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ボクの秘密兵器と、笑わない長身メイド(1)

 上の階のボクの部屋に、リコさんと二人で上がる。


 「最初に、数学の学習の仕方を教える。」

 いきなりリコさんは切り出す。


 単刀直入だ。

 「こいつを使う。」


 例によって、ジュラルミンケースから取り出したのは問題集。


 『チャート式 基礎と演習』(白チャート)(数研出版) 


 「ここでの学習の仕方が、

  英語以外の教科の学習の仕方に通ずるものとなる。よく見ておけ。」


 座る座席を交代、学習机にリコさんが向かい、

 ボクはその隣でリコさんのやることをよく見ることになる。


 「ちょっと待って、なんで数学からなの?」

 「某マンガの受け売りだ。

  数学ができるようになれば、

  なんとなく勉強ができるようになった気になり、自信を持つ。」


 「あのー、この参考書、ボクにくれるということは……?」

 「だれがやると言った?本代は当然請求する。」

 相変わらずのブッキラボー。


 そしてジュラルミンケースから何枚かの紙、はさみとスティクのり、

ルーズリーフの何枚か、そして黒ボールペン、修正テープを取り出す。


 「それにしても、こんな分厚い参考書、使い切れるのかなぁ?」

 「誰が全部やると言った? 

  メインで使うのはこれだ。」


 『白チャート』から取り出したのは「解答編」の部分。


 「メインで使うのは「解答編」で、

  本冊の方は辞書として使う。

  どうしても「解答編」だけでは理解できない時に本冊を使うが、

  オレ………アタシがいる時は質問した方が効率的だ。」




 紙には『白チャート』の最初の単元「式の計算」がコピーされている。


 「コピー代も請求するの?」

 「言うまでもない。」


 「各コピーは半分に切って、

  そのままルーズリーフに貼る。」

 「問題を読んだらすぐにその下の解法を読め。

  マーカーをしながら読んでもいいが、せいぜい使うのは3色だ。

  それ以上使うと、ポイントがぼける。」


 席を交代して、問題の部分を切り抜き、貼るところまでやる。


  「くれぐれも言っておくが、

   はじめのうちは、解法は自分で考えず、とにかく読め。

   余計なことは考えず、覚えようなんて欲は出さず、ひたすら読め。

   意味がわからなかったら質問しろ。」


 せっせとコピーをルーズリーフに貼る。


 そして、ただひたすら、解法を理解しようと読む。


 「途中の式展開で、意味がわからないところはなかったか?」

 「まあ、基礎問題だし、割と親切に書かれているから大丈夫。」

 「そうか。

  途中式や展開が、チャート式としては詳しく書いてあるのが

  この『白チャート』だ。

  ただ、紙幅の関係で、展開が飛躍していることもままある。

  式展開でわからない所があったら、

  オレ………アタシに聞け。

  その調子でこれから2時間、できる所まで作り続けるんだ。」



 なんとなく、ハードモードに自然と持っていくのがうまいよね。



 「ちなみに、聞いておきたいんだけど。」

 「何だ。手短に言え。」

 「あの、ここに来る前に、タケ君の勉強も見ていたんでしょ?」

 「名は忘れたが、デレスケ野郎のことか?」

 「うん。そのタケ君にはどこから教えていったの?

  ボクと同じようにはいかなかったでしょ?」

 「そうだな。」と言いつつ、

ジュラルミンケースから小さな本を取り出した。


 『くもんの にがてたいじドリル 小学1年生 さんすう』(くもん出版)


 「算数・数学が壊滅的に苦手な場合、思い切って小1までさかのぼって、

  どこからつまづいているのかくらいは確認しておく必要がある。

  特に、1ケタたし算のくり上がりがスムーズにできない場合、

  それ以降の内容が理解できないというケースが多い。

  やつはこんなものやれるかとか悪態をついてきたが、


  制圧した。」

 やっぱりね。あのデレスケがしでかしそうなことだわ。


 「案の定、最初はスムーズにできなかった。

  ただ、このドリルは類書と比べて、

  これ以上ないくらい、計算のプロセスが詳しい。

  これの全学年、計算だけを1週間特訓し、その後は順調に、

  小学校の計算が完璧かつスムーズにできるようになった。

  計算だけでいい。

  文章題も単位も面積・体積も

  くそくらえ、だ。」


 最後のフレーズだけ余計なような気がするけど。なんか意味あるのかな?


 「そして、中学数学には、これを使う。」


 『高校入試 数学をひとつひとつ わかりやすく。』(学研)


 「これを、オマエ………キミが、今やっているように、

  コピーとルーズリーフを使って学習してもらった。

  もし、オマエ……キミ、が数学が苦手だった場合、この教材の前半、

  すなわち計算と関数の分野だけやってもらうつもりだった。」

 「だから、高校入試の点数データが欲しかったわけね。」

 「察しがいいな。まあ、続けろ。」



 静かに時が流れていくが、なんかこんな感じも悪くないな。

 充実って、こんなものなのかな。

 なんだか知らんけど、心地よい。


 「何だ?」

 「さっきから気になるんですけどぉ、

  どうしてボクの目を見て話さないんですかぁ?」

 「女子の目を見て話すのは苦手だ。」

 「それだけ?なんか、それにしては、妙に落ち着かない感じですけど?」

 「その、なんだ、オレ………アタシの視界に、

  チチが目に入って困っている。」


 チチ→ちち→乳ーーーっ!


 確かにそうだよ。ボクの胸、7月の初めくらいから妙に目立ってきて、

ブラも合わなくなってきていたんだ。

 もう面倒になっていて、家にいる時はノーブラだったの、

すっかり忘れておったわ。

 どおりで、最近、オヤジがボクと話をするとき、そっぽ向いているのが

気になっていたが、そういうことだったのね。


 でも、不思議と、男子を前にして恥ずかしいという気にならなかった。

まあ見た目、超絶『美女』が相手だからな。


 その『美女』が、男子中学生みたいに恥じらっているのが面白い。


 ちょっと、からかってみるか。


 「ねえ、もしこれで、成績が上がって学年で中くらいになったら、

  ご褒美、あげようか?」

 「意味がわからん。 オレ………アタシは報酬をもらっている。

  褒美をもらう理由がない。」


 こういうところは律儀なんだな。


 「報酬とは別に、ボクからの気持ちということだよ。」

 「意味不明だが、話だけは聞いておこう。

  褒美とは何だ?」


 「オッパイ、揉ませてあげる、と言ったら?」


 リコさん、固まった。


 


 

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