01-10
ラウルが頭から下りたのを、エルミアは視線を一瞬だけ向けて確認した。
直ぐに視線を森の中へと戻し、両手で銃を握った。
『何かいるのか?』
「まだわからない。だけど、警戒して損はない。」
何の確証も無い。
ただ、空が赤く明るいというそれだけの事。
エルミアの持つ時計の時間がこの世界の時間と合ってるなら、確証は得られるが、その確認の方法は今は無い。
ならば、警戒していざという時に動けるようにするのみだ。
「変なのが出てこないと良いんだけど……」
銃に実弾を装填しながら、辺りをこまめに見回した。
ラウルも同様に辺りを見ているが、エルミアの足下にいるため、ある意味危なっかしい。
はっきり言って、踏みそうになる。
踏まないようにと足を少し離せば、ラウルはその足に近づいてくる。
近づいてきた時に柔らかい毛が足を触るも、その毛が微かに震えている。
「もしかして怖い?」
『い、いや、こ怖くないよ?』
「じゃあ、離れろ。踏む。」
『すみません、ごめんなさい、離れないで、お願いします。』
そう言ってラウルは、小さく震えながらエルミアの足によりくっついた。
真面目に踏むフラグでしかない。
これなら頭に乗せるか、片手で担いだ方がまだマシだと、考えたエルミアはラウルに手を伸ばしたが、その瞬間後ろから視線を感じた。
ラウルを庇い隠すように瞬時にそちらを向くと、その先に木々と茂みの間から、人間らしきものがエルミアには見えた。
見えたと言っても、首から鎖骨の部分で輪郭や肩すらも見えない。
後は、髪が黒いぐらいしかわからないが、毛先が見えないためそれなりに長い髪だろう。
パッと見た今の状態だとそれぐらいしかわからないが、良い感じは全く無い。
『アイツ、人か?』
「人間ではないね。不気味過ぎる……」
ラウルがエルミアの後ろから隠れるようにして同じ方向を見た。
人間らしきものが見えてる場所は、ラウルと話す前に一度見ているし、その時は無かった。
生き物としての気配も感じなかったため、エルミアは人間ではないと考えた。
すると、人間らしきものがエルミア達の方にと歩き出した。
それを見たエルミアは、銃を構えて銃口を真っ直ぐ向けた。
それに怯む事無く、一歩また一歩と近づいてきて、少しずつ姿が見えるようになった。
だが、その姿を見てエルミア達は固まってしまった。
誰が予想するだろうか……
「あらぁ、美味しそうな男がいると思ったら、また美味しそうな女の子がいるわねぇ。」
エルミア達の前に現れたのは、30・40代と思われる黒いロングヘアにゴツイマッチョ、黒のセクシーベビードールに黒いピンヒールのオカマな男だった。




