01-12
「ねぇ、後ろの男ちょうだい?」
男の視線が気持ち悪い。
ラウルをなめ回すように見るその視線は、エルミアですら不快に感じた。
パッと見性別不明毛玉のラウルを男と言って要求してくるから、怪しさが増加する。
変態的な格好は置いといても、一般人ではないのは確実だ。
格好だけでも職質対象なのは間違いない。
お巡りさんこちらです。
どちらかと言うと、取り締まる側のエルミアだが、真面目に呼びたくなった。
「後ろの男? 私の後ろには白い毛玉しかいないけど?」
「うふっ、焼きもち? 大丈夫、あなたも貰うから。」
「うわっ、この変態ポジティブ……」
会話をすればするほど引いてしまう。
しまいには、質問に答えずエルミアすらも貰うとまで言い出した。
変態と言ってしまっているがしょうがない。
誰が、何に、焼きもちしないといけないのか……
『な、なぁ……あれ、人間だよな?』
「人間はいきなり現れないと思うけど。」
ラウルがよりエルミアの足にくっついてくる。
自分が狙われているとわかり、さらに怖くなったのだろう。
男を人間かと疑っているが、エルミアは否定しない。
どちらにしろ決定的なものが無い。
確定しているのは、変態という事だけ。
エルミアとしては、さっさと射って精神的被害から逃れたい。
見ているだけで、何かが減っている気がする。
だが、人間だった場合を考えたら射てないのだ。
この世界に、エルミアが持っている地位は何も役にたたない。
人間を傷つけた場合、立場がどうなるかわからないため、下手に射てないのだ。
エルミアは少しでも男から離れようと、ラウルを足で後ろに押しながら、自分も少しずつ下がりだした。
ラウルはそれに逆らわず、極力エルミアの足から離れないようにしながら自らも下がった。
すると、男の目付きが変わった。
エルミア達が下がって行く事に、男が気づいたらしく、それが気にくわなかったのか、右手の爪が一気に鋭く伸ばした。
「ちょぉっと、何で下がるのよぉ!」
「うおっ!?」
『ぎゃっ!』
男が距離をつめて攻撃してくると思い、エルミアは姿勢を低くして構えたが、男は近づく事はなかった。
だが、男は直ぐに怒鳴りながら腕を伸ばしながらエルミアとラウルめがけて振り下ろした。
エルミアは男の腕が伸びたのを見て、瞬時にラウルを片手で鷲掴み、その腕を避けるようにして左後ろに下がった。




