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言葉のないボクと、一人ぼっちの黒髪メイド(2)
「隠し事などあるか。
もともと、キミの家庭教師となるときに、
履歴書を渡したではないか。
他に知りたいことでもあるのか?」
どうも、調子が合わないな。
「大ありよ。
単刀直入に聞くわ。
冴子さんとは、どういう関係なの?」
「サエコ?どこのサエコだ?」
天然なのか、すっとぼけているのか、
どうも距離感がつかめない。
「おととい、腕組んであるいていたじゃない?
あの子とどういう関係なの?」
ようやく気がついたのか、
リコさんは語り始めた。
「あれは、義理の妹だ。」
「なにそれ?」
「古い言葉で正確に言えば、
『腹違いの妹』だ。」
『腹違いの妹』?
何か時代がかった言い方だけど、
聞いてまずかったかな。
リコさんは、相変わらず無表情だから、
気を悪くしたのかどうかも、うかがえない。
「何か、悪いこと聞いちゃったかな?」
「気にするな。
アタシは
冴子とキミが同じ高校に通っていることを知ってはいたから、
いつかは聞かれるとは思っていた。」
そして続ける。
「アタシは『あの男』にとっては、
前妻の子ということになる。
冴子は今、『あの男』と、その妻と、
一緒に暮らしている。」
そして黙り込んでしまった。




