01-19
『エルミアっ!?』
自分の頭上を越えていくエルミアに、ラウルは目を見開いた。
先ほどまで余裕で防いでいたエルミアが、簡単に投げ飛ばされた事に驚きが隠せない。
慌ててエルミアが投げ飛ばされた方向を見ようとすると、ぶつかる音と岩の砕ける音が同時に聞こえた。
男の勝ち誇った笑みがラウルの視界に入ったが、気にしている暇はなかった。
エルミアが投げられた岩の方を向くと、岩は砕けており、大きな砂ぼこりがまっていてエルミアの姿は見えなかった。
砂ぼこりの流れから、何かが動いた様子は無い。
ラウルはエルミアが岩にぶつかったとしか考えられなかった。
『エルミア! エルミア!』
「打チ所悪カッタカシラ、意外ト脆イワネ。」
ラウルが必死にエルミアを呼ぶ。見に行った先のエルミアの状態が怖く、足が動かず側に行けないのだ。
すると、男が笑みを浮かべながら、エルミアの方へと歩みだした。
先ほどまでの苛つきは、今ので無くなったらしい。
戦いに関して知識は全く無く、見たままを受け止める事しか出来ない。
今男がエルミアに歩み寄るという事は、トドメを刺そうとしているという事。
つまり、エルミアはまだ生きている。
憶測だがそうわかった途端、ラウルの足は動き、男の前に立ち塞がった。
『おっさん、エルミアに近づくな!』
「イヤネェ、オッサンナンテ……心配シナクテモ食ベテアゲルカラ、大人シクシテテ。」
『あっ……ぐぅぁ…………』
男は視線だけをラウルに向けて、エルミアに向けていた殺気をラウルに放った。
何かが刺さったかのような鋭い殺気に、ラウルは言葉が出なかった。
その殺意だけで体が恐怖で震えだし、こんなもの俺は知らない、今すぐにでも逃げ出したいと、頭の中で何度も思った。
だけど…………
――――ラウルうるせぇ! 勝つから、お前守って、あの変態に勝つから、少し落ち着け!
殺気はエルミアも受けていた。
男のラウルでさえ恐怖を抱くそれを、真っ向に受け止めて、正面から対抗していた。
ラウルを無視して逃げれば、エルミアはこんな事にならなかった。
『…………けるかよ! 俺を置いて逃げる選択肢もあったのに、守ると言って戦った女の子を、ほっとけるか!!』
「ヘェ、ナラ、オ前カラ食ッテヤル!」
男がラウルに手を伸ばした瞬間、1つの銃声音がその場に響いた。




