを浮かべていて、まるで怪我等無いように見える。
「オ前、ナンデ……」
「ああ、あれね。ぶつかる時に岩砕いて、砂ぼこりをナイフでたてただけ。動かなかったのは、少し集中したかったからなんだけど……」
心配かけたみたいだねと、ラウルの方にと歩み寄りながら、エルミアは淡々と説明を続けた。
銃口を男に向けたまま、一歩、また一歩と歩きながら話す姿は、言い方はふざけているが、何処か凛としているも、あんなのでダメージ受けるかと、呆れたようにため息をついている。
『えっエルミア、怪我は? ほんとに大丈夫なのか?』
「大丈夫だいじょぶ。掴んだ時に殴れば、まだダメージあったのにね。」
『それ言うなよ……』
「ははっ…………そだ、ラウル。」
『何だ?』
「ありがとね、庇ってくれて。おかげで、詠唱に集中出来た。」
『えっ……あっ、薔薇が……』
エルミアがラウルの横に立った。
その姿を見上げた時に、ラウルはエルミアの銃とナイフを持つ手の変化に気づいた。
ナイフを持っていた手の甲にあった青い薔薇は、いつの間にか消えてしまっているが、銃を持つ手の甲に浮かぶ青い薔薇が、さっきまで薄い青だったのが、濃くはっきりとした青に色づいているのだ。
その薔薇から、直ぐに消えてしまうが、小さな氷の結晶のようなものが出ていて、輝いているように見える。




