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青き薔薇の異世界転移  作者: 七海 リア
1章・軍人と白い毛玉
20/28

01-19



『エルミアっ!?』



自分の頭上を越えていくエルミアに、ラウルは目を見開いた。

先ほどまで余裕で防いでいたエルミアが、簡単に投げ飛ばされた事に驚きが隠せない。


慌ててエルミアが投げ飛ばされた方向を見ようとすると、ぶつかる音と岩の砕ける音が同時に聞こえた。

男の勝ち誇った笑みがラウルの視界に入ったが、気にしている暇はなかった。


エルミアが投げられた岩の方を向くと、岩は砕けており、大きな砂ぼこりがまっていてエルミアの姿は見えなかった。

砂ぼこりの流れから、何かが動いた様子は無い。

ラウルはエルミアが岩にぶつかったとしか考えられなかった。



『エルミア! エルミア!』


「打チ所悪カッタカシラ、意外ト脆イワネ。」



ラウルが必死にエルミアを呼ぶ。見に行った先のエルミアの状態が怖く、足が動かず側に行けないのだ。


すると、男が笑みを浮かべながら、エルミアの方へと歩みだした。

先ほどまでの苛つきは、今ので無くなったらしい。


戦いに関して知識は全く無く、見たままを受け止める事しか出来ない。

今男がエルミアに歩み寄るという事は、トドメを刺そうとしているという事。


つまり、エルミアはまだ生きている。


憶測だがそうわかった途端、ラウルの足は動き、男の前に立ち塞がった。



『おっさん、エルミアに近づくな!』


「イヤネェ、オッサンナンテ……心配シナクテモ食ベテアゲルカラ、大人シクシテテ。」


『あっ……ぐぅぁ…………』



男は視線だけをラウルに向けて、エルミアに向けていた殺気をラウルに放った。


何かが刺さったかのような鋭い殺気に、ラウルは言葉が出なかった。

その殺意だけで体が恐怖で震えだし、こんなもの俺は知らない、今すぐにでも逃げ出したいと、頭の中で何度も思った。


だけど…………




――――ラウルうるせぇ! 勝つから、お前守って、あの変態に勝つから、少し落ち着け!




殺気はエルミアも受けていた。

男のラウルでさえ恐怖を抱くそれを、真っ向に受け止めて、正面から対抗していた。


ラウルを無視して逃げれば、エルミアはこんな事にならなかった。



『…………けるかよ! 俺を置いて逃げる選択肢もあったのに、守ると言って戦った女の子を、ほっとけるか!!』


「ヘェ、ナラ、オ前カラ食ッテヤル!」



男がラウルに手を伸ばした瞬間、1つの銃声音がその場に響いた。


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