15.チガウ
見つけて下さってありがとうございます!
アメリアが向かったのは、ルーアと一度だけ来たことがある転移屋だった。
「今すぐ!私を魔王の近くまで転移させて下さい!!」
「一体どうしたっていうんだい」
転移屋の老婆は困惑しきりだ。それもそうだ。突然、知り合いの弟子が自分を魔王の元まで転移して欲しいと言っているのだ。
何があったのか気になって当然だ。
「私は今すぐ!魔王の元まで行かなければならないんです!!」
「落ち着きな」
答えになっていないアメリアの返答に老婆は溜息をつく。
そして、未だ激情を抑えきれていないアメリアを何とか落ち着かせると、事の詳細を聞き出した。
「――ですから、私は何がなんでも魔王の元まで行きます」
話し終えたアメリアは転移陣の方をちらちら見ている。一分一秒が惜しいのだろう。
「分かったよ、でも、お前さんは魔王がどれ程危険な存在か知らない訳じゃないだろう?」
「関係ありません」
迷いなく言い切ったアメリアに老婆は目を丸くした。
(ルーアは随分慕われているね)
老婆がいくらアメリアを宥めても、諭しても、止めようとしても、アメリアは魔王の元まで行こうとするだろう。
何を言っても無駄な気がした。
「........はあ、料金は五倍は貰うよ」
「構いません」
アメリアは服の内側にあるポケットから硬貨の入った袋を取り出し、老婆の目の前に置いた。
しかし、老婆は硬貨を受け取ろうとしなかった。
「今回だけ料金は後払いだ、戻って来たら払いな」
「――!!はい」
袋を服の中にし舞い込んだアメリアは転移陣の上に立った。
老婆は瞳を閉じて集中している。数分が経過したのち、老婆は唇を開いた。
「転移!!」
その言葉と同時に光を発した陣は、そのままアメリアを包み込むと一瞬にして消えてしまった。
******
魔王の近くまで転移したアメリアは辺りに漂う穢れた瘴気に眉をひそめた。
人体に影響は無いが、空気が澱んでいるのが肌で感じられる。とても不愉快な気分にさせられた。
一度深呼吸をし、胸に手を当てる。
ルーアから貰った剣を鞘から抜き、その刀身をそっと撫でた。
「必ず連れて帰ります」
決意を宿した瞳を正面に向けると、瘴気が最も濃い所――魔王のいる場所――を目指してアメリアは駆け出した。
そして―――
「.........あ、え....」
魔王の元まで辿り着いたアメリアが目にしたのは、
「..........」
見慣れた服、見慣れた顔
「あ....め..り、あ」
「.........ししょう?」
聞き慣れた声。
生気の無くなった瞳が悪意に染まり、アメリアをじっと見つめている。
何かが決意と共に崩れいく気がした。
最後まで読んで下さりありがとうございました。
良ければいいねやハート、ブックマークの登録を是非ともお願いしますm(_ _)m




