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不死身の聖女  作者: 金木犀
不死身の聖女の弟子
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9.最初に言ったこと

見つけて下さってありがとうございます!


「貴方は、私達が死んだのは自分のせいだと思っているでしょ」


アメリアの母が静かに告げる。それを聞いたアメリアは、柄にもなく声を荒らげた。


「····だって、私があの時皆を蘇生出来てれば!!···わたしが、私が何も出来なかったから····」


「そうね、貴方が蘇生していれば私達はここに居なかった。·····でも、貴方は自分が不死の能力を使えると知らなかったでしょう?」


「―――!!···それは、でも···」


そうだ。アメリアは知らなかったのだ。自分が、不死の能力を使えることを。


聖女の持つそれぞれの能力は、扱い方を知らないと持っていても意味が無い。

扱い方を知って初めて、その能力は発揮されるのだ。


だから、能力を持っていても、あの時点のアメリアでは蘇生する事は出来なかった。


それはアメリア自身理解している。だが、事実に感情が追い付くかどうかは別の話だ。


顔を俯かせ、いやいやとアメリアは首を振る。もう何も聞きたくないし、何も知りたくない。

能力の扱い方を知らなければ使えないと知った時、アメリアが感じたのは空虚だった。


大人達の静止を振り切り家の中に突っ込んでも、制限時間に間に合っても意味が無かった。

だって、能力が使えないのだから。


自分が能力を使っていたら、助けられたかもしれない。アメリアには、そんな後悔を抱く意味が無かったのだ。


その時のアメリアの気持ちは、何も出来なかった後悔と自責と、それすら抱く事が間違いだったと知った時の無力感。結局、全てがごちゃごちゃになって、何も感じなくなってしまった。


あの時のようなと同じ思いをするのはもう嫌だと首を振る。

そんな壊れた人形のようになったアメリアにアメリアの母は子供を諭すように言った。


「····私達の『死』を背負いたいなら止めない。そんな事をすれば、貴方の過ごした年月を否定することになると思うから」


「おかあ、さん···」


「だから、少しでも軽くしてあげられるように、今から言う事をよく聞いておきなさい」


太陽のような金色と、ダイヤモンドのような銀色が絡まる。


「貴方の背負ってるものの重さは、私達が理解しているより重たいはず。それは今更どうこう出来るものじゃないわね。········ねえ、アメリアは寄せられるなら、期待と罪悪感どちらがいい?」


アメリアの表情が一瞬固まる。質問の意図が分からなかった。

期待と罪悪感、どちらもまるで違う。でも、どちらがいいかと問われれば、アメリアは



「······きたい?」


アメリアが答えた瞬間、アメリアの母は薔薇が綻ぶかのような笑みを浮かべた。


「そう、そうなのね。じゃあ、私にはこれで合っているのか分からないけれど、

アメリアの背負っている私達の『死』という罪悪感と、私達が貴方に寄せる『夢』という期待を交換してみてはどうかしら?」


「······え?どういうことなの?」


「ふふ、そうよね、戸惑うわよね。アメリア、私達は正直アメリアに私達の『死』を背負わせたくない。貴方が罪悪感を覚える必要なんて無いもの。でも、貴方はそれを良しとはしないのでしょう」


「········」


「アメリア、私達はあなたの事を視ていると言ったわ。それを知った上で貴方は私達に何を見せたい?」


「え?····何を、見せたい?」


「懺悔?償い?それとも、死にたいと願う自分の姿?」


アメリアは固まった。


懺悔?そんな事、する資格すらない。償いだって、したところで家族は戻ってこない。家族に視られている事を知ってしまったのだ。死を望む自分の姿なんて見てほしくない。


じゃあ。


「そんな、もの!···私はただ·····わたしは·······何を、」


何を見せたいんだろう·····。



アメリアは再び顔を俯かせてしまった。どれだけ考えても分からない。自分が何を家族に見せたいのか、何を望まれているのか。


(私が家族に見せたいもの······何か、何か···)


「私達は貴方の『夢』に期待しているの」


アメリアの母が唐突に声を上げた。


(『夢』·····私の。私が言ったこと)


子供の頃にアメリアは言った。


「皆に、世界中の綺麗な場所を見せてあげたい···」


ぽつりと桜色の唇から言葉が漏れる。言った瞬間、視界が開けた気がした。


ゆっくりと、俯いていた顔が上がる。上がった時に見た母の顔はよく出来ましたと言わんばかりに優しく、その瞳が細められていた。


ストンと何かが心の中に落ちる音が聞こえた。







最後まで読んで下さりありがとうございました。


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