ローリングサンダーと、スペシャルな黒髪メイド(2)
レジを済ませて、リコさんの方を見た。
3人のヤンキー高校生風のお兄さんたちに囲まれている。
何やら声をかけられているようだが、
例によってリコさんは無表情、
彼らとは視線を合わせない。
そこへ3人のうちのひとりが、
リコさんの背後に回りかけた瞬間、
信じられない光景だった。
背後に回ったお兄さんが白目をむいて虚空を見上げてひざまずき、
残りの2人も次々と虚空を見上げてひざまずいた。
3人とも、まさか、失神した?
リコさんが目にもとまらぬ速さで動いたようだが、
何をしたのかわからない。
リコさんはこちらにズンズンと近づき、
小声で「駐車スペースまで走るぞ。」とささやく。
何が何だかわからぬままに、片腕をつかまれて店内を走る。
駐車スペースまでたどりつき、
息を切らせてリコさんの車に乗る。
すぐにエンジンスタート、車内が冷えるまで待つ。
「あのねぇ、何があったの?」
「あの3人は、オレ………アタシの魅力に気絶した。」
「冗談言わないで、何かしたんでしょ?」
リコさんは、大きく息を吐くと、続けた。
「アゴの先端に、かするように軽くパンチを打ち込むと、
脳が揺さぶられ、失神する。
ボクシングのテクニックのひとつだ。」
「リコさん、ボクシングできるの?
趣味・特技『勉強』だけかと思ってた。」
「何を勘違いしている。
ボクシングもオレ………アタシにとっては、『勉強』だ。」
そういうものなの?まあ、いいか。
「それにしても、いつからボクシングをやっているの?」




