み、右手が~と、スパルタメイド(1)
『DUO 3.0』の冊子とプリント、二つを見比べながら、
プリントに単熟語の訳を書き込んでいく。
「リコさん、let go of の意味、『…を離す』と『…を捨てる』、
どちらも青字で書いてあるけど、どっちを書き込むの?」
「その下に全文訳が書いてあるだろ?それでわかるはずだ。」
「ああ、『…を捨てる』の方か。」
「1種類だけ書けばいい。」
ひたすら、プリントに黒のゲルインクボールペンで単熟語の訳を書き込む。
1時間、
2時間。
ついに限界がきた。
右腕は疲れて筋肉痛、けっこう頭も使う。
全文訳と単熟語の訳を見比べて、選ぶのはボクには負荷がかかる作業だ。
「リコさん、疲れた、休ませて~。」
「まだ145番の文まで終わっていないではないか。まだだ。」
「え~!」
こんなに長時間、ただひたすら写すなんて、初めてだ。
こんなことやって、本当に英語ができるようになるのだろうか。
「今、『本当に英語ができるようになるのだろうか。』と
思っただろう。
なら、ちょっと早いが、145番を写し終わって全体の約4分の1が
終わったら説明してやろう。」
どうして、心の声が漏れてしまったのかな。
「ノートパソコンはあるか。」リコさんが言った。
「これは『DUO』の音声CDだ。560文を約60分で読み上げている。
この音声データを取り込む。」
「音声データを取り込んだら、4つのフォルダーを
パソコンのデスクトップ画面に作る。
最初のフォルダーに12セクション、
あとのフォルダーに11セクションずつ計45セクションを振り分ける。
これで、どのフォルダーも再生時間が15分くらいずつになる。」
リコさんは慣れた手つきでパソコンを操作する。
「これで、試しに最初のフォルダー15分を聴こう。
ただし、プリントを見ながらだ。
英文を音声の通り指でたどれ。
無理に頭の中で和訳するな。5分もたたずに眠くなるぞ。」
言われるがままにやってみる。
けっこう、英文音読は速い。
ちょっと気を抜くと、遅れてしまう。
余計なことは考えず、
ましてや英文を聴きながら訳そうなどという欲は持たず、
ひたすら指で英文をたどる。
やっと15分、145番の文にたどりついた。
「休憩するぞ。」
やっと休憩だ。
母さんが用意してくれたウーロン茶が冷たい。
飲み終わるとリコさん、
「どうだ、効率的だろう?」
おいおい、どこが効率的、くたびれるわ手が痛くなるわ、
さんざんだわ。
「書く作業はあと3回、このプリントは
大学受験を終了しても使えるものだ。
一時の作業の辛さから逃げて、
一生ものの教材を手にしないというのも愚かな話だ。」
「そんなにすごい教材なの?」
「英検2級以上の単熟語レベル、
リスニング教材としても英検準1級レベル以上、
例文を暗唱できれば英作文にも応用可能。
大学受験に向けてこれほど優れた教材は他にないと言える。」
「使い方はさっきのでいいの?」
「ああ、最初はあんなもんだ。
そのうちに、単語を耳で追うのが精いっぱいの段階から、
次第に視野が広がり、単熟語の意味まで目で追えるようになり、
さらに頭の処理速度が向上するにつれて、
和訳が頭の中にイメージできるようになる。」
本当かなあ。
まあ、最初は頭はあまり使わなくて済むみたいだから、
リコさんの言うことに乗りますか。




