波乱(8)
冴子さんの顔を見て、安心したのか、
ぽろぽろ涙が流れた。
「大丈夫、大丈夫………」
冴子さんが抱きしめてくれる。
「何があったの?」ボクは尋ねる。
「あなたが男子生徒に襲われ、溺死させられそうになったのよ。
あれは単なるふざけのレベルを超えていた。
殺意があったとしか思えない。
許せないわ。」
「どうしてわかったの?」
「去年からプールに監視カメラが設置されているのは知っているわよね。
まずカメラのモニターを見ている監視員さんが異変に気づくと、
生徒会役員である私に優先的に知らせることになっているの。
校内放送で、ある決まった言葉が発せられたら合図になっているの。
他の生徒はこのことは知らない。
そして私が動けば、他の生徒会役員は必ず動くことになっているの。
私の父が学校と、県教育委員会、市教育委員会に根回しという名の圧力を
かけていたからね。」
最後の方の言葉には、本当は笑って反応すべきだったのだろうけど、
そんな元気は出なかった。
それに、冴子さんが冗談ではなく、真顔で、
物凄い迫力で語っていたんだ。
笑ってはいけないと思ったんだ。
冴子さんは続けた。
「本当は、私のために作られたシステムだったの。
まさか実咲ちゃんを守るために役立つとは……。」
「どういうこと?」
「長い話だけど、聞いてくれるかな?」




