01-17
エルミアは、それを銃とナイフの2つを使い、男の右腕を受け流した。
まともに受け止めたら、エルミアと男では現状エルミアが力負けしてしまう。
それを避けるために、エルミアは受け流した。
一撃一撃、しっかりと見極めるエルミア。
受け流せるものは受け流し、危険と判断した攻撃は避けるを繰り返す。
エルミアから攻撃する事はなく、ただそれを繰り返した。
「サッキノ威勢ハ、ドウシタ!」
「るっせっ、こっちにも事情があんだよ。」
先ほどの一撃以降、一度も攻撃してこないエルミアに、男は苛つき始めた。
攻撃がまともに当たらないため尚更だ。
右腕を振り回している自分よりも、それを受け流し避けているエルミアの方が運動量は激しい。
なのに、エルミアは息1つ乱さずに動き続けている。
急所を狙おうとしても、簡単にナイフで防がれてしまい、死角を狙っても避けられる。
爪とナイフが擦れ合う音は、お世話にもいい音とは言えず、摩擦で一瞬だけ火花が散る。
銃弾はすり抜けたのに、爪はすり抜けるどころか武器用に作られたナイフと同等かそれ以上の固さがある。
普通のナイフなら強度に負けて折れているだろう。
エルミアはそれをわかっているのか、まともに爪と交えようとはしない。
先ほどナイフに魔鉱石が使われていると言った。
石の名前からして、普通の鉱石で作るよりも強力に作られてるだろう。
だが、エルミアは受け止める事はせず、上手い具合に男の力を流していた。
『…………すげーな、エルミア』
二人の戦闘を見ていたラウルが、ぽつりと呟いた。
正直、見た目10代のエルミアが、見た目や精神的なものはどう考えても男の勝ちだが、それを置いといても男女の差から力で男と渡り合えるとは思っていなかった。
隙を見て逃げると、失礼ながら思っていた。
先ほど信じるようにと言われたが、どうしても地球での考え方が抜けず、少女が成人男性に勝てるとは、どう考えても思えない。
地球で生きていたものなら、ほとんどがそう思うだろう。
それが普通だ、普通だった。
女の子が男に勝てるはずがないと。
だが、そんなラウルの考えとは逆に、エルミアは逃げる素振り見せずに応戦している。
余裕を見せる無駄の無い動き。
1つ1つの動作が、避けているだけにも関わらず、熟練したものになっている。
それを見ていて、ラウルは無意識に言葉がこぼれたのだ。




