01-15
先ほどの言葉から、ラウルは大人しくなった。
震えも少しおさまったようだ。
つい、あんな事を言ってしまったが、初対面に言う台詞ではなかったなと、エルミアは内心苦笑いをした。
だが、ラウルの様子から少なからず信じてくれたのだとわかるため、その気持ちには答えなくてはならない。
男との距離を開けるように走るも、自分の射程内にはしっかりと入れている。
ピンヒールなのに、あのスピードで走ってくる事には正直苛つきがある。
でも、これは私情になるため表には出さない。
出来る事なら、顔面をおもいっきり殴りたいが、ラウルがいるため自重する。
ラウルと共に無言のまま、言われた通りに走り続けると、少し開けた原っぱにたどり着いた。
エルミアは直ぐに立ち止まる事はなく、滑るようにして体ごと後ろを振り向けば、原っぱの真ん中辺りで止まった。
「ちょっと離れててね。てか、そこの岩の陰にいて。」
『ああ……』
止まって直ぐにラウルを下ろすと、丁度良い岩があったため、そこにいるように言った。
ラウルは言葉に素直に従い、岩陰に行くも、エルミアが見えるように完全には岩陰に入ってない。
怖がっていたくせに気になるらしい。
丸いフォルムなため殆ど岩からはみ出ていて、全く隠れられていない。
「はぁ……まあ、良いか。」
隠れられてない事にのツッコミは放棄した。
自分が勝てば良い事なのだ。
勝てば、ラウルが隠れようが隠れてなかろうが関係ない。
あまり距離を開けてなかったため、男の姿がもう見えている。
こちらに集中しなくてはいけない。
「もう逃げないのかしら? 良いのよ、まだやりたいなら付き合ってあげるわよ。」
「場所を移動しただけだよ。ずいぶんなめられたな……」
近づいてくる男に、エルミアはどう倒そうかと冷静だった。
既に策はいくつか出ている。
その中で何を選ぶかは、まだ様子を見る必要がある。
いつの間にか男の右腕がふた回り以上大きくなっているが、あれが本来の姿なのか……初見の時点であれな容姿だったため、今さら化け物染みても驚かない。
「どうやら人間じゃないみたいだね。元人間ってやつだ。」
「あらぁ、違うかもよ。」
「いや、違わないよ。間違いないから。」
エルミアは、不敵な笑みを浮かべながら、銃を左手に持ち換えた後、右手で足のホルスターにあったナイフを抜いた。




