リコさん(4)
のろのろと階段を下りると、食卓の近くに母さんが立っていた。
黙って、抱きしめられた。
やっと、自分に起きたこと、周囲の人たちの気持ちが解った気がした。
涙が静かに落ちた。
「午後には、吉田家専属のドクターが来て下さるそうよ。
ベッドで寝ていていいからって。」
吉田家? なんだっけ、
あれ? どうも頭がぼんやりしていて回転が遅い。
誰だっけ?
「疲れているんじゃない? 冴子さんのお家のことでしょ?
今はとにかく休みなさい。
それから、リコさんからは伝言があるわよ。
えーと、これこれっ。」
大き目の付せんを持ってきて、読み上げる。
「『黙って医師の言うことにそのまま従え。
自己流に解釈するな。
勉強と同じだ。』」
趣味、勉強の人らしい、ブッキラボーさに
いつもの優しさが感じられて、少しうれしい。
遅い朝食をとる。
フレンチトーストを半分、野菜サラダを少し。
食欲はあまり出ない。
「無理して食べなくていいぞ。」
オヤジに言われた。
「別にダイエットしているわけじゃないよ。」
「少しは元気が出てきたようだな。
でも無理はいかんぞ。
この調子だと、自然にナイスバディーに近づくかも! 」
相変わらずエロオヤジ、ブレないところが呆れてしまう。
母さん、それを見て、安心したのか、少し涙ぐんで見える。




